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コックルと内緒の時間
「まずい……まずいことになったです」
あんなに勇敢だった勇者が魔獣達の手によって、見るも無惨な悪魔の姿にされてしまったレイヴン。コックルが魔王となった凛のことを暖かく見守るレイヴンを心配そうに物陰から見ている。
「レイヴン様どうしちまったですか。あれほど街を救おうと、半年間食糧もギリギリでここまで来たのに。目の前にラスボスがいると言うのになぜ倒さないですか?」
コックルはナーガと微笑む凛、それを守るレイヴンの姿を見て、何かを悟ったかのように静かにその場を離れた。
「……今回の勇者は敗北です……」
コックルは右手の自分の羽を一本抜くと、床に文字を書き始める。最後に自分の周りをぐるっと囲むように円を描くとコックルの姿は光の中に消えていった……。
「はやく次の勇者を見つけなくては……」