エピローグ 本と希望
いつもの教室に生徒が集まり賑やかに騒いでいた。また何か揉め事が起こってしまっているようにも思えたが、今日は少し違ったみたいだった。手には紙コップを持ち、中心に集められた机の上にはお菓子が並んでいた。
河原の存在が消えてしまい、ずっと真野一人で実行委員として考えていたのだが、放課後の教室に一人で居る真野を見たクラスメイトが一人また一人と手伝ってくれたのだった。最終的にはクラスで行われるクリスマスパーティーを全員で考える結果となった。そして今日十二月二十四日に予定通り誰一人欠ける事無くパーティーは行われていた。
「みんなでこうして一緒に居られるのもあと少しだね」
「最初はこんなパーティーやるなんて嫌だったけど、最初から最後までみんなで作り上げる事が出来て良かったと今じゃ思ってるよ」
「それもこれも真野くんが突然言い出してくれたお陰だもんね! ってあれ? 真野くんは何処行っちゃったの?」
「あぁ、真野ならちょっとだけ抜けるって言ってたぞ。でも、すぐに戻るらしいから気にしなくてもそのうち帰って来るだろ」
あんなに纏まりの無かったクラスメイトが仲良しのグループみたいになっていた。誰も賛成するものなど居なかった。しかし、真野は約束を果たす為に前に出てみんなの事を説得したのだった。真野が変わったお陰でクラスメイト全員が変わる事が出来たのだ。
クリスマス当日だというのに空模様はすっきり晴れてしまい、雰囲気が台無しのようにも感じられたが、真野にとっては良かったのかも知れない。
学校を抜け出した真野は、幻逝膏文堂があった場所に来ていた。手にはプレゼントを持っていた。ちゃんとリボンも付けられていた。
「河原。ちゃんとお前がやりたかったクリスマスパーティーをクラスのみんなでやる事が出来たぞ。しかもあんなに嫌がっていたあいつらが自分から進んで手伝ってくれたり、計画を考えてくれたりしたんだぞ。信じられねぇだろ? でも、河原が居てくれたお陰で俺を含め、みんな変わる事が出来たんだ。みんなを代表して言うよ。有難うな!」
風が横から吹き抜けていった。流石にこの時期の風はとても冷たかった。少し言葉を止めてしまった真野だったが、再び言い始める。
「それで今日は河原が計画してくれたアレをする為に来たんだよ。クリスマスを過ごした事が無いなら、これがお前にとって初めてのプレゼントになるんだな。俺から河原にクリスマスプレゼントだよ。メリークリスマス!」
そう言うと前回此処に来た時、白い本が置かれてた場所にプレゼントを置いた。そして何処か嬉しそうな表情を浮かべながら路地へと帰って行ったのだった。




