ラブハンター誕生
世界は愛で満ちている。しかし、人は孤独を抱えている。
この矛盾に溢れた世界に一人の男が異世界よりやってきた。
その名も愛羅武勇太郎。
この物語は愛を求め、愛を与えるためにやってきた風来坊の物語である。
まずは彼が本来の世界の神よりこの世界に遣わされた、その日の一幕からごらんいただこう。
俺は愛羅武勇太郎、おかしいなさっきも説明した気がする。まぁ気にすることはないか。さすらいのラブハンターだ。
ラブハンターって言うのはぶっちゃけ珍しい愛の形を見つけて報告するっていうのが仕事だな。
だれにかって?もちろん俺をこの世界に送り込んだ神様さ、あれは俺がまだ本来の世界にいたときさ、なんかこうふわーっとした光に包まれてぶわーっとした感じで空に上がって、すとんって感じで神様の前に立ってたんだよ。
でな、神様はこうおっしゃるわけだ、「汝に使命を与える、さすらいのラブハンターとなり愛を見つけ、愛をはぐくみその愛を形として報告せよ」とね。
俺は驚いたね、なんでまた俺なんだってさ、でもまぁ神様に頼まれちゃあしかたねぇよな、やるっきゃねぇよ。
「かしこまりました、その使命必ずや全うして見せます」と言っちまったわけだなぁ
で、いまここにいるわけなんだがね、来ちまってから思ったんだが、ここどこよ?
まぁいいか、気にしすぎてもしょうがねぇ男は度胸、女は愛嬌、迷わず行けよ、行けばわかるさ。
ああ、そういえばせっかく異世界に来たんだし、なんかこうステータス的なもんとかレベルっぽいもんとか見えるのかと思って色々試してもみたんだぜ。
指振ったり、ステータスオープンとか叫んでみたけど何もおこらねぇ。あるのは荒涼とした草原だけだな、異世界のスタート地点としちゃあ寂れてるな。
とにかく誰かと会わなけりゃ言葉が通じるのかもわからねぇ、装備品が特殊なのかとおもったがただのジーンズとポロシャツって言ういつもの俺の格好だわ。
異世界って行ってもいつもの日常とあまり変わらないな。
そうこうしているうちになんか町だか村だか見えてきたな。案外近いところにいたんだな、やっぱり心配することなかったな。
お、なんか立派な門に門番までついてやがる、警備は厳重だな、数人の住人が検査待ちしてる様子が見える。
人の出入りは少ないみたいだがやけに警戒心の強そうな門番が入念にチェックしてる。
こっちの身分証明書なんてねぇからなぁどうしたもんか・・・まぁ行ってみるだけ行ってみるさ。
普通に並んでたら俺の番がまわってきたぜ、うん、やっぱり異世界の言葉は俺にはワカラネェな、おっかしいなスキルもねぇのか?
異世界で駅前留学もできねぇのにスキルもなくてどうやってコミュニケーションをとればいいんだ?
いや、まてよ・・・こういうときこそ俺の最大の武器にして最後の切り札を使うときなんじゃねぇのか?
おれは警戒心もあらわに俺に話しかける門番に対してこういってやったのさ、「マイネームイズ、ユータロー、アイラブ、アイ、キャン、のっとすぴーくイングリッシュ」とな
門番の奴はどうやら俺がこの世界の言語が分かっていないっていうことが理解できたらしい。それ以上話しかけてこなくなったな。
門番に引きずられて地下牢に入れられた俺は早速神様に報告することにした。
「神様、今日は門番の方と相互理解するという愛を得ることができました。これは言葉が通じていては感じることが出来ないものです。あえて翻訳スキルを授けず、私に試練を与えることでこの愛に気づかせてくださったことに感謝いたします。」