第2話
誤字脱字などの指摘は大歓迎です。
全速で走りきった俺たちは、近くの町、というか街にいた。
途中、アレンが俺の速さについてこれなくなる非常事態も起きたが、俺が担いで走ることで、解☆決!
「結局担ぐんすか……」
「だって早く街、人のいるところに行きたかった。後悔はしている。反省はしてない」
「………」
黙ってしまったアレンは無視して、街の端にある兵の駐屯所(アレンに教えてもらった)へと向かう。
連れて行く人が、連れて行かれる人に案内されるという不思議な構図が出来上がった。
「すいませーん」
中には兵士がいるらしく、怖かったので外から声をかける。
すると、ゴツめな男の人が出てきた。
「どうしたんですか?」
あれ、この人意外と丁寧だ。(失礼)
それから追いはぎに襲われて捕まえたことを説明した。
すると、ゴツめの男の人、ゴツオさんでいいや。
そのゴツオさんが対応について説明してくれた。
犯罪者の扱いは主に二つあるらしい。
「一つ目は、奴隷に落とす事です。奴隷商に買い取ってもらえるでしょう。もう一つ、これは被害が少ない今回のようなケースにのみ適応されますが、被害者が許すのであれば、逃すことも可能です。この辺は、本当に捕まえた人の自由ですね」
なんか、奴隷になるのが嫌で追いはぎをすると奴隷に落とされるってのは矛盾しているが。
可哀そうだし、一つ目は無しで。
でも、だからと言って二つ目は、また被害者が出るかもしれないしなあ。
「一応言っておきますが、奴隷としてあなたが所有することも可能です」
ゴツオさんは奴隷奴隷言ってくるが、やっぱり奴隷は可哀想だ。
じゃあ、奴隷としてではなく普通に俺が所有、というか雇う事も出来るのか。
聞いてみるとそれでもいいらしい。
さらに、俺が迷っているとゴツオさんが、こんな提案をしてくれた。
「別に、今すぐ決めなくても数日は考えていただいて大丈夫ですよ」
ゴツオさんの提案に乗って、俺はアレンを連れて駐屯所を離れた。
これから何をしたらいいんだろう。
そういえば、昨日から何も食べていない。
だが、そもそもこの国の通貨すら知らないため、金を稼ぐところから始めなければいけない。
とりあえずアレンに聞いてみよう。
「金ってどうやって稼げる?」
「多分ギルドとかっすね。結構近いのでこのまま行くっすか?」
「じゃあそうしよう。案内してくれ」
アレンの案内で行った冒険者ギルドは、いかにも荒くれ者が集う、というイメージとは少し離れた清潔感ある建物だった。
なんでも、そういう人達がいると周りの人に迷惑をかけるから、酒場は地下にあるそうだ。
登録作業は名前と、得意な武器、スキルチェック、の三つでいいらしい。
スキルチェックとは何かと、受付のお姉さんに聞くと怪訝な顔をしながら教えてくれた。
この世界では知っていて当たり前の事らしいが、持っているスキルを専用の係員がチェックするらしい。
なんでもそれ専用の魔法があるそうだ。
連れて行かれた部屋で、座っていた男性が何やら唱えると、近くの紙に文字が刻まれていった。
ナオ
・身体強化 スキル所有者の身体を強化する。
・スキル破壊 スキル所有者が目に見える範囲内の者のスキルを自由に破壊できる。
・魔法 スキル所有者は回復、攻撃、強化、全ての魔法が無制限に使用できる。
・不老不死 スキル所有者は、不老不死となる。また、流れ出た血すらも戻る。
アレン
・身体強化(強) スキル所有者の身体を通常より大幅に強化する。
・回復魔法(強) スキル所有者は回復魔法を通常より大幅に使用できる。
そこで衝撃の事実が発見した。
アレン強っ!
あんまり強そうに見えない、むしろ弱そうなのに。
また、周りの人達も驚いた顔をしている。
周りもアレンの事を弱いと思っていたのか?
すぐにギルドの支店長(と名札に書いてある)なおっさんがやってきた。
なぜだ、意味が分からない。
「ナオさん、少しお時間を取らせていただいてよろしいでしょうか?」
「いや、いいですけど」
「ありがとうございます。では早速あちらの部屋へ。お連れの方もどうぞ」
そう言って連れて行かれたのは明らかに関係者以外立ち入り禁止な裏の方の部屋だった。
もしかして、スキルがレアだったとか、まあ、あるわけないな。
「ナオさんのスキルはどのようなものですか?」
「え、どういう事です?」
「四つ持っているだけでも珍しいのに、全て今まで発見されていないものですよ。ギルドとして調べるべきかと」
「はあ」
まじで!?
冗談のつもりが。
でも、身体強化はアレンも持っていたはずだ。
「身体強化、魔法は珍しくないものでは?」
「いえ、本来身体強化は弱、中、強、魔法は属性指定があるので。一切ないものは初めて見ました。それに、スキル破壊と不老不死は初めて見ます」
「ソウデスカー」
いやいや、良く考えると不老不死って何?
やばくない?俺TUEEEEEEEEEEなの?
「なので、魔法を使ってみていただいていいですか?」
「いや、あの、俺、魔法使った事ないんですけど」
「え、じゃあ、使い方から教えますね」
「あーすみませんお願いします」
「まず、うーん水球あたりをイメージしてください」
水球見たこと無いよ!
なんかスポーツっぽいし。
まあ、ゲームとかに出てくる感じのウォーターボールをイメージする。
「それが、手のひらから出てくるイメージで、そのままバーンって」
「そのままバーン……?」
意味が分からない。
この人は感覚でやってるタイプの人だ。
とりあえずそのままバーン!
俺の手から直径一メートルくらいの水でできた球体が出て、用意されていた堅い訓練用の壁に激突した。
すると、水球が激突した壁は綺麗に抉れていた。
やばいだろ。
俺の魔法やばい。
人を殺せるどころが惨殺できるレベル。むしろ殺戮。
大量虐殺も夢じゃない!
いや、別にそんなつもりはないけど。
「うわあ……やばいっすね」
アレンドン引きだ。
そりゃそうだよね。
横を見るとギルドの人もドン引き。
「あ、ありがとう、ごさいっ、ございました」
怯えられてる……。
その後、なんか帰んなきゃいけない雰囲気だったので、俺とアレンは諦めてギルドを出た。
結局登録できなかったし。
どうすんだよこれ。