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Real Life  作者: 夢まくら
序章 偶然の始まり
1/5

偶然は必然か

息抜き兼練習作なので更新は期待しないほうがいいと思います。

◇11/15加筆修正。

◇12/21句読点修正。

 ひらひらと枝垂桜の花びらが空に舞う様は、圧巻という一言に尽きる。

 季節外れの雪は先日止んだばかり、今でもその名残が足元を白く染めたまま、綺麗な桃色と白のコントラストを織り成している。

 そしてそんな風景が、いつもの寒い道程を、仄かに暖めてくれる気がするから不思議なものだと思う。


 とはいえ、実際に温まるわけもない。

 少し綺麗な景色に浸っていただけで体が思いのほか冷えてしまった。未だに冷たさを残す春の風に身を震わせながら、紺色のマフラーを首に巻き直し、帰り道の途中にあるスーパーへと足を伸ばす。


 本日の特売のチラシを見るに、今日の晩御飯は皆大好きカレーで決まりそうだ。


 レンガ造りの道が続き、未だに古い木造の建物が立ち並ぶ商店街は、この氷町の数少ない観光スポットでもあるが、我が家にとっては生命線とも言える特売品が並ぶ戦場である。


 今日も今日とて狂喜を宿したおばさん達の間を縫うようにして進み、特売のお肉を手に入れる。

 もちろん簡単なことではなった。手に入れる過程においてマフラー、ジャケットに留まらず、着ている衣服は乱れに乱れ、とてもよそ様に見せられる姿ではなくなってしまう。

 それもなんて事は無い、この野性味溢れる闘争で勝ち、戦利品を手に入れられたのなら、それに見合うだけの喜びが手に入る。


 それにしても家計を気にして一喜一憂する僕は、傍から見たら一体どう見えるのだろうかと、たまに考えてしまう。


 しっかり者?


 それは違う。僕がやらなければ誰もやらない、いや、あの姉がやるはずが無いのだからと自分に言い聞かせ、自分が世話を焼きたいが為に姉を甘やかしているだけの、我侭な子供に過ぎない。


 なら愚か者だろうか?


 それなら少しはしっくりくる。姉をあそこまで駄目にしてしまったのは僕の世話好きな性格が起因しているだろうから。


 けれど、いくら自分のせいとはいえ、最近の駄目すぎる姉の事を思い出すと少しため息をつきたくなる。


 ため息をついた瞬間に暖かな空気が、体温と共に幸せが逃げていくと、良く知る誰かに忠告されると分かりきっている。それでもやりたくなるのだから重症だと自分自身でも思う。


「そんな顔してたら幸せが逃げてくよっ」


 少しウキウキしながら商店街の出口で上機嫌に待ち受けていた女の子に、僕が考えていた通りの言葉を言われてしまった。

 けれど知らぬ仲ではない女の子に、そういった苦言を強いられるのは、僕にとっては当たり前の、それこそ日常でしかないので今更気にすることでもない。


 目の前にいる明るく元気がトレードマークの、赤髪ショートカットにイルカの髪飾りがトレードマークの、可愛らしい少女。

 何を隠そう僕の家の隣に住んでいる正真正銘の幼馴染と呼ばれる存在だ。そんな彼女にとって僕の顔色を伺う事なんて造作も無い事であり、また、今のような苦言をするのはいつものやり取りでしかない。


「また特売戦争に行ってたの?」


「そうだね。あそこ安いから」


「感心する。本当に」


「女のミサが感心してどうするんだよ。将来はミサもあの中に入るんだぞ?」


 いつもの軽いやり取りをして、いつものように微笑んだ彼女は、やはりいつものようにこういってきた。


「大丈夫。私はキヨのお嫁さんになるから」


 相変わらず照れもしないでよく言えるとものだと感心してしまう。

 されど感心したまま黙っていることの出来ない発言が含まれていた事に、僕はこれまたいつもどおりの言葉をで返した。


「僕の名前は大宮(おおみや)清司(せいじ)であってキヨじゃない」


「わかったわかった。キヨが結婚してくれたら考えてあげる」


 折角無視したのに掘り返すあたりがミサらしい。

 本当にいつもどおりのやり取りだ。もしここにクラスメイトが居たらまず間違いなく夫婦だとはやし立てるだろう。でもそんなのはハッキリ言ってごめんである。


「それはごめんこうむる。雪姉の世話だけでも大変なのに、ミサの世話までしないといけなくなるなんて耐えられない」


 この幼馴染、羽衣(はごろも)(みさき)も僕の姉同様、家事全般が出来ない女の子なのだ。

 そしていつも大晦日に尋ねてきては、僕に自分の部屋を掃除させるという最低の行為すら平気でやってのけるのだから、結婚した将来が暗雲どころか、漆黒の闇に包まれている事ぐらい、僕じゃなくても分かるはずだ。


 でもそんな幼馴染を教育し直すという正常な手段は、悲しいことだが僕には出来ない。何せ僕は世話好きなのだ。

 そこに駄目人間あればついつい世話をしてしまう体質なのだ。


 いつも掃除する前は「お前がちゃんとしろ」と文句を言いっているのに、気づけば僕が楽しみながら掃除していて、何時の間にか家事を終わらせてしまっている。


 もちろん僕がミサを躾けてやらなくても、ミサの親がきひとんミサを叱ってくれる。

 そう、叱ってはくれてはいるのだ。コレまでに大した効果は見られていないのが非常に残念ではあるけど……。


「またまた、別に照れなくてもいいのに。私が美人だからって遠慮すること無いんだよ? キヨにはそれ以上の魅力があるんだから」


 だったらその魅力に見合うだけのものを身に着けてくれといったら、去年は確か、足りない分は私の体を好きにしていいからと夜這いをかけてきた。


 滅多な事は姉にもミサにも言えない。


「照れてない。大体ミサは雪姉を倒せたのか?」


「っう゛」


 だからこうやって、いつもは役立たずな姉を便利な道具として使ったって許される。

 僕の姉である雪音は全てこなせるスーパー超人でありながら、家ではかなり自堕落な為に、僕を囲って楽な生活を楽しんでいるのだから、これぐらい役になってもらわないと逆に困る。


 考えて見れば簡単なことだ、自堕落な姉は便利な僕を手放すことを良しとはしない。


 実際ミサが一度キヨを下さい、なんてプロポーズじみたことを言った日に「セイジは私の嫁だ! 絶対誰にも渡さん。もしそれでも欲しいというのなら私を倒してみろ」と吼えていた。


 再度言うが姉は家では完璧な駄目人間なのだ。

 ミサがそれでも僕を貰いたいと挑戦してきた日、姉はミサが女だというのを考慮せずに、それはもう大人気なくボコボコにして、道路に捨てていたのは今でも良く夢に見る。


 学校では生徒会長であり、全校生徒の羨望の的である姉が、こんな鬼畜な駄目人間だと知っているのは僕とミサだけだ。

 そして姉が義理の姉であると知っているのもやはり僕の家族とミサだけだ。


 だからこそこのままでは僕が姉さんに取られる、と考えているミサは反撃の糸口を日々模索している。この待ち伏せは姉の居ぬ間に僕を手に入れるためのアプローチなのだ。


 そんな世界の青少年、あるいはモテない男子からの嫉妬と羨望の入り混じる様な状況のさなかで、僕は純粋な嬉しさと悲しさ、対立する二つの気持ちを器用に胸のうちに抱いている。

 確かに僕は世話好きだが、人を駄目にするのが好きなわけではないのだ。


 第一、一生涯世話をやり続けるかどうかも分からないのに、僕を嫁にしたいという姉とミサは、一体何を考えているのだろうか、正直僕には良く分からない。

 大体僕が好きという言葉は、今まで生きてきた人生において2人から聞いた事が無い。嫁になる。夫、もしくは嫁になれという男らしい言葉は聞いた事はあるが、僕は恋愛要素と思われる言葉を聞いた事が無いのだ。


 キスを求める甘ったるい言葉も、傍にいて欲しいなんて夢見がちな言葉も、愛しているなんて情熱的な言葉も一切貰ったことがない。

 だから僕は、2人に振り回されて家事をするだけのお手軽男だと思われてるのかも、と思う日が多々ある。


 くどいようだが世話は好きだ、唯一の趣味といっていい。

 けれど僕の目下の悩みは世話する以外に時間を使う趣味が特に無く、そして唯一の趣味である世話を焼けば焼くだけ、姉とミサが駄目になっていくというどうしようもないものだ。


 何か他に打ち込めるものがあればいいのだけれど、生憎と姉に捕まったらほとんど家から出られないのだから仕方が無い、学校で部活に入ろうものなら姉に何をされるかわかったものではない。


「そんな事よりさ、キヨってゲームに興味ある?」


「ゲーム?」


 昨今のゲームと言えば、技術革命とまで言われたVR(ヴァーチャルリアリティ)と呼ばれる技術を導入したのが流行りだ。

 仕様としては全身タイツの様なVRスーツと呼ばれるものと、最新の技術を惜しみなく注ぎ込んで作られた軽量型のヘッドマウントディスプレイを使う事で、まるで別の世界に飛び込んだような感覚が得られるというものだ。

 VRゲームをするのは要求されるPCのスペック、周辺機器の水準が高すぎて、一般人にはなけなしの貯金を崩さない限り中々手が出せないというのが、VRを導入しているゲーム会社の目下の悩みらしい。


 ただゲームにのめり込み過ぎて死者が出た事もあるほど楽しいらしく、プレイ時間は制限されたとまで聞いている。確か再開するには何時間程待たないといけないとか、ネットの掲示板に書かれていた気がする。

 さらにはハッキング防止のために確か指紋、声紋でログインするようになっている為、ゲームソフトやPCに接続する本体も相当高かったはずだ。

 おかげでハッキングに関しては相当数減ったみたいだが、プレイ時間の制限は、ネット犯罪者達が躍起になって解除していると最近ニュースになっていた。


 VRはいざ導入してからというもの様々な問題が浮上し、思っていたよりもなかなか需要は上がらないようで大変みたいだ。


 最近ではそんな輩(廃人)のせいでVRMMOの食べ物の味がなくなったり、痛みの変わりに導入された衝撃すらなくなったりと、依存性の高いものは次々廃止されているらしい。


 夢のVR技術なんて夢見がちな世代が書いた小説は面白いが、現実は得てして面倒なものだと思い知らされる例だといえよう。


「そう、ゲーム。VRが導入された頃はそれこそ面白いと思えたけどさ、どんどんつまんなくなったよね。

 でも今回VRの開発チームと某有名ゲーム会社が手を組んで、廃止された感覚を全て正常に機能させたゲームが出るらしいんだ」


「そんなの犯罪者とリアルを省みない人の手によって、他と同じような灰色のVR世界に戻るんじゃないか?」


「私もそう思ったんだけど、新しい技術の導入で今まで犯罪に使われてきたプログラムが無効化されたらしいの、それと今回は時間制限が過ぎると落とされるんじゃなくて、ゲームでの感覚が一切なくなるらしいし、他にも色々厄介なペナルティがあるらしいから、いいアイディアだとか色々話題になってるんだよ」


 僕もさして詳しいわけではないけれど、確かに今まではヘッドマウントディスプレイの視覚を自動的に切断するというものだったはずだ。

 あれはIDを読み取っているサーバー側が時間を計測し、ID元のディスプレイやスーツへ停止信号を送り、衝撃が少ないよう徐々に止まる方法が採用されているとかなんとか。

 IDを自動的に変えるツールが問題に上がった時、確かそんな報道をしていたはずだ。


「なんでもサーバー管理側が完璧なIDのチェック方法を開発したとかで、サーバー側で感覚を切断するんだって」


 確かそれはTVの偉そうに批評ばかりする人達が、危ない! などと声高に叫んでいたものではなかったかな。

 視覚を急に切断するというのも問題があってゲーム上でのプレイに支障がでたり、失明やらなんやら色々あったが、現在の徐々に感覚を鈍くしていくように切るという形で落ち着いたはずだ。

 これは全てのヘッドマウントディスプレイ自体に適応されたものだし、プレーヤー側である程度調整できるから問題ないのだが、サーバー側で一方的に止めると言うのはかなり危険なんじゃないだろうか?


「危なくないか?」


「ネットの掲示板でも、万が一の時はプレーヤー全てが死ぬ事もあるんじゃないかって懸念されてるよ」


「だよな」


 こちらの五感を運営側で操作できると言うのは簡単に人が殺せると言う事だ、そう断言できる程五感の把握というのは恐ろしい。

 今までも多少その問題は上がったが、ゲーム会社がプレーヤー側で調整できるヘッドマウントディスプレイの開発をしたおかげで、それを表面化せずに済んだからこそ問題になっても時間が経てば風化していったが……、今回は違う。

 今回は五感全てを運営が操作するという、真正面から日本の倫理観に喧嘩を売る様な内容だ。


「でも最近の楽しくないVRゲームに比べればって思う人はやっぱり多いみたい」


「そりゃそうだよね。現実ではないからこそ想像通りに動く体ってのは、思っている以上に爽快で気持ちがいいし」


「だよね」


 軽快にミサがジャンプしたかと思えば手を使い、自分の身長と同程度あるブロック塀に軽々と上ってみせる。リアルでこの動きをするなんて何気に凄いやつだと毎回感心してしまう。

 まるで猫だとご近所さんから評判の身軽さを誇るミサは、そのまま僕へと飛び込んでくる。


 そんなミサの唐突な行動には僕もすっかり慣れたもので、特に慌てることなくミサをお姫様抱っこの形で一度受け止め、間を置かずに地面に立たせてやる。


「もうちょっと維持してくれてもいいんじゃ?」


「断るよ」


 商店街から出発してはや30分、ようやくこの氷町では珍しくも無いレンガで出来た我が家が見えてくる。

 赤レンガと赤瓦で出来ているしょぼくれた家が、雪が降ることによって映えるのは結構好きだったりする。

 帰る度に見てもこの景色は僕の心を和ませてくれる。雪かきさえなければもっといいのにと思わずにはいられないほどに……。


「ゲームの抽選応募したから当たったら一緒にやらない?」


 正直危なさそうなゲームには関わりたくない。たとえ技術、財力共に信用出来る会社であったとしても、世間を挑発するような試みをする物に関わればろくな目にあわないことは確かだ。

 けれど当たったらきっとミサは一人でもやってしまう。それは余りに心配すぎる、だから当たれば当然僕もやる。

 数万といる中での抽選である。どうせ当たりはしないだろうから要らぬ心配ではあるのだけれど、それでもやっぱり僕はどうしようも世話好きで、危ないと思うからこそ世話が焼ける程近くに居たいのだ。


 だから僕はあえて


「当たったらな」


 と告げたのでる。


 しかしVRMMOの新サービスを始めるとき、どこも競うように抽選でPCとVR機器をプレゼントするのはどうしてだろうか? 一昔前はゲームの中のアイテムだったり、ゲームに出てくる声優さんのサインだったりと種類が豊富だったはずなのに、今ではPCとVR機器だけだ。

 なんて知らない振りをしても本当はVRをより普及させる為だ、という事はなんとなく分かっている。


 時代の変化を感じずにはいられない現象だと思う。


 少し考え込んでいたら「絶対だよ」と念を押してきたミサに軽い返事をして、家の前で別れ告げてから我家の扉を抜け、買い物袋をキッチンに置いて次に自分の部屋に荷物を置きに行く。


 僕の部屋は何の変哲も無い男子高校生らしい物が少ない質素な部屋だ。


 あるのは旧型のデスクトップPCとタンス、僅かな小遣いで集めた漫画のみ。


 男として健全と判断されるべき規制対象の本は残念ながら手に入れていない。一度漫画と一緒に買ってカモフラージュしたのだが、姉に見つかってとんでもない買ってきた漫画のような目にあわされそうになってからというもの、全く買う気が起こらないのだ。

 我ながら良く調教されていると思いながら荷物を置き、キッチンへ移動してカレーを作り始める。


 我が家のカレーは特に他の一般家庭と変わりない、なんて言っても僕には本当の両親がいた時の記憶が無いし、姉さんの家は両親が不在がちなので、結局僕が本を見て作っているのだから、本当に他の家と違わないのか正確には分からない。


 僕に確信を持っていえる事は家のカレーはそこそこ時間がかかるという事だ。


 TVで『じっくりことこと』という言葉を良く耳にする。素人の僕にとって、それはカレーを作る上で絶対にするべきことであり、美味しさの秘訣だとも思っている。

 一口大に野菜、肉切ってから程良く炒めて鍋に投入し、水を入れて沸騰させ、そこから野菜が柔らかくなるまで根気良く弱火で煮込んであくを取り続ける。

 その後一旦火を止めて粗熱を取ってからカレールーを入れてかき混ぜる。本当なら強火の方が早く済むのだが、ルーを溶かすと時折ダマが出来て味が酷くなる場合があるから慎重を期している。

 そうしてゆっくりルーを溶かした後は、それこそ『ゆっくりことこと』を意識してとろみがつくまで煮込んでいく。


 本当なら肉も美味しくなるよう工夫したい。けれど安い肉をやわらかくするというのはかなり難しい。一般で使われる様なコーラ等につけておく方法は、肉の味が変わってしまうこともあるので、カレーの味で誤魔化すのが嫌な僕には使えない。

 他に方法があれば使いたいと思うのだけど、日々家事をこなしていると探す暇が余り取れないのだ。


 作り始めてから約50分程の時間をかけてついに僕のカレーは出来上がった。


 白い湯気がもくもくと上がり、おいしそうな匂いが部屋を満たす。後は姉が帰ってくるのを待つだけだ。


 と、そこへタイミング良くチャイムが鳴り響いたので、僕は返事をしながら玄関へと向かった。

 もしかしたら姉さん? とも思ったが姉さんはそもそもチャイムを押さない。ミサもどちらかと言えば押さない人なので郵便か何かかもしれない。


「大宮様のお宅ですか?」


「そうです」


 扉を開けた先にいたのは案の定配達の人だった。

 大きな箱をこちらに渡したかと思うと車に戻って紙とペンを持ってきた。


「こちらにサインをお願いします」


 差し出された紙に大宮と書いて手渡すと、配達員は時間を惜しむようにそそくさと車に戻り、また配達作業に戻っていった。


 届いた大きな荷物を見ると贈り主が株式会社デストロイとなっているが、これはどうしたものか。

 確か夢のゲームを作る為に今のゲームを破壊する、という企業理念で発足し、ゲームで使えると思った技術はとにかく取り入れていき、その会社が提供する技術のクオリティが高すぎ、良い意味で逝かれてると一躍有名になった会社だ。

 そこまで思い出すと先ほどのミサとの会話が、勝手に脳内で再生されていく。とてつもなく嫌な予感が頭の中で鳴り響いている中、僕は勇気を持って箱を開けた。


 ――――中に入っていたのは最新型のPCとVR機器だった。


「キヨ!」


 玄関口から諸悪の根源が乗り込んできて、箱を開けて固まっている僕を見て笑みを浮かべながらこちらに向かってピースする。


「私も当たったよ!」


 自慢げにそう叫ぶミサを無視して、僕の視線はドヤ顔でささやかな胸を張るミサの後ろを、ミャーオと鳴きながら軽快に通り過ぎていく黒猫の姿に固定されていた。


 どうやら僕は奇跡的な確立で厄介ごとに巻き込まれてしまったみたいだ。

習作なのでアドバイス等頂けると嬉しいです。

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