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2話

 ………………目覚めると、見知らぬ部屋に居た。

 どうやらベッドの中で、仰向けに寝ているようだ。

 首まで布団を被っており、布団の温もりがとても心地良い。

 このまま気持ちよく寝ていたい、…………。


「…………あっ!」

 俺は、トラックに跳ねられて死んだことを思い出して、慌てて、体を起こした。


 …………とても狭い部屋だ。

 6畳ぐらいの広さだと思うが、縦に長いので4畳半の部屋のように感じる。

 窓に分厚いカーテンが掛けられているので部屋の中は薄暗いが、外は太陽が昇っているようだ。

 家具は質素なタンスとテーブルに椅子だけ。テーブルの上には濃い青色のウェストバックが置かれている。家具も部屋も時代遅れのデザインで、随分と年季が入っているようだ。


 扉の横に鏡を見つけた。

 木製の洗面器とタオル、水差しにコップ、床に木製のバケツ。……洗面台のようだが、随分と時代遅れだ。ここが病院だとは、到底思えない。

 先程から違和感を感じているのだが、それが何なのか良く分からない。


 …………ベッドの横に、ブーツが置かれているのを見つけた。

 俺は布団を横に剥いで、ブーツに足を入れた。まるで使い込んでいるかのように足に馴染んだ。

 立ち上がって自分の体を見るとシャツとバンツの下着しか身に着けていなかった。そして、違和感の原因が分かった。

 …………随分と痩せている。それに視線が高い。自分の体じゃないみたいだ。

 自分の体を確かめるために、扉の横の洗面台に急いで近づいて鏡を覗いた。そして、息を呑んで固まってしまった。


 …………そこには、高校1年か2年ぐらいの美少年が写っていた。

 手で頬を撫でてみると、鏡の中の美少年も手で頬を撫でた。

 鼻筋がすっきりと通っており、髪は癖の無い黒髪で短めに整えられている。大きな目に長い睫毛。目の色は濃くて澄んだ青い色。ジィッと目を見つめると、引き込まれてしまいそうな妖しげな魔性の魅力がある。中性的な顔立ちでボーイッシュな超美少女にも見える。


 後ろに下がり、シャツを脱いで上半身を鏡に映してみた。

 細身だが、腹筋は見事に割れており、スポーツ選手のように鍛えられた体だ。細身で瞬発力にあふれている感じで、これ以上はないと言うほど理想的な体。テレビで見た若きダビデ像のようだと思った。


 身長は177cmか178cmぐらい、……俺よりも10cmも背が高い。


 体重は70kg、いや、65kgぐらいだろう。……俺よりも20kgも軽い。


 鏡の少年は、銀色の太い鎖に銀色のプレートのネックレスを首に掛けていた。銀色のプレートは、3cm×5cmの薄い長方形で、両面に文字が刻印されている。まるで、軍隊の認識票だ。

 俺は装飾品を身に着ける趣味はないが、鏡の中の美少年には良く似合っている。



 ………………ふと、美少年の姿に見覚えがあることに気づいた。

「うそだろう!」と驚いて声を出した。

 ゲーム「迷宮都市の冒険者達」のキャラクターにそっくりだ。

 3日も掛けてカスタマイズしたキャラクターの顔に良く似ている。

 ゲームの3Dグラフィックで表現された顔は、少し荒いポリゴンで構成されていたので、大雑把な顔だったが、実体化したら鏡に映っている美少年の顔になるのだろう。こんなにも人間離れした容姿になるとは思いもしなかった。


 「迷宮都市の冒険者達」はインターネットに無料で配布されたオフライン用PCゲームだ。

 無料のゲームにしては市販されているどのゲームよりも、クオリティが高くマニアックで自由度が高いと物凄い人気だった。次世代ゲームとの評価も受けていた。

 戦闘やクエストで経験値を稼いでレベルを上げてキャラクターのステータスを強化し、様々なスキルを習得し、習得したスキルを使うことでスキルの熟練値を上げてキャラクターを強くするシステムになっていた。

 また、クエストを達成したり称号を得ることで、特性やレアなスキルを獲得することができた。

 特性とは、例えば、「頑強」、「加速」、「危険察知」などがあり、防衛力が上がったり、連続して2回攻撃が可能になったり、敵の攻撃を察知して回避能力が上がったりする。そして、特性にも熟練度が設定されており、熟練度が上がると上位の特性に進化する特性もあった。

 スキルの合計熟練値の最大値が設定されているので、どのようなスキルを習得するかで、特徴のあるキャラクターを育成することができる。例えば、剣を得意とする戦士や魔法を得意とする魔術師などだ。

 そして、シナリオ拡張オプションが次々と発表された。

 迷宮都市の地下迷宮は300階層までだったが、500階層まで拡張され、レベルは200から300に、ステータスは128から256に限界値が拡大された。

 同時に、鍛冶師、錬金術師、料理人と言った生産系のスキルが追加され、生産系のキャラクターで遊ぶための追加シナリオが配布された。

 同じように騎士用、魔術師用の追加シナリオ、商人として遊ぶことができる商人用の追加シナリオと、次々と、様々な職業用の拡張オプション、追加シナリオが配布された。

 そして、2週間程前に、地下迷宮を1000階層まで拡張する拡張オプションが発表された。

 拡張された地下迷宮を攻略するためには、最大レベルの300では不可能なため、レベルの限界値を999に、スキルの熟練値の限界値を1000から2000の倍にし、スキルの合計熟練値を無制限にする改造ツールが一緒に配布された。

 この改造ツールでキャラクターの初期ステータスやアイテムなどを自由にカスタマイズすることもできた。

 しかし、それまで必死にゲームを攻略した努力を無効にしてしまうツールであり、また、バランスブレーカーであると、ネット上で散々に叩かれてしまった。

 ツールと1000階層の拡張オプションを発表したのは、製作者ではない偽者じゃないかと言うデマもネット上に飛び交ったほどだ。

 俺は拡張された地下迷宮を攻略するために、改造ツールを使って、大事に育てたキャラクターをカスタマイズした。

 キャラクターの名前はリオン・ウォート。剣士と鍛冶師のスキルを極めたキャラクターだ。

 最強の武器である日本刀はプレイヤーキャラクターの鍛冶師でないと作成できないため、生産系の追加シナリオが配布された時に、鍛冶師のキャラクターとして新たにリオン・ウォートを作った。

 最強の武器や防具を作成するためには、地下迷宮にあるレア素材や高レベルのクエストをクリアする必要があるため、戦士のスキルも必要だった。そして、攻略情報を参考にして、ステータスも限界まで上げてある。

 2週間前に配布された改造ツールを使って、合計熟練値、レベル限界値、ステータスの最大値、そして、スキルの熟練値の限界値を最大に設定した。

 鍛冶の熟練値の最大が2000になったので、昨日までコツコツと鍛冶の熟練値を地道に上げていたところだった。 


 …………………………有り得ない。

 俺はトラックに跳ねられたて死んだはずだ。遅くまで残業して帰宅したことをはっきりと覚えている。まるでリオン・ウォートに転生したみたいだ。これでは、まるで小説の主人公じゃないか。こんな馬鹿なことがあるか!…………と叫びそうになるところを必死に我慢した。

 頭が真っ白になって何も考えられない。自分であるのだが、同時に自分じゃないような。自分のことなのに、まるで、他人事のような。


 俺は水差しの水を洗面器に入れ、バシャバシャと顔を洗った。そして、思い切って、顔を洗面器に突っ込んだ。……水が冷たくて、気持ちが良い。


「……ふぅ」

 洗面器から顔を上げて、頭を左右に振って、水を飛ばしてから溜息をついた。だいぶ落ち着いたし、頭もすっきりした。

 置いたあったタオルで顔を拭いて、ベッドに戻って腰を掛けた。


 体が軽い、それに、水が一杯に入った水差しがやけに軽かった。

 リオンのステータスなら気をつけないと簡単に家具を壊してしまうかもしれない。それに、五感が物凄く鋭くなっている。第六感のような不思議な感覚もあるのだろう。まるで世界が変ったかのように視力が変った。臭覚も聴覚も異常なほど鋭くなっているため、水の匂いが鼻に突いたし、部屋の中も布団や家具や埃の匂いなど微妙に混じって臭く感じる。窓の外の音や部屋の外のかすかな音が聞こえる。




「おはようございます」

 突然、耳元で、若い女性の声が聞こえた。俺は吃驚して、声の主を捜すためにきょろきょろと部屋を見回した。

「探しても無駄です。私は貴方のインターブレインです」

 再び、耳元で女性の声が聞こえた。インターブレインとは、何だ?

「インターブレインとは、貴方に分かりやすく説明するならば、貴方の頭の中に挿入されたナノマシンのスーパーコンピュータだと考えてください。視覚、聴覚などの五感は貴方の脳細胞と直結されていますので、あたかも目の前にディスプレイがあるかのように画面を表示することができます」

 つまり、頭の中に入っているスパコンってこと?

「はい。その通りです。勿論、正確には全く違う物ですが、そのように理解して頂ければ分かり易いでしょう」

 こんな設定をSF小説とかで読んだことがあるなぁ、つまり、君はAIなの?

「はい。そのように理解して頂ければ良いでしょう。貴方が想像しているAIよりも、遥かに知能が高いAIです」

 まるで、誰かと話しているみたいだ。

「人格も個性もありませんので安心してください。私は単なるプログラムでしか過ぎませんし、感情もありません。

 コミュニケーションを円滑にするために、あたかも人格があるかのように振舞っているだけです。 頭の中に誰かが住み込んでいる訳ではありません。

 貴方が良く知っているパソコンと同じです。単なる道具でしかありません。気になるようでしたら会話モードをもっと機械的な感じに変更することができますが、どうしますか?」

 いや、このままで良いよ。

「了解しました。貴方の感情シミュレーションの結果、現状維持で問題ないと判断しました」

 感情シミュレーション?……まぁ、何となく意味が分かるから説明はいらない。

「ありがとうございます。それではコミュニケーションを円滑にするために、私を呼び出すための名前を付けてください」

 いきなり名前を付けろと言われても、なかなか思いつかないのだが……、声のイメージから、14、5歳ぐらいの金髪の長髪で碧眼、白いワンピースを着た可愛らしい少女の姿を思い描き、直感で名前を決めた。

 よし、「アリス」で決めた。

「実際に声に出して、名前を言ってください」

「アリス」

 と俺は、声に出して言った。そして、今まで、声を出していなかったことに気付いて吃驚した。

「私の名前はアリスで、よろしいですか?」

「あぁ、君の名前はアリスだ」

「了解しました。私の名前はアリスです。よろしくお願いします」

「あぁ、こちらこそ、よろしく」

「私と話す時、実際に声を出さなくても、大丈夫です」

 分かった。

「貴方宛のメッセージがあります。読みますか?」

 メッセージ? 誰から?

「メッセージを読めば分かります」

 そうか、それじゃ、メッセージを見せてくれ。


 目の前にウィンドウが開き、メッセージが表示された。目の前の何も無い空間に画面だけが浮かんでいる。……不思議な感じだ。頭を右に向けても、そして、左に向けても、画面は視界の中央に浮かんでいる。

 俺は、メッセージに注意を向けた。


────────────────────────────────

 大門将人殿。


 前略。


 無理やりこの世界に引っ張ってきて悪かったな。だけど、あっちで死んでから引っ張ってきたから文句はないだろう。

 すでに気付いているだろうけど、ここは、「迷宮都市の冒険者達」の世界だ。いや、逆だな。この世界をモデルにして作ったゲームが「迷宮都市の冒険者達」だ。

 自分で言うのもなんだが、なかなか良くできたゲームだろ。特にお前さんの好みにぴったりだったはずだ。

 ここは、ちょっと特殊でな。まぁ、色々と面倒なことがあるのだが説明はせんよ。細かく説明したら、大百科事典ぐらいの分量になっちまう。

 俺がここを見つけたのは2万年前だ。地球よりも遥かに進んだ文明が滅びた後だった。

 とても生物が住める情況じゃぁなかったがな、俺が改造してなんと住めるようにした。

 管理システムを作って、あっちこっちの世界から住民を引っ張り込んで、なんとか様になるようにがんばったんだぜ。

 エネルギーのバランスを保つために、地下迷宮やフィールド上のダンジョンや、ここでは魔獣と呼ばれてるRPGのモンスターのような物を発生させるシステムやらと、俺でも大変だった。

 RPGに似てるかもしれんが、それは俺の趣味だ。あっちこっちに色々と楽しめる物も用意してあるから良いだろう。

 お前さんなら気に入るはずなんだけどなぁ。この辺の次元領域では変った世界と言えるかな。そっちの言い方なら、オタクの世界って言われそうだ。


 お前に謝る必要がある。

 お前が独身で平のサラリーマンなのは、俺が細工したからだ。

 ちょっと訳ありでよ。説明はしないが、悪かったと思ってる。

 すまん。


 お詫びのしるしに、お前さんのお気に入りのリオン・ウォートの体を用意しておいた。ゲームと同じで、ハイスペックな体だぜ。

 アイテム画面やウェストバックに気に入りそうな物をかたっぱしから入れておいた。ライブラリにも十分な情報を突っ込んであるから、何不自由なく生活できるだろう。

 ついでに、スキルや特性も足しておいたから、死ぬこともないだろう。

 リオンは魔法の力が殆ど無かったけど、そのままではちょっと困るので、魔法のスキルと能力を足しておいたぜ。

 それと、俺の遺産としてこの世界をくれてやる。色々と問題のある世界だが、そこは、大目に見てくれ。これでも最大限にがんばったんだぜ。

 どうやって受けとるのか って疑問に思うだろうけど、それは神の試練とでも考えれば良いだろう。受け取れるように細工しておいたから、この世界を楽しんでいれば何れは受け取るはずだ。

 これだけじゃ、分からんってか。

 なら、ヒントをやる。

 この世界の名前を捜してみろ。名前が分かれば、自ずと分かるだろう。

 まぁ、世界の名前が分かるのは遺産を受け取った後だったりするかもな。


 これを読み終えたら、お前のインターブレインに「基礎知識をロードしろ」と命令しろ。ここは日本語が通じないからな、言葉が通じないと困ると思うぞ。それと、基本的な知識も入れておいた、特に魔法に関する知識はサービスしておいたから、ここで生活するのが楽になるぜ。


 最後の忠告だ。リオンの力と能力は隠した方がいいぞ。リオンはスーパーマンみたいなもんだからな、バレたら普通の生活はできなくなる。

 ここには、化け物みたいな冒険者もいるから、そんなに神経質になる必要もないがな、程々に隠せや。

 それと、どうせすぐに地下迷宮に行くだろうけど、強くてニューゲームで開始した状態になってるから1階層から始めろよ。それと、夢中になりすぎるな。程々にしろ。


 Byダンテ(ここでは神と呼ばれてた)

─────────────────────────────────


 俺は、メッセージを何回も読み返して、内容を確認した。

 単なる悪ふざけのメッセージだと思いたいが、この情況では信じるしかないだろう。しかし、メッセージの内容をそのまま鵜呑みに信じるのもどうかと思いたい。

 それに、遺産がこの世界とは、一体、どういう意味なのかさっぱり分からない。ヒントが世界の名称を見つけろだとか、何かの悪戯としか思えない。

 そもそも、世界をくれるって、どんな意味があるの?

 神様みたいな力をくれると言われた方がまだ具体的じゃないか。

 お城に行って、「俺は神様からこの世界を貰ったのだ。だからこの城は俺の物だ」と言ったとしたら…………。

 まるで馬鹿じゃないか、いや、その前に変人扱いされて牢屋に入れられて頭を冷やせと言われるだけだろう。

 しかし、俺が独身で出世できなかったのが、こいつの所為だったとは、これこそ予想外だ。怒る気力も湧いてこない。


 ………………はあっ!


 俺は盛大に溜息をついて、肩をがっくりと落とした。

 メッセージの内容は忘れることにする。神と言っているけど、狂人が書いた戯言だ……。本当に神だとしたら、……知らん。神がどんな奴かも分からん。俺が思っている神とは絶対に違う。神がこんなふざけたメッセージを書くはずが無い。考えるのを止めよう。時間の無駄だ。

 ……………………。

 しかし、トラックに跳ねられて死んだことは間違いないらしい。俺の体は、とっくに火葬されているだろう。

 両親は、両方とも死亡しているし、兄と妹は、俺と違って何人も孫がいる。俺が死んでも、問題は無いだろう。まぁ、兄には、葬式とか、手間を掛けさせてしまうことになるが、そこは、勘弁して貰うしかない。

 定年後は、趣味のゲームをとことん楽しもうと考えていたが、今さら、人生をやり直すことになるとは思わなかった。

 これからどうするのか、悔しいけど、メッセージに書いてあった通りに、地下迷宮に篭ることになるだろう。何せ、60にもなったおじんなのに、生粋のゲームオタクだもんな。


 兎に角、メッセージの指示通りに、まずは、基礎知識をロードするべきだろう。

「アリス」

「はい。マスター」

「基礎知識をロードしてくれ」

「了解しました。基本知識をマスターの主記憶にインストールします。基礎知識のインストールは、すぐに終了しますが、眩暈が起きる可能性がありますので、横になることをお勧めします」

 俺は、ブーツを脱いで、ベッドに仰向けになった。

「結構です。それでは、基礎知識のインストールを開始しても良いですか?」

「いいぞ、始めてくれ」

 俺が返事をすると、膨大な量の知識が、俺の中に流れてきた。物凄い勢いで流れ込んでくる知識が俺の記憶になっていくのが分かった。曖昧だった俺の記憶が、徐々に鮮明になっていくのを感じた。そして、同時に、頭がはっきりしてきた。天才にでもなったかのように、頭が物凄く良くなったと思った。

「基礎知識のインストールが終了しました」


 俺は起き上がって、再び、ベッドに座った。

 不思議なことに、昨日の夜、リオンが2泊分の金を払って部屋を借り、宿の食堂で晩飯を食べてから部屋で服を脱いで寝た記憶がある。


 ……ふと、時間が気になると、アリスが08:03 と情報をくれた。

 リオンの情報やアイテム画面などが気になるが、空腹であることに気付いた。それに、起きてから随分と時間が経っているように思う。

 アイテムやライブラリに登録されている情報を確認するには、時間が掛かるはずだ。まずは、朝食を食べた方が良さそうだ。朝夕の食事代も宿代に含まれているので、朝食を抜いたら勿体無い。


 再び、ブーツを履いて、慎重に体を動かすように気をつけて、タンスから近未来の戦闘服のような服を出して身に着けた。

 昨晩、寝る前にタンスに入れた記憶がある。

 硬そうな素材で出来た肩当や胸当が付いているので、革鎧のように見える。黒地に青いラインが入っていて、SF映画に出てきそうなハイカラなデザインだが、……まるでコスプレだ。

 戦闘服の腰には、刃渡りが30cmぐらいのソードブレイカーのような大きな戦闘用ナイフが差してあった。

 SF映画に出演する2枚目俳優のように格好良いのだが、しかし、実際にこんな格好で出歩くなんて正気を疑う。

 コスプレは見るのが楽しいのであって、60のおじんがやることじゃない。リオンの体は若いけど、それでもやっぱり嫌だ。

 こんな服を着て外に出たくないのだが、他に着る物がないのだから仕方が無い。諦めてテーブルの上に置かれたウェストバックを身につけた。

 テーブルの上に部屋の番号か書かれた木製のプレートが付いた鍵も置かれていたので、部屋を出て、扉の鍵を掛けてから、階下の食堂に向かった。


 「騎士王物語」の3話、4話を流用しています。手を加えていますが、ストーリの大幅変更にはなっていないと思います。感想で指摘された点を反映したつもりです。少しは読みやすくなっているかも。

 主人公の描写を増やしています。感想で指摘された内容を考えると「騎士王物語」の方は主人公の性格などが旨く描写しきれてなかったなと思いましたので。

 私の脳内の主人公は変っていない(はず)のですが、違った印象を受けてしまうかもです。

 ストーリを変更しているので、伏線が変っています。


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