TALE 03 魔導具の力
長い間休止してました。
今月から徐々にUPしていけたらなと思ってます。
リビィとゼノスが合流を果たすと2人は
聖地へ向かっているケドナ族の追跡を再開する。
と、 2人の後方からこちらに向かって来ている足音が聞こえた。
すかさず振り返り戦闘態勢に入ろうと背中のブレードに手をかけたゼノス。
スキャンでその反応を捉えたリビィは少し首を傾げながら腰の銃に手をかける。
「リビィ、 何人いるかわかるか?」
「それが1人なんだよ…。 ケドナ族と思ってたけど違うみてぇだな」
すると2人の視界に1人の女性の姿が映った。
彼女を見たリビィはすぐにその女性が誰なのか分かった。
「あんたは…村の…」
「はい、 サシアです」
「どうしたんだよ、 なんかあったのか?
しかもあんた1人で」
「実は…お願いがあって来ました。
私も一緒に連れて行って欲しいのです」
「……おっさんどうするよ? 連れてくか?」
「いや…危険すぎる。
申し訳ないが引き返した方がいい」
「だな。 わりぃが一緒に連れてけねぇわ」
リビィとゼノスは彼女にそう言い残してその場を去ろうと背を向ける。
「待って下さい! 聖地の場所まで案内できます。
今からでも十分に先回り出来ます。
どうか私に案内させて下さい!!」
「先回りか……よし、 じゃあ一緒にいくか」
「お、 おいリビィ!」
「大丈夫だって俺達で守ってやればさ。
で、 どっちに行けばいいんだ?」
サシアが聖地の方角に指を向けると
いきなり彼女を抱きかかえた。
「あ、 あの…リビィさん」
「いいから、 じたばたすんじゃねーぞ。
おっさんスピード上げるけど…大丈夫か?」
「余計な気は使わんでいい」
「オーケー、 んじゃ行くぜっ」
抱きかかえたリビィは聖地目指して一気にスピードを上げた。
その後を少し遅れて続くゼノス。
森の中を風の様に駆け抜けて行ったのだった。
リビィはサシアを抱きかかえていると言うのに
後ろのゼノスとの距離を保ったまま走り続ける。
しばらくすると森の向こうに岩で出来た洞穴が見え始めた。
「リビィさん、 あそこです」
洞穴の手前までやって来るとサシアをおろした。
リビィはその周辺を見渡しながらスキャンで敵がいないかを探る。
そこへ遅れて息を切らしながらゼノスが到着した。
「おっせーぞ、 おっさん」
「はぁ…はぁはぁ…はぁ。
あ、 あた…り前だろ…はぁはぁ」
「何で魔導具使わないんだよ。
そういう時の為にあんだろ?」
「はぁはぁ…はぁ…。
お前みたいに魔力を容易く扱えんのだ」
「そんなに難しいのか? 魔力扱うのって」
「訓練された人間でも、 せいぜい2~3回が限度だろうな…」
「ふ~ん…ま、 いいや。
それでこの洞窟に入んのか?」
「はい。
ただ…何年も使っていなかったので道が塞がってなければいいのですが…」
そう言いながら洞窟に入って行くサシア。
リビィとゼノスもその後に続いた。
洞窟の中はもちろん真っ暗なのだがリビィのスキャンは
周りの地形情報も把握できるので問題なく進める。
途中で先頭を歩くサシアの前に出たリビィはたいまつを見つけ
サシアに渡すと再び彼女を先頭に洞窟の奥へと向かう。
「このまま真っ直ぐ進めばいいのか?」
「そうです。
よかった、 道は塞がれていない様です」
「今からでも遅くはない、 村に引き返した方がいい。
この先は戦闘も覚悟しなければならない。 危険だぞ」
「ケドナ族の習性はあなた方より詳しい。
私なら大丈夫です」
「今ここで帰して途中で襲われてみろよ
そっちのが危険だろ?」
「……それは、 そうだが…」
「おっさんはあいつらの数を減らす事だけを考えてればいいんだよ。
こいつの事は俺に任せとけって!」
洞窟は深く掘られてはいるが道は単純な一本道。
しばらくするとすぐに出口らしき明かりが見え始める。
リビィは出口の明かりを確認するとスキャンを
探索モードから敵索モードに切り替える。
そして2人より先に出口に近づくと辺りを調べ出した。
「おい…火を消せ」
リビィに言われるがままサシアは持っているたいまつを
地面に擦り付けて火を消す。
ゼノスはリビィの後ろに付いて辺りを警戒すると
「奴らがいるのか?」
「…あぁ。 でも大丈夫。
ここからまだ2キロ離れた辺りにいるから」
「上手く先回り出来た様だな」
洞窟から抜けたリビィ達の周りは相変わらずの森が広がっている。
サシアが聖地の場所を指して2人に告げると
その顔を見たリビィとゼノスは彼女の視線の先を目で追った。
すると木の葉の隙間から建物らしき物が顔を出していた。
「あれが…」
「我が木の民の聖地、 タタイです」
「よし、 奴らが来る前に行くぞ。
リビィ、 スキャンで奴らの位置を随時確認しろ」
「わかってるって!」
そしてケドナ族より先に聖地タタイに着いたリビィ達。
3人の目の前には巨大な大木がどっしりと鎮座しており
その大木をくり抜いて中に神殿らしき建物が埋め込まれている。
この神殿が彼女たちの神を祭ってあるタタイの神殿であった。
奥には祭壇が設けられており、 そこに牛の様な姿をした像が置かれている。
「これが我が木の民の神、 タタイです」
「で、 宝はどこに隠してんだ?」
「宝?」
「奴らが狙ってる物だよ。 金とか宝石とか…。
誤解すんなよ、 何処に隠してるか把握しとかないと護れねぇだろ?」
「ケドナ族が狙ってるのはこの…タタイの像です」
「え? この像?」
「奴らはこの石像を狙ってるのか?」
「そうです」
「え~こんなぼろっちいの欲しがってるのかよ。 ただの石像だろ?」
「リビィ…!」
「貴方にはそう見えても私達にとっては命よりも大切な物なんです!!」
「申し訳ないサシア…。
リビィは悪気があって言ったのではないのだ」
「……わかってます。
でも…この像はなんとしても護らなければならないんです!」
「大丈夫だサシア、 俺に任せとけ」
と、 話が一区切りついた所でリビィのスキャンに反応が映る。
「奴らが来たぜ…!」
リビィは神殿の入り口まで来ると辺りを再び見渡した。
サシアを中で待機させたゼノスは続いてリビィの元へ行くと
ブレードを引き抜いた。
「10時の方角と4時の方角に分かれてる。
おっさん、 何か作戦があったら言ってくれ」
「数はどれぐらいいる?」
「どっちも70弱ってとこだ。 突っ込むか?」
「私だけでな…1人でもこの中に入れてはならん。
ここはお前が護れ」
そう言いながら懐から金属の腕輪を出して左手首に装着した。
「へへへっ、 やっとそいつのおでましか」
「実戦ではまだ一度も使った事はないが…
さすがに2人であれだけの人数を相手にするのは無理があるだろ」
次にゼノスは腕輪に手をかけた。
腕輪はスロットルの様に握って回せる仕組みになっており
それを回すと効果が出ると言う訳だ。
「お、 おい、 今使うのかよ」
「戦闘中は出来るだけ隙を無くしたい」
すると森の向こうから微かに足音が聞こえ始める。 しかしまだ姿は見えない。
「なるべく多くを巻き込んでみるが…零れて来た奴らは頼んだぞ」
ゼノスは腕輪のスロットルをゆっくりと回すと腕輪に紋章が浮かび上がり
その紋を光が滑り出した。
キュイィィンと言う電子音がなったと同時にゼノスは
リビィの前から突然消えてしまった。
いや、 消えたのではなかった。
彼は物凄い速さで敵へと走って行ったのだ。
そう、 この腕輪こそが魔導具と呼ばれる物であった。
「はえぇ~♪」
ケドナ族の群れに向かってどんどん距離を詰めていくゼノス。
僅か2秒足らずで群れの先頭に辿り着くや否や
持っていたブレードを力いっぱい横一閃に振り抜いた。
「どあぁぁぁぁ!!」
ゼノスのたった一振りで70近くいた敵の群れが全て吹き飛んでしまった。
油断していたのはもちろんであったが余りにも素早く
そして力強い一撃にケドナ族は何の抵抗も出来ないまま倒れていった。
「はぁ…はぁ…。
まさか、 もう時間か…」
息を切らしながら腕輪を見ると、 紋章の光が徐々に薄れ始めていた。
「…まだ向こうに敵が残ってると言うのに……はぁはぁ……は…ぁ」
ゼノスはブレードを地面に突き立て、 そこにもたれる様にして息を整える。
一方、 敵の反応が一気に消えたのをスキャンで確認していたリビィは
残っている敵がスピードを上げて神殿に向かって来ている事に気づく。
「まだ半分残ってるじゃね~か…」
リビィはゼノスへ通信を送る。
「おいおっさん、 何やってんだよ。
まだ半分残ってるぜ」
((す、 すまない…。
どうやら思っていた以上に体力の消耗が激しい様だ…はぁはぁはぁ))
「…ったく。
1人も入れるなっていくら俺でも無理だぞ」
リビィは後ろに手を回して2丁拳銃を取り出すと構えを取った。
「人間って本当に不便なんだなぁ」
スキャンに映ってる敵の反応が段々と接近して来ている。
反応通りなら群れはリビィの前方から現れる。
と、 いきなりスキャンの反応に動きがあった。
群れは一気に辺りに散らばったのだった。
「なるほど…あいつら……結構頭いいんだな」
((リビィ……大丈夫か?))
「へへ…別の意味でピンチだ…」
突然足音が止んだ。
「(ん? 奴らの動きが止まったぞ…どうした…?)」
と、 リビィが油断してると四方八方から槍が飛んで来た。
「やべっ…!」
無数とも言える数の槍を何とか回避するもその内の数本の槍が
彼の手足に突き刺さった。
「うぐっ…」
しかしレプリロイドであるリビィには大したダメージにならない。
「かかれぇぇぇぇ!!!!」
「イヤァァァァイ!!!!」 「アイアァァイァァァ!!」
リビィの僅かな隙をついて森の影から
勢いよくケドナ族の群れが飛び出してきた。
槍を引き抜いて1人ずつ対処していくリビィだが
余りにも多い数に群れに飲みこまれてしまった。
リビィの上に山の様に盛り重なって行くケドナ族達。
しかし1人だけそれを離れて見ている者がいた。
その者はしばらく様子を見た後、 神殿へと歩いて行く。
リビィのスキャンはその1つの反応に気づいていた。
「うぐぐぐぐ…ぐおぉ…ぉぉ…。
…駄目だ身動きとれねぇよ…くっそぉ…やべぇぞ…。」
サシアが神殿の入り口までやって来ると目の前には
その者が立っていた。
「ユ、 ユマカリデ!!」
「サシア…タタイの像を渡すのだ」
「嫌だ!! あんたこそ早く自分の村に帰って!!」
「お前1人に何が出来ると言うのだサシア」
「ユマカリデ…何でそうなったんだよ…。
昔のあんたは人を殺したり…しなかった…優しい人だったのに…」
「………サシア、 早く渡すのだ。
仲間をあのままにしておくと死んでしまうぞ。
いいのか?」
サシアはケドナの群れに押しつぶされているリビィを見る。
「渡したら…自分の村に帰ると今度こそ約束して!!」
「約束する。 それが手に入ればここには用は無からな…」
「………くっ!!」
涙を浮かべながらユマカリデの顔を睨むサシアは
ゆっくりと祭壇に向かって歩き出した。
その時、 リビィが彼女の名前を叫んだ。
「サシアァァァ! 俺なら心配ねぇから!
絶対に渡すんじゃねぇぇぇ!! わかったなぁぁ!!」
ユマカリデはその声にリビィの方に顔を向けた。
「普通の人間じゃないな…」
「よ…し…! 見てろよ…………。
う、 うぉぉぉぉ……おぉぉぉぉぉぉ~!!!!!」
リビィは全身に力を込め、 ゆっくりと上に乗っかっている群れを持ち上げて行く。
「な、 なななな、 なんだぁ…!?」
「ば、 ばば、 ばばば化け物だ……」
それを見たユマカリデは懐から腕輪を取り出した。
そしてそれを装着しながら言葉を放った。
「仕方ない…」
腕輪のスロットルを回すとその掌を持ち上げているリビィに向ける。
「ぐぐぐ……ぐぐ……。
!?
お、 お前…それ…ってまさか…!?」
「石の民の神、 ケドナよ。
我に力を……」
祈る様に言葉を発するとユマカリデは向けていた手を力強く握った。
すると、 リビィの周りの木々や地面が浮き上がり
一気に中心であるリビィに向かって飛んで行った。
そして辺りに衝撃と砂埃が舞う。
ちょうどその時ゼノスが到着し、 その光景に目を疑った。
「この星の文明レベルを遥かに超えている…。
貴様何をした!!」
ユマカリデの腕のスロットルがゆっくりと戻っていく。
それと同時に光も消えていった。
ユマカリデは腕輪をゼノスに見せると口を開いた。
「これか?
これはシェルマクであるガレット様より譲り受けた物…。
神の力だ」
「シェルマク?」
「神の使いと言う意味です…」
「サシア、 お前が躊躇っているせいで
仲間を1人死なせてしまったぞ」
「ば~か、 誰が死んだって?」
「なに…!?」
砂埃の中から、 ニヤッとした笑みを見せながら出て来たのはリビィ。
木や岩が確実に命中したにも関わらず彼の身体は無傷であった。
服に着いた砂や土を払うと、 飛び上がってゼノスの横に着地した。
「大丈夫なのか?」
「あんなんで死ぬかよ。
それより……おい…ヤドカリ」
「………」
「お前あの像が欲しいんだろ? じゃあくれてやるよ」
「リビィお前何を!?」
「欲しかったら自分で取りに行け」
「………」
「…どうした? くれてやるって言ってんだぜ?」
「……ぐ…う…」
ユマカリデは入り口の手前まで来るが
何故かその中に入ろうとはしなかった。
後ろにいるリビィの顔を睨むと再び前の祭壇を見る。
神殿の中にいるサシアでさえも何故ユマカリデが中に入らないのか不思議に思っていた。
リビィがユマカリデに笑みを見せながら神殿の中へ入った。
「そう、 こいつは中に入れないんだよ」
「!?」
「……くっ」
「どうして入れないかまではわかんねぇけど…。
こいつはこの中に入れない。 だよな? ヤドカリ君」
「………まさか、 よそ者に気づかれるとは…」
「へへへ…。 だから安心していいぜ。 サシア」
「ユマカリデ…」
「今回は………退いてやる…。
だが次はシェルマク自らがお前達にお会いになられるだろう。
もちろん、 いい意味ではないぞ…!!」
ユマカリデはそう言うと走り去って行った。
「俺がそのまま見逃すとでも思ったのか」
リビィがその後を追おうとするのだがゼノスが声を飛ばした。
「よせ!! 追うんじゃない!!」
「な、 何で!?」
「態勢を整える必要がある。
お前には必要ない事かも知らんがな」
「………オーケ」
「とりあえずは、 像を奪われずに済んだのだ。
もうしばらくは奴らも動きを見せんだろう」
「ゼノスさん、 リビィさん、 本当にありがとうございます」
「いいっていいって♪」
「お嬢様に状況を報告せねば」
ゼノスは通信を開いてリオネを呼ぶ。
そして現在の状況などを説明した。
((そう、 でも無事でよかった。
リビィは? 回線開いてないみたいだけど))
「リビィも一緒です」
((ねぇ、 さっき言った事もう少し詳しく話してくれない?
魔導具の事))
「はい。 ちゃんと確認した訳ではありませんが
腕輪と使用中に浮き出る光る紋章などから自分は魔導具であると思います。
ただ…もし魔導具であったとするなら疑問が残ります」
((何で、 ケドナ族に扱えるのか…))
「はい…。
特別な訓練を受けた人間でさえも十分に扱える代物ではありません。
ユマカリデはそれを使用したのに息1つ零さずに余裕な表情を浮かべていたのです」
((魔導具は魔力を使って使用する事からそう呼ばれているんだけど
普通の人間は魔力は作り出せない…だから体力を魔力に変換して使用するの。
ユマカリデは魔導具を使ったのに体力の減少が見られなかった。
と言う事は…))
「奴らには…魔力があると…?」
((わからない…。 でもそれだと何故平然でいられたかが理解できるでしょ?
いくらケドナ族の身体能力が優れているからと言っても人間には変わりない。
もし魔導具を扱える何かがあるなら魔力があるって考えるのが普通だと思う))
「思ったより苦戦しそうですね。 まぁこいつがいれば安心ですが…」
ゼノスは寝転んでサシアと話してるリビィを見ながら微笑んで伝えた。
((じゃあ今からそっちに向かうね。
ユマカリデが何故その中に入れなかったか調べたいから))
「いけません! 自分が迎えに行きますのでそこで待機していて下さい」
((うん…わかった。 気を付けて))
「もう敵はいないのでご安心を…通信終わり」
ゼノスはリオネとの通信を終えるとリビィに声をかける。
「俺のが早いから俺が迎えに行くって」
「敵が攻めて来た時、 私よりお前の方が対処出来るだろ。
お前はここで待っていろ」
「でも奴らこん中に入れないから来ても大丈夫だと思うけどな」
「念には念をだ。 いいから待ってろ」
「へいへい、 わかりましたよ」
「お気をつけて…」
サシアの言葉に笑って頷くとゼノスは
やって来た洞窟を目指して走り去って行ったのだった。
その頃
村に残っていたリオネは村人と共に聖地へ行く準備を進めていた。
一緒に聖地へ行くのは危険だと考えたリオネは
タタイ族の長、 カムラにその旨を伝える。
「カムラさん…お気持ちはわかりますが…とても危険です。
皆さんはここに残った方が安全なのでどうか考え直して頂けませんか?」
「…むぅ、 し、 しかし……。
よそ者である貴方達ばかりに頼っていいのでしょうか。
我々の問題は我々で解決したいのです」
「はい。
ですが、 そうとは言ってられない状況になったんです。
貴方達だけでは手に負えない状況に…」
「…わかりました。 本当にありがとうございます。
なんとお礼を言ったらいいか…」
「お礼なんて……」
カムラは村人にここに残る様に伝えた。
「リオネさん、 …貴方達はやはり………」
「はい…?」
とその時、
村の門番をしていた者が話をしているリオネ達に向かって
声を荒げながら走って来た。
「カムラァァ!! カムラァァ!!! 大変です!!
ケドナ族がこちらに向かって来てます!!」
「なんじゃと!?」
「そんな…ゼノスの話だとケドナ族は皆撤退したって…」
カムラが門番の男の肩を揺さぶりながら問いただす。
「本当にケドナ族か!?」
「だって……あいつら以外襲ってくる者は…」
村の門の方からいきなり炎が上がった。
リオネ達は急いで駆け寄って行く。
門は破壊され、 家は見る影もない。
先程の爆発によって黒く焦げた村人が
数人地面に転がっているのをリオネの瞳に映った。
そして恐る恐る視線を上げていくと3人の影が森から出て来た。
「……ケドナ族じゃない。 あんた達何者!?」
「へっへっへっへ。 やっと見つけたぜ……」
纏まりのないぼさぼさの髪に無精髭を生やした顔が
気持ち悪い笑みを浮かべながら持っている銃をリオネに向けた。
「さぁ、 船をよこしな!!」