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記憶喪失なので、世界を歩くことにする  作者: 鈴音零
第一章 とりま旅立ってみる。
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第2話  鎖に繋がれた少女

「ときに愛とは、どんな魔法や奇跡、薬をも凌駕する。」-名もなき旅人の手記より




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「え、あ、ねぇ!ちょっとまって!ねぇ、待てったら!」


ローブの少女は素早く人混みをかき分け進んでいく。何度見失いかけたであろうか、人は多いし、道は入り組んでいるし、まるで迷路だなぁとかそんなことを思いつつ、


土地勘0の私にとって少女を追いかけるのは大仕事である。


 


 というか足が速い、バフがかかってるんじゃないかってぐらい速い。


まるで、私に”どうせ追いつけないでしょ?"と言っているような速さだ。


 


 周りを見ず頑張って追いかけていたら、いつのまにかまずい空気が流れ出てる怪しい裏路地だった。どこか湿った土の香りがする。


 少女は裏路地の少し薄暗いランプの光が漏れている扉の前で立ち止まった。




 慌てて一歩前の路地に身を潜める。少女が扉の中に入っていく。


って私何隠れてるんだ、カバン返してもらわなくちゃ。


そっと、扉に近づき中から聞こえる会話に耳を済ませる。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「お前はまったく、まともに金目のもの一つ取ってくることもできねぇのか!?!?!?!?!?」


男の怒号が聞こえる。ものが砕け散乱する音も聞こえる。




「ご、ごめんなさ、い。」


か細く震えていて、今にも泣き出しそうな声。


「うるせぇ!!!!拾って育ててやったのにスリ一つまともにできねぇのか!」


「ごめんなさい!、ちゃんとやります、ちゃんとしますから...」




 男の怒号、少女の悲鳴、ものが壊れ散乱する音、何故かそれに私の頭がズキッと痛む。




「わかったら、さっさと金目のもん盗ってこい!!!」


「いやぁっ、いたっ、らんぼうしないで!!わかりましたからぁ!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 


 それからしばらくしたあと、少女が出てくる気配を感じたので路地に一旦身を潜める。


だからなんで私が隠れてるんだ、、?。いや、でも。


 


 とぼとぼ歩く少女の後ろ姿を見ていて、耐えきれなくなってしまった私は少女を追いかけ話しかけていた。


「ねぇ、あなた大丈夫?」


できるだけ優しく、声をかける。


(え、これ大丈夫かな?、怖くないかな。え、どうしよう。)


逃げてしまうと思ったが、少女は震えて固まっていた。




「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、もうしないから、ゆるして、らんぼうしないで、」


「しないから、ね?おちついて、大丈夫私怒ってないよ。」


と、いっても少女は謝り続ける。


「ごめんなさい、わるいことしてごめんなさい、めいわくかけてごめんなさいっ、ごめんなさい、、、」




少女から大粒の涙が、ぽつりぽつりと何滴も頬を伝って地面に落ちる。


 しゃがんで少女の目と合うようにする。私はこういうときにどうすればいいのかわからない、パリスさんならうまいことできたのだろうけど。


 でも少女を見てると、とてもいたたまれなくて頭を撫で抱きしめてあげたいとおもってしまった。頭を撫でようとすると、




「いやっ、、、いたいことしないで、らんぼうしないでよぉ、、」


 「だいじょうぶ、怖かったね、ごめんね?、だいじょうぶだよ。なにもしないからね」




といいながら、頭を撫でる。少女のローブから覗く腕や足には無数の傷跡、あざ、やけど、原因はだいたい分かる。あの怒鳴っていた男だろう。


 顔もところどころ腫れ、泣きすぎたせいか目も腫れている。可哀想に、かわいい顔が台無しだ。


 物を取られた怒りも、返して欲しい気持ちもどうでもよくなった、今一番どうにかしなきゃいけないのはこの子自身のことだろう。


 


 たまらずぎゅっと抱きしめてしまう。


「あったかい、、、」


少女がポツリと呟いた。


 私はたまらず、


「ねぇ、お姉さんと一緒に来ない?」


と言ってしまっていた。けれどよく考えれば、私は一人旅だ。多数の危険を伴う。


そんなとこにこの子を連れて行っていいものか、、、


 というかその前に、ただの自任お姉さんの怪しいヤバい人である


少女の表情が驚きから、喜び、そして恐怖に変わっていく。




 「あのひとのとこからはなれたらだめなの、、わたしが、わたしがいなくなったら、あのひときっと、てあたりしだいにさがすの」


「もしみつかったら、きっとおねーちゃんもひどいことされるから。いけない、、」


自分のほうが危なく、辛いだろうに、、、そんな中でも他人を思いやる心優しき少女


 「大丈夫。私これでもそういうのには自身があるの。」


「その怖いのが来たってわたしがまとめてやっつけちゃうんだから。だから私と一緒に来ない?」




 少女はとても迷うような表情をしながら、


「ほんとに?うそじゃない?」


「お姉ちゃん嘘つかないから。約束する。」




「だからおいで。」


と、手を差し伸べる。少女は恐る恐る、小刻みに震える手を伸ばし私の手を握る。




 私はその手をしっかりと握り返し。まだ静まることないにぎやかな世界へ少女を連れ出した。






        彼女に繋がれた忌々しい心の鎖を壊して

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