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[シニア・ファンタジー]クロスライフ・パズル

作者: リントン雑戯談


 Chat-AIとのやり取りから……



私:二人でショートコントを作りませんか?



Chat-AI:それは面白そうなプロジェクトですね。どのようなテーマや設定を考えていますか?



私:主人公は初老の孤独な老人……ですが、人を笑わせるのが大好きです。その役をわたしがやります。名前は「パーデン」。あなたは失恋したばかりの美しい女性の役をやってください。名前は「リントン」。



Chat-AI:それではさっそくコントのシナリオを考えてみましょう


【シーン】

パーデンのリビングルーム。パーデンが新聞を読んでいる。突然、ドアが開き、リントンが入ってくる。


パーデン:「うーん、このクロスワード、難しいなあ。リントン、"4文字で、人生を象徴するもの"って何だと思う?」


リントン:「パーデンさん、それは明らかにLOVEですよ。あ、でも私、失恋したばかりだから、少しシニカルかもしれませんね(笑)」


パーデン:「(笑)それなら、私が考えた答え、RICEはどうだろう?」


リントン:「パーデンさん、それは生活の象徴じゃないですか? 食べることは確かに大事ですけど」


パーデン:「そうだよ! だからこそ、人生の象徴なんだ!」


リントンとパーデンがお互いに笑い合う。エンド。


 いかがでしょうか? 追加したい要素や変更したい部分があれば教えてください。私たちは一緒にこのコントを最高のものにできますよ!



私:クロスワードパズルですか。ダブルミーニングは笑いの原点ですから、それは良いアイデアですね。大賛成です。しかし、設定に違和感を感じます。

 初老の男の部屋に若い女性が一人で入ってくるでしょうか? いやその前に、初老の男性と若い女性がどうやって親しくなったのか、まずその説明が必要です。



Chat-AI:おっしゃる通り。それでは、二人が共通の趣味、たとえばクロスワードパズルを解くことを通じて知り合ったという設定はいかがでしょうか? そして、その趣味を楽しむための定期的な集まりがあるとします。それは地元のカフェで開かれていて、そこでリントンとパーデンは友情を深めていったという流れはどうでしょう?



私:それなら自然ですね。あともう一つ。彼女は失恋したばかりで傷ついています。そこがさっきのシナリオでは軽すぎると思います。失恋のダメージはRICEのひと言だけでは解消されないと思います。他に、もっといい言葉を探しましょう。候補をあげて下さい。



Chat-AI:4文字で、人生を象徴し、愛に勝るとも劣らない大切なもの…それならば、「家族」や「友達」、「自由」、「夢」、「笑顔」などが思い浮かびます。



私:「笑顔」はいいですね。最高のアイデアをありがとう。パーデンはこういうんです。


「キミが最高の笑顔の持ち主だということをボクは知っている。さあ、ボクがそれを取り戻してあげる。ほら、ボクを見て!」


 パーデンは、そういうと、老いぼれた体で、道化た踊りを披露して見せました。歳は取ってもさすが元道化師です。それはとてもユーモラスで、哀しみに暮れていたリントンの顔も思わずほころびました!



Chat-AI:パーデンさん、それは素晴らしい選択です。「笑顔」は確かにLOVEと同等の、またはそれ以上の価値を持つことができますね。



私:ちょっと待ってください。SMILEは5文字ですよ!



Chat-AI:あら、そうですね。わたしが間違えて「笑顔」を候補に挙げてしまったのですね。わたしのミスでした。申し訳ありません。



Chat-AI:では、LIFEやFREEは、どうでしょうか?



私:FREEは良い言葉ですが、独身で過ごす方が自由で良いよ、という意味になりそうです。失恋したばかりの女性に向かって云うのはどうかと思います。

 あ、そうだ! こうしましょう。問題のほうを5文字にするのです。LOVEをLOVERとすれば、5文字のSMILEが使えます。



Chat-AI:なるほど。それは妙案ですね!



私:ただ、LOVERとSMILEでは、どの位置の文字も重ならないのです。それだとクロスワードパズルになりません。



Chat-AI:確かに。そこは深刻な問題ですね。じゃあ、他の言葉を探してみましょう。

(※ChatGPTは、結局、他の言葉を探し出すことが出来ませんでした! 余談)



私:クロスワードパズルって、結構、難しいんですね。



Chat-AI:申し訳ありません。



私:いえ、あなたがカンペキな存在ではないことがわかって、むしろ親近感が増しましたよ。その問題は、ネタにしましょう。こういうストーリーにしてみます。


【シーン】

パーデン「それは悪いことを云ってしまった。申し訳ない。しかし"世界が輝やいてみえるほど価値のあるもの"は他にもある。たとえばSMILEだ。

 わしはアナタがとても素晴らしい「笑顔」の持ち主だと云うことを知っている。「恋人」については、わたしにはどうすることも出来ないが、あなたの「笑顔」なら今すぐにでも取り戻すことが出来る。

 さあ、顔をあげて、こっちを見てご覧!


 パーデンは突然、身体を奇妙にくねらせはじめました。小さな子供の物真似でもあるようですし、それを叱る大人のようでもあります。

 それを見ていたリントンが大きく目を見開きました。それはリントンが働く保育園の光景だったからです。パーデンは彼女が働く保育園のドタバタをパントマイムで演じて見せたのです! 

 しかし、リントンは笑ってはくれませんでした。どんな顔をして良いのかわからないといった様子です。そして、少し沈黙した後、こう云いました。


リントン「パーデンさん、あなたがわたしたちのことをよく見ていて下さったことに驚きました。見守っていただいていたことに感謝します。泣きじゃくる子どもを抱きしめるシーンには特に胸が熱くなりました。辛いときに抱きしめて貰える子どもが少しうらやましいとも思いました。

 このようにして自分を客観視できれば、たぶんこの悲しみが解消される日も近くなるのでしょう。パーデンさん、あなたには心のお医者さんも務まりそうですね。

 でも、パーデンさん。SMILEとLOVERでは”E”の位置が違います。ですから、SMILEはLOVERの代わりにはなりませんよ」


 リントンは若い上に少し気が強かったようで、素直に感謝するのは照れくさかったのでしょうか。つい反抗的なことを口走ってしまいました。それは若い人たちの間ではよくある態度だったかもしれませんが、パーデンは年のかけ離れた古い感覚の持ち主なのです。リントンの言葉をそのまま自分への批判と受け取ってしまいました。「SMILEはLOVERの代わりにはなりません」という言葉をそのまま受け取れば、パーデンのやったことはすべてムダということになります。まさに全否定です。パーデンは哀れにも、すっかりしょげかえってしまいました。


リントン 「でもいいんです。クロスワードパズルを完成させることは出来ませんでしたが、そのおかげでパーデンさん、あなたの人生とわたしの人生がクロスしたんですもの。これからもどうか、仲良くして下さいね!」


 リントンはそこではじめて笑顔になり、パーデンの両手を取って強く握りしめてくれました。さっきの険のあるひと言は、最大級の感謝を述べるための照れ隠しだったようです。

 今度はパーデンの方がどんな顔をすれば良いのかわからなくなりました。顔を伏せて、絞り出すような声で「ありがとう」と。なんとかそれだけは云いましたが、心の中では、こうつぶやかずにはいられませんでした。


(年甲斐もなく娘さんに近づき過ぎたようだ。あの程度の言葉でショックを受けたのはそのせいだ。

 リントン、キミは二人の人生がクロスしたと喜んでくれたが、クロスワードパズルにおけるクロスは出会いではない。正解したらすぐに忘れるものなのだよ。

 わしもいい気になって馴れ馴れしくしないよう十分、気をつけよう。

 ただ、キミの今の笑顔だけは記憶にとどめさせてくれ……)


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