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鍵士~宝箱を狩るもの~  作者: ほむひ
7/7

~07 モクランの願い~

師走に入り、意外と忙しい毎日で更新が遅れてしまいました。

ついでに、投稿していたはずなのに、消えてしまっているというミステリーも…

つい先日始めたばかりですが、早くも今年も年の瀬。

ありがとうございましたというにはまだ早いかもしれませんが、まずは今年一年ありがとうございました。

 『カンカンカンカンカンカンカン・・・・』

 物見やぐらの上では、非常時を知らせる鐘がけたたましく鳴らされている。ミミックが蔵を破壊した物音で、その出現に気付いた張り番が鳴らしている物である。

 モクランとタクもその音の鳴る門を目指して、一路駆けていた。

 

 「っはぁ、っはぁ、ね、ねぇ、タク。待って、待ってったら!」

 

 タクに繋がれた手を多少強引に振りほどきモクランが言う。

 それに驚いたタクだったが、モクランの肩で息をしている様を見て、無理をさせていたであろうことをなんとなく察した。


 「・・・ご、ごめん、モクラン。」

 「もう、早すぎ!タクがこんなに強引だなんて知らなかったわ!「・・・う、うん、ごめ…」でも、少しだけかっこいいなと思ったりもしたけど…」

 「・・・ん?な、なんていっ」 

 「な、何でもないの!それより、門に行く前に、あなたのお母さんのとこ行かなくていいの?」


 モクランに怒られたと思ったタクが少し食い気味に謝罪をしたせいで、最後のほうはどうやら聞こえなかったらしい。自分の失言に気が付いたモクランに強引に話の方向性を変えられて、その発言はなかったことになってしまった。

 そして、その後のモクランの問いかけに、


 「・・・い、いいんだ。おじさんに約束したから。モ、モクランを門のところまで連れて行って、先生に預けて、あ、安全になったら迎えに行くよ。だ、大丈夫、母さん強いから。」

 

 自信なさげだが、確固たる決意を胸にタクは言う。

 そんなタクを見かねてか、モクランは大きく息をつくと、


 「はぁぁぁ、もう、そういう問題じゃないでしょ!お母さんまだ足が動かないんでしょ?家事だって、なんだって全部タクがやらないとうまくできないんじゃない!そんなお母さんを置いて、私だけ逃がしてもらったって、全然うれしくないわよ!」

 

 と、目を吊り上げながら言う。こうなったモクランは強い。それを知っているタクではあるが、なんとかなだめすかそうと、


 「・・・う、でも…」

 「ぐずぐす言わないの!タクはあたしを守ってくれるんでしょ?だったら、あたしはタクの大事な人を守るから、あたしごと守って!」


 結局は強引に言いくるめられてしまう。理由も何もないと反論できなくもないが、そこは子供同士、勢いに任せてしゃべったほうが勝つに決まっている。もともと口数の少ないタクは、結局はモクランに逆らえるわけもなく、


  「・・・そ、そんな無茶苦茶な…」


 と、尻すぼみな不満を伝えるだけが精いっぱいであった。

 そんな、タクを見て、少し溜飲が下がったのか、一転優しい表情を作ったモクランは 


 「あたしはね、村一番の薬師の娘なの。薬師である当様が色んな人を救うのをずっとそばで見てきたの。だからね、あたしが頑張るだけで救える人がいるのなら、あたしは頑張りたい。ね?お願い、タク。」


 と、上目遣いに懇願する。タクも大好きな母親のためでもあり、何よりモクランの頼みでもあるため、もう諦めるほかはない。結局は 


 「・・・ぅぅ、わ、わかったよ。」

 「やった、ありがと、タク、大好きよ。」


 タクの承諾を得るや走り出すモクラン。その背を追うように駆けだしつつ、タクは独り言ちる。


 「・・・ずるいや、モクランは。そんなお願いされちゃ、断れないよ。」

 「ん?何か言った?」

 

 急に立ち止まって振り返ったモクランにあわてて、


 「な、何でもないよ!」


 と返しつつ、二人は一路タクの家に向かうのであった。


見つけてくれて、読んでくれてありがとう。

次回はタクの母親が登場する回となります。

いい感じの人物に書けるといいなと、来年の自分に期待しつつ(もしかしたらもう一話投稿できるかもですが)締めとしたいと思います。

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