2-16
明けましておめでとうございます。
無理もない。編入前まで一般の学校に通っていてこのような非日常体験を目にしているのだ。
「ああ、宮野さんはご存じなかったわね。遠城さんはこのチェスに何回か挑まれているのよ」
「え?」
「遠城さんはこの学園では有名人って話は聞いたわよね?入学試験では首席で入学、しかも使い魔がS級で有名なブラッドキャット。そんな人物が部活も入らずにいるのだもの挑まれない理由がないわ」
と延々と琴羽に関しての伝説をまた聞かされることとなった宮野であった。
「先生、ありがとうございます。勝利できたのも先生のおかげです」
どうしましょう、猫が暴走しております。
チェスに勝利をし、寮に帰ろうとして競技場から出たら何故か冬夜が跪いてきた。
とりあえず、手の甲にキスするのをやめようか。そして、スリスリと頬擦りするな。
どうして、こうも変態なんだろうか。この猫。
「おや、先生。ハンドクリームを変えましたか?前まではカルドネヤ社のハンドクリームでしたよね。今つけているのはレメット社のハンドクリームですね。桃のほのかな香りが人気の秘密らしいですけど」
ノンストップで話すのやめてくれないかな?しかも、ハンドクリームのメーカーとかよくわかったな。
この猫、怖すぎるんだけど。
頬が引きつる私をうっとりと見つめる。
美形なのに残念過ぎる。そして、クラスメイトがいる前でやめてくれないかな。
皆ドン引きしているんだけど?
「先生、授業のサポートいいチェスと言い今日はお疲れでしょう。今夜、よろしければ私がマッサージをいたしましょうか?ご心配いりません。気持ち良くして差し上げますよ」
「イイエ、ケッコウデス」
なんか厭らしい言い方してくるのもやめてくれるかな!?
その後、なんとか冬夜の説得に成功をし皆で仲良く学寮に帰る。
「あ、あの。遠城さん」
帰っている最中にこそっと声をかけてきた子がいた。
横を見れば星野愛がいて、恥ずかしそうにもじもじとした様子だった。可愛い。
「こ、今度よろしければ同系魔法を見てもらえませんか?その、上手く出来なくて…」
何で敬語何だろうと思ったけど別にこれと言って予定もないしいっか。
「勿論、私でよかったら」
「!ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」
ぱあっと背景に花が舞っているのが見えるぐらい嬉しそうな星野さん。やっぱり可愛い。
「………そういえば、星野って琴羽のこと憧れているんだっけ?」
「うん。確か中等部のころからずっとだったし、今なんてファンクラブの会員だったと思うけど?」
こそこそと話す二人の会話など聞こえないまま、私は星野さんとの話に夢中だった。
そういえば、今気づいたんだけど冬夜がいなくなっていた。先に帰っちゃったのかな?




