8話:変化
傷だらけで帰った俺とアリスさんは、シルヴィアさんにめちゃくちゃ怒られた。
「心配したのよ。中々帰ってこないから。」
と言っていた。
その後、俺達はクエストが終わった事、特殊なミノタウロスが出現した事等を報告した。
「報告ありがとうございます。こちら報酬ですが特別報酬が出ています。お疲れ様でした。」
「ありがとうございます。」
袋を受け取ると中には8000ゴールド、鉱石類、あとは…
「紅いミノタウロスの素材…?」
紅いミノタウロスの素材が入っていた。
「どうだった?」
とアリスさんが袋を覗いた。
「おぉ…かなり苦労しまー」
とそこまで言ったところで採掘場に入る前のアリスさん会話を思い出した。
『敬語なしね』
「かなり苦労したからね」
うわぁ…はずかし…
アリスさんは少し驚いたようだったが、やがて花の咲くようにパァっと笑顔になり、
「そうだね!」
うぅ…ドキドキする…そう思っていると
「とりあえず、鉱石類はもらっていくね。」
俺は鉱石類の入った袋を渡した。するとアリスさんはんー、と唸り、
「その素材どうする?」
「どうするって…どうし…どうする?」
慣れない…
「そうだなぁ…」
「これだけあれば武具の1つぐらい作れそうだけど…」
そうなのか…
「じゃあ、お願い…」
しますと言いそうになったがやめた。
「わかった。じゃあミノタウロスの素材も貰うね。」
「…うん」
「今日はしっかり休んでね。」
「うん」
まだまだ慣れる必要がありそうだ。
そこで俺とアリスさんは別れた。
俺はトロワに来てからは宿に泊まっている。
「今日は疲れたな…」
と部屋に帰ると沼の様に寝た。
2
「ん…あぁ…もう朝か…」
眩しい…眠い…
2度寝するのを咎めるように朝日が俺の目を焼く。
「今日は何をしようか…」
いつまでもお金はもたないので、どちらにしろクエストなり、何なり、外に出る必要がある。
結局、着替えてギルドに行くことにした。
ギルドの中に入ると、何やら書類を書いていた。
「こんにちは、シルヴィアさん」
「あ、ジル君こんにちは。」
「何やってるんですか?」
「昨日のクエストとかの報告書書いてるの」
「職員の人ってそんなことするんですか?」
と聞くと、シルヴィアさん苦笑して
「えぇ…これがかなり面倒くさい仕事なの」
「へぇ…」
ちらっと紙を見てみたがかなりの量の書き込む欄があることが分かる。
「ジル君、今日は何かする予定あるの?」
「いえ…特に無いですけど…」
「そっかー…」
すると、何か思いついたようにシルヴィアさんはそうだ!と言い
「ステータス見ようか!」
「へ?」
「すぐ書くから、ちょっと待っててね。」
3
しばらく待っているとシルヴィアさんが
「ごめんね…待たせちゃって〜」
「いえいえ、別にいいですけど…ステータスを見るってどういう事ですか?」
疑問に思ったことを聞いてみると、
「この前ミノタウロス倒したでしょ?」
「はい」
「実はミノタウロスはLv.10位でやっと倒せるぐらいなんだけど、強い分、経験値も多いの。」
「え…そんなに強いモンスターだったですか…」
俺、よくもそんなモンスター倒せたな…
「まぁ、その紅いミノタウロスがどのぐらいかは分かんないけど、レベルとか上がってるかもしれないし、ステータス見てみようか。」
と押し切られた。
見たくない理由は特にないのでいいが…
ということで石版の前まで来た。
俺は石版に手を当て、解析が終わるのを待つ。
「おっ、出たね」
と紙を取り、内容を読むシルヴィアさん。
「え?…」
「どうしたんですか?」と俺もその紙を覗いてみると、
ジル/Lv.1 →Lv.3(+2)剣士
力:D(100→160)(+60)
敏捷:D(100→150)(+50)
マナ:E→D(85→100) (+15)
斬適正:96%→97%(+1)
打適正:65%(+0)
遠距離適正:60%(+0)
魔法適正:80%(+0)
スキル【勇者】
・剣技、適正の補正
・身体能力の強化
・盾使用時の盾性能強化
・強い意志程強くなる
・成長する
【魔法】
火炎
広範囲に火炎を放射する。
凍結
氷を発生させる。
「…?」
スキルの内容が増えてる…?
「いや…」
それだけじゃない…
「強い意志であればある程強くーってどういう事ですかね?」
それに成長する、もだ。
「さぁ…私もこのスキル自体初めて見たから…」
と2人でしばらく頭の上に?を浮かべた。
すると
「あ、あのっ、紅いミノタウロスを倒したって人に会いたいんですが…」
少女のような声が響いた。
続く
10話難航中です。
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