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何者でもない俺が勇者になるその時を  作者: ふぇりす
1章:始まりの時と始まりの街
6/38

6話:アリス武具店(中編)

前編後編で終わらせるつもりが中編が出来てしまいました()

1

シルヴィアさんによる説教が終わった後、

「ごめんね、ジル君。手伝ってあげてくれないかな…?」

シルヴィアさんが申し訳なさそうに言った。

「いえいえ、剣を作るためですし…」

それにクエストがどういうものか知っておく必要がありそうだしなぁ。

2

「まず、クエストについてね。クエストには大きく分けて2つあるの。」

アリスさんがボードに紙を貼った。

「各ギルドが脅威と認識して討伐依頼を出す討伐・殲滅クエスト。」

シルヴィアさんがモンスターとギルドのイラストが書かれた紙を指した。

「次に住民やいろんな人々から依頼が出される依頼クエスト。」

沢山の人のイラストが書かれた紙を指した。

「報酬については討伐・殲滅クエストはゴールドや討伐目標のモンスターの素材とか割と決まった物が多いわ。」

と、そこまで言った所でアリスさんが付け足した。

「こっちは複数人やいろんなパーティを集めて行くことが多いから必然的に用意しやすい報酬になるからね」

「だから討伐目標の素材なんですか。」

「そういうこと。」逆に、とシルヴィアさんは続け

「民間からの依頼クエストは依頼主によって報酬やゴールドが変わりやすいわ。」

ちなみにゴールドとはお金の事だ。

「例えばどんな報酬があるんですか?」

シルヴィアさんは少し考え、

「そうね、それこそ珍しい鉱石だったり、高級な物だったり、いろいろね。」

そうなのか。

ん…待てよ…ということはもしかして

「あの、つまり割に合ってないものもあるんですか?」

と聞くと、

「まぁそういう事ね。」

そして、言いずらそうに

「だからいつまでも残っちゃうクエストもあるのよね…」

シルヴィアさんはため息を吐いた。

「あぁ…」

シルヴィアさんはギルドの事を喋る時、よくため息を吐く。苦労しているのだろう…

「んじゃ、いつまでも喋ってても始まらないから、クエストに行きますか!」

待ちくたびれたのだろうか、アリスさんが言った。

「そうね」

そう言って、シルヴィアさんはカウンターの仕切りの奥へ入っていった。

2人になったのを狙い済ましたように、

「今日はよろしくね」

とアリスさんが耳元で囁いた。

あまりの事に俺はビクッとしてしまい、

「ふ、ふぁい…」

顔が熱かった。何を思ってそんなことを思ってとアリスさんの方を見ると、

ふふふ、とアリスさんが満足げにニコニコしていた。

やめて欲しい…と心の底から思った。

3

戻ってきたシルヴィアさんに「どうしたの?」と聞かれたが、とにかく「なんでもないです」と答えた。

不思議そうな顔をしていたが、

「まぁいいわ」

納得してくれたのだろうか?…

準備を終えたアリスさんが

「ちなみに今回は依頼クエストだよ。」

目的以外の素材も貰えるかもしれないし…そう悪そうな笑顔で呟いた。

「じゃあ、今回のクエストの説明をするわ」

さっき説明の時に使ったボードにクエストの依頼内容が書かれた紙を張った。

「今回のクエスト内容は採掘場に住み着いたリザード達の討伐ね。依頼主は採掘場の管理者よ。」

依頼主を聞いた瞬間にアリスさんの目が光った。

「報酬は4000ゴールドと基本的には鉱石ね。そんなに数はいないから、そこまで苦戦はしないと思うわ。」

「無理はしないこと。ジル君は初めてのクエストだから特に。絶対無事に帰ってくるのよ」

シルヴィアさんが言い終わると、

「じゃ、行こうかジル君」

「はい」

そうして俺とアリスさんはトロワを出て目的地に向かった。

4

俺はいつもの剣に村に居る時から使っている胸当てに魔導書という軽装備だが、一方でアリスさんはと言うと腰にレイピアの様に細い剣、篭手、中くらいの盾、胸当て、ブーツに魔導書とポーチにいろんなアイテムを入れている。

「アリスさんって普段1人でクエスト行ったりするんですか?」

準備などもかなり手慣れているような感じだったので疑問に思った。

アリスさんはこちらを向いて

「そうだね、素材の在庫が切れそうになった時とか、単純にお金が欲しい時とかにクエストに行くよ。急にどうしたの?」

「いえ、準備に慣れているようだったので…」

そこで会話は途切れた。

目的地はそう遠くない所なのでもうすぐで着くのだが、こうも沈黙が続くと気まずい…

そんな俺の気持ちを読むかのように

「ジル君」

「なんですか?」

「うーん…」

「???」

急にどうしたのだろうか?

「あの、どうしたんですか?」

アリスさんは黙ってしまったので聞き返してみると、

「そういうの無しね」

「え?」

どういうことだろう?

「敬語やめない?」

「えっと…?」

「だって、なんか硬いって言うか…もうちょっと砕けた感じにして欲しいな…」

アリスさんは頬を少し膨らまして不機嫌そうにした。

「あ、えっと…はい…」

そう答えると、腰に手を当てて顔をこちらに近付け

「ほーら、そこはうん、でしょ?」

俺は恥ずかしくて目を逸らして、

「う、うん…」

と返した。

「よろしい。」

アリスさんは満足そうにした。

凄く恥ずかしい。フラム村ではカルネや母さん以外で女の子はもちろん、女性と喋る事なんて無かったのだ。

つまり、女性と喋るのは苦手だ。

このことを考えてても仕方ない。やめよう。

5

そうして2人で歩いていると目的の採掘場、と言うより洞窟に着いた。

「ここだね」

アリスさんは地図を確認して入って行った。


しばらく進むと開けた場所に出た。

「お、いたいた」

と、アリスさんが言った。

辺りには緑色の鱗に、青色の目、身長の半分はあろうかという尻尾の生えたトカゲがいた。身長は180cmぐらいはあるだろうか。手にはショートソードを持っている。

「さ、行こうか。」

そう言って、アリスさんは魔導書を腰から外して剣を抜いた。ちなみに魔導書は戦闘時などには飛ぶ。学校で原理を習うんだろうが、別に魔道系を専攻してなかったので俺は習ってない。

俺も魔導書を出し、剣を抜いた。

アリスさんは俺が準備が整ったのを確認するとリザードの群れに向き、走った。

リザードはこちらに気づき、アリスさんに剣を振り下ろすがそれを盾で防ぎ、横腹に一太刀。更にリザードが怯んだ所を一閃。リザードは瀕死だったが、腐ってもモンスター、毒をアリスさんに向かって吐いた。がアリスさんは

「盾〈プロテクト〉!」

魔法で毒を跳ね除け、近接し最後に一突きするとリザードは倒れた。

今までのイメージとは全く違うアリスさんに見とれていると、別のリザードがこちらに向かってきた。

が、

リザードの歩みは止まった。

「洞窟が揺れている…?」

リザードの群れが洞窟の奥の方を向いた。

それに釣られ、奥の方を見ると何やら黒い影がこちらに向かってきた。

「え?…大きくない?」

とアリスさん。

どすん…どすん…と足音をたて、黒い影の顔らしき部分が上を向く。

「ヴォォォォッ!」

という音が響いた。

「え?」

「え?」

続く

只今7話が絶賛難航中でもしかしたら明日更新出来ないかも知れません。

待ってて下さい

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