___友達___
「…ともだち…」
「…友達じゃないの? 私たち」
きゅっと皺が寄った眉間を見て、香澄はばたばたと手を振った。
「いや、友達だよ! でも今試合中だから、ペアだから心配されてるのかと思っちゃっただけ! 友達だよ!?」
懸命に弁解していると、汐が小さく笑った。
「わかってるよ。でも、テンション戻ったみたいでよかった」
よしよしと言うかのように頭を撫でる。
「さっきも言ったけど、話したくないなら聞かないよ。みんな何かしら考えることはあると思うから。でも、私は、友達のマロンがテンションが低いと心配。それだけは覚えておいてね」
香澄はすっと、さっきまであんなに悩んでいたことが消えたような気がした。
そっか、友達。劣等感なんか感じなくていい。友達、なんだから。
始まるよ、と再び前を向いた汐に、香澄は横から抱き着いた。
「ありがと、汐ちゃん」
「わかったから離れて。先輩たちの試合始まるから」
「はーい! 私たちも頑張ろうね!」
☆ ☆ ☆
「…後輩が可愛い…尊い…」
「いろは? ねえ試合始まるよ」
「だって、見て。かわいい…」
「語彙力が溶けてる…いろはの方が可愛いよ」
「菜摘。ちゃんと見て。後輩の方が圧倒的に可愛い」
「あーはいはい! トスしますよー!」
強制的に前に向かされたいろはの隣で、前衛の菜摘がトスをする。
選んだのは表。そして回ったラケットが倒れたのも表向き。
「サービスで」
「コートこっちでお願いします」
ボールと受け取った二人はバックラインまで下がる。一分間の練習を経ていろはがサーブの位置につく。
「ファイブゲームマッチ、プレイ!」




