___対東商業___
「最初はどこと?」
「東商業と。団体戦ならそこまで驚異じゃないって、昨日佐久間さんが言ってた」
オーダーを提出して戻ってきた一成は、東商業高校について説明する。
東商業高校。陽ノ朱と同じく、メンバーが人数ピッタリしかいない。陽ノ朱と異なるのは一年生がいないという点。その為、手の内は去年の資料を見れば大体わかる。
「気をつけないといけないのは前衛のスマッシュ。威力がとんでもない」
「あー、一昨年当たったっけ? いろはが滑りながら返したの」
「膝が血みどろになったやつ…そうだね、東商業の同い年だった…」
遠い目をしながら、いろはがベンチに荷物を置く。その隣に菜摘も荷物を置いた。
「あの時はファイナルで負けちゃったからねえ、いっちょ一昨年の雪辱を晴らすとしましょうかあ!」
意気込む菜摘の横で、やっと合流できた佐久間がぽつりと言った。
「まあ君たちはそこと当たらないけどね」
「ええ!?」
「当たり前でしょ。向こうで一番強いのは、最高学年の林・竹内ペア。傾向を見る限り、三番手が最初に出てくることが多いから相里・桜井が先鋒。次鋒は川守・栗野で、大将は木暮・木暮。一年生に初戦大将は辛いと思うしね」
さらりと説明してのけた佐久間を、部員たちはぽかんと見つめる。その視線を受けて、彼は居心地悪そうに眉を顰めた。
「なに?」
「いや…コーチっぽいこと言ってるなあと、思いまして…」
「コーチだけど!? ちゃんと部活も行ってたじゃんおれにしては!」
「まあほぼ遅刻でしたけど」
「二分ぐらい許してよ! それでも毎日行ったじゃん!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ佐久間を横目に、一成は部員に整列するよう促す。
「佐久間さんも行ってください」
「はいはい。ああ…青少年がおれに厳しい…」
「うだうだ言ってないでください」
「厳しい…。ていうか、あいつは毎回来てたの?」
あいつと言うのが姫城であると理解した一成は渋い顔をして目を逸らした。
「いや、来て、ましたけど…」
「なに、あいつなにをやらかしたの」
青い顔をする佐久間に、一成は言いにくそうに口をもごもごさせる。相手の整列が始まってるのを見て、早く話さないと佐久間が動けない。諦めてひとつため息を吐いた。
「相手の顧問が男だと、試合の後に止められたりしたんで…ほとんど俺が挨拶に行ってました」
「ああ…あいつそういうとこあるよね…」




