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___佐久間___

ぽこんぽこんと、乱打の音がする。

佐久間はその問いに驚くこともなく、いたって普通に答えた。


「おれは普通に、高校卒業と同時に辞めたよ」

「大学で、続けなかったんすか?」

「うん。テニサーもあったけど、なんか違ったし。三年になった時にテニスコートで受付のバイト始めたけど、それもあんま長く続かなかったなあ」

「続かなかったんすか」


びっくりして再び佐久間の方を向くと、彼は眉を下げて苦笑いした。


「だって、テニスコートにテニスしに来る人って絶対一人じゃないじゃん? 少なくとも一人は、一緒にテニスしてくれる相手がいる。おれは大学にテニスやってる友達いなかったから…ずるいなあって、思っちゃって、辛くてやめた。まあそんなんならテニサー入ればよかったじゃんって話なんだけどさあ」


どこか寂しさの滲んだ声音で答えた佐久間に、一成は言葉を詰まらせた。

それを横目で見た佐久間はベンチの上に足を乗せ、膝を抱え込む。


「…だから君は、プレイヤーに戻ると思ってた。君にはテニスを続けられる道があって、一緒にしてくれる仲間もいるんでしょ? けど、おれと同じじゃなかったんだね。君には君の仲間がいて、君たちの目標があった」


さらりと長い髪が風に浚われる。体育座りの体制のまま彼は視線を遠くに投げた。

一成も同じ方向を見る。見えるのはオレンジ色に染まりかけた空。


「…はい。だから、目標を達成させるためにも、佐久間さんには頑張ってもらいますからね」

「ほどほどにして…今もマジで眠いから…」


膝に顔を埋めて、しくしく泣くふりをする佐久間はスルー。…しようとしたが、今にもその体制のまま眠りにつきそうだったので一成がバインダーで背中を叩いた。



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