__姫城先生と佐久間さん__
「終わったよ」
「ああ、ちょっとこれ見てくれ」
一成が、携帯の画面をいろはに向ける。
「…どう思う?」
それは、姫城先生からのメッセージだった。
「…佐久間さんって…あの佐久間さんだよね…?」
「ああ…。あの、どこでもすぐに寝落ちる管理人の佐久間さんだよ…」
姫城先生からのメッセージをもう一度読み直し、いろはは絶句した。
「佐久間さんが…姫城先生の後任の顧問…!?」
☆ ☆ ☆
「どぉぉぉいうことですか姫城先生!!」
「どういうことも何も、送った通りよぉ」
部活が終わって、部員たちは保健室に駆け込んだ。
「いやわかりませんって! なんで急に!? ていうか姫城先生、学校辞めるの!?」
「辞めないわよぉ。ただお休みを貰うだけ」
「なんで!?」
姫城先生はキラキラ輝く指先を、顎に当てて首を傾げた。
「妊娠したのぉ」
その瞬間、保健室の時間が止まった。
固まって動かない部員の前で、姫城先生はぱたぱたと手を振る。
直後、保健室に大絶叫が轟いた。
「ちょっとぉ、ここ保健室なんだから静かにしてよぉ」
「あっごめんなさい…って違う! 妊娠!? 赤ちゃんいるんですか!?」
「うん」
「なんでそういうこと早く言ってくれないんですか!?」
「びっくりさせたくてぇ」
「質が悪い!」
菜摘がぎゃんぎゃん騒ぐ。いろははまだ固まっていた。双子は開いた口が塞がらず、汐と香澄はキラキラと顔を輝かせている。
「姫城先生、お腹触ってもいいですかっ?」
「いいわよぉ」
「…そんなに、大きくない…?」
「まだねぇ」
三人がそんな話をしている時、保健室のドアが開いた。
「あら、しんちゃんじゃないのぉ」
「こ…このっ…」
ドアの前に立っていたのは佐久間。こぶしを握り、わなわなと震えている。
「この悪魔ぁぁぁっ」




