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__決断__

「かず先輩」

「…おう、どうした」


テニスコートで、一成の前に双子が立つ。


「…遅れて、すみません」

「ああ。…で? どうする?」


二人は顔を見合わせた。

鏡合わせのように向かい合い、同時に深呼吸する。


「一ヶ月間、ペアを解消させてください」


一成は表情を変えない。


「我儘なのはわかっています。でも…私が、今のままじゃ駄目なんです。お願いします」

「私からもお願いします! 絶対、予選には間に合わせます。だから」


「つまり」


雪斗の言葉を途中で止め、一成は腕を組む。


「ペアの連携を崩さず、ストロークのレベルアップもし、尚且つ前衛練習も疎かにせず、できるんだな?」

「…もちろんです!」


普通は、試合前にペア練習をしないなんてことは絶対にしない。


「必ず間に合わせます。ありがとうございます!」


雪奈は深く頭を下げて、ラケット片手に走っていった。


「…雪奈ちゃんは真面目ですから。ちゃんと私が保証しますよ」

「ああ。見てればわかるよ。ほらお前も準備運動してコート入れ」

「あ。かず先輩、そうだった。私からもお願いがあるんです」


一成はバインダーを見つめながら、なんだ? と問いかけた。


「走ってきていいですか?」


一成がバインダーから視線を上げる。そして眉を顰め、聞き直した。


「なんて?」

「走ってきていいですか?」

「…今?」

「今です」


当然、と言うように頷く雪斗に、彼はこめかみを押さえた。


「あー…今? 部活中だぞ」

「私、自分で言うのはなんですけど、ストローク上手いと思うんです」


雪斗の真剣な声に、一成の表情が引き締まる。


「雪奈ちゃんを信用してないわけじゃないんですけど…もし万が一、億が一にでも雪奈ちゃんのストロークが完成しなかったとして、呼吸も上手く合わなかったとして。この間の試合みたいに振り回されてバテちゃ駄目だと思うんです」


だから、と言葉を続ける雪斗の顔は、いつものような底抜けの明るさではなく、落ち着いていた。


「私は体力つけて、どんなに振り回されても取れるようにしなくちゃ」


「…お姉さんだなぁ」

「えっ、私ずっとお姉ちゃんですよ!?」

「あーはいはいそうだな。いいよ。行ってこい」


一成がそう言うと、雪斗は「ありがとうございます!」と勢いよく頭を下げてコートを出て行った。


「いっせ〜、雪斗はー?」

「か、ず、な、り! 走り行ったよ」

「あ、そうなの? ちぇ、いろはは雪奈に掛り切りだし一年ズもなんかやりたい事あるみたいだし…ぼっちじゃん」

「ドンマイ」

「うわ! うーわ! 心無い! いろはに振られちゃえ」

「おいマジやめろ殴るぞ」


菜摘の言葉に、一成が顔を赤くする。

そんな彼を見て、菜摘は声を上げた。


「いっせいもぼっちじゃん! 私と乱打しよ! ね!?」

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