表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/51

___姉妹喧嘩___

「おはよう、相里」

「あ、おはよう。合宿所取れた?」


朝。通学路でいろはを見つけた一成は、挨拶をしながら隣に並んだ。


「あー…うん。一応。来月にもう一回行くけど」

「あはは…佐久間さん」


これから朝練だ。菜摘は遅刻するだろう。

どうにかして遅刻癖を直せないだろうかと一成は思う。が、多分無理だ。


「…一成、次の予選…」

「ああ、来月だ。勝つと予想しての末の合宿だからな。頑張れよ」

「その事で相談なんだけど」


一成は、いろはの相談事に目を丸くした。


☆ ☆ ☆


「…喧嘩したんだって? 双子」

「「うっ」」


テニスコートで腕組み仁王立ちの一成。と、その前に並ぶ木暮双子。


「だって! …雪奈ちゃんが」

「気にしないでください、ただの姉妹喧嘩ですから」


雪斗の言葉を打ち切るように雪奈が言葉を被せる。雪斗は目を丸くして雪奈を見たが、すぐに目を逸らした。

仲違いしたか? と思ったが、雪奈の表情がいつもより数倍険しかったので聞けなかった。

二人がコートに散ってから、一成はいろはを呼ぶ。


「ど、どうしたんだあいつら…ガチ喧嘩じゃないか」


そうなんだよね、といろはは苦虫を噛み潰したような表情をした。


「昨日の部活終わりに、雪奈が急に言い出したの。『しばらくペアを崩して欲しい』って」

「…は?」


素っ頓狂な声をあげる一成。いや、だって。


「この間の試合で、ペア崩したくないって…」

「うん。…よく、わかんないけど。崩すっていうか…雪奈も後衛練習したいみたいな」

「…突然だな」


雪奈が後衛練習に加わるのは賛成だ。でも、雪斗がそれを良しとするか。

そして、何故「ペアを崩したい」とまで言ったのか。


「…予選前だっていうのに」


テニスコートに戻るいろはを見送りながら零す。

ペアで練習する時間も、二人の間に会話はない。一年ペアは心配そうに二人をチラチラ見ている。

雪斗は、本気でショックそうな顔をしていた。


「あああああっ! おはよういっせい! 間に合った!?」

「間に合ってねーよ」


バタバタと練習着にスクールバッグを背負ったスタイルで駆け込んで来た菜摘が、テニスコートを見て首を傾げた。


「…双子どったの?」

「え、お前知らないの?」

「あー、昨日練習終わったらその足で帰っちゃって。制服部活なんだよね」


それでその格好か、と一成は納得した。


「あのな…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ