死の先での非日常
今日、私は死にました。
……日差しが照りつける夏の日。
彼、黒崎 渚は焼けるような暑さの中、まるで鉄板の様なコンクリートの歩道を歩いていた。
(今日も平凡な1日だったな)
彼には悩みがあった、それは、普通すぎる日常。
ごく普通の学校を出て、会社に入り、年をとっていく。
色恋沙汰も無い、まるで無色な日常。
いや……一度だけ、普通ではない事もあった。
彼は、人を刺した。
……きっかけは些細な事だった、学校での口論。
学生というのは、精神的にもまだ不安定だ。
相手の言った心無い言葉が、彼には深く刺さった。
ただ、それだけ。
しかし、彼は刺した感触を楽しんでいた。
それからは、その感覚を忘れるように勉強をし、卒業した。
……話を戻そう、彼はそれを除けばいたって普通な男だった。
漫画や小説の、非日常的な物に憧れる、普通の男「だった」
……それは一瞬だった。
……道路には子供、近づいてくるトラック。
彼は、子供を庇い、そのまま……
(……あぁ、俺、このまま死ぬのかな)
横たわる彼は、血で紅く濡れていた。
「おい!大丈夫か!誰か救急車を!」
近くにいた人が、焦った様子で叫んでいる、それもそのはず、渚が子供を庇い、トラックに引かれたのだから。
「おい!しっかりしろ!今救急車が来るから!!」
「……あの子は……大丈夫ですか」
「ああ、あんたのおかげで無事だよ」
「そう……ですか……なら……良かっ……た……」
「あ、おい!」
(……最期に、こうやってヒーローみたいな事が出来るなら、本望かな……)
そして、物語は動き出す
――死の先での非日常――
彼が目を覚ましたのは、コンクリートの壁に囲まれた部屋だった。
月明かりが部屋を照らしている、家具といったものは、テレビ以外に見受けられない。
彼の目の前には、「ナニカ」がいた。
目からは血が流れ、口は裂け、手足は細く、長い。
「……誰だ、なぜ俺は生きてる」
「俺カ?俺はナートスっつう死神ダ」
「死神、ねぇ」
「変わった人間だナ、驚かねぇのカ?」
「驚くもクソも、一回死んでるのに生き返ってたら、普通死神ですって言われても驚かねぇだろ、何が目的だ?」
死神と名乗ったモノは、小さく笑った後に話し始めた。
「たいした奴だナ、お前にハ、これからゲームをしてもらウ」
「ルールは簡単、人を殺セ、人を殺せばお前が生きる時間が長くなル」
「何……?」
「質問は後ダ、一年間、一年間生きたらお前を生き返らせてやル」
「殺す方法は自由ダ、言葉で自殺に追い込んでもお前が殺したと判定されル」
「………俺に、人を殺せと?」
過去の、人を刺した時の事を思い出す。
また、あの感覚を味わうことになる、と。
「嫌なラ、永遠に苦しみ続けることになル」
「どうあがいても、やるしか無いってことか……いいだろう」
「成立だナ、今のお前の寿命は3日ダ、それといい物をやろウ」
そう言って、死神――ナートスは、渚へ手帳を渡す。
いたって普通の、黒い表紙の手帳だ。
「これはなんだ?」
「そいつに名前を書いた人間の行動をある程度操れル、やりようによっては殺すことも出来ル」
「……まるで何処かの死のノートだな」
「そうだナ、だがそいつでは直接は殺せなイ」
そう言った直後、ナートスは消えていった。
「非日常……」
「望んだ通りじゃないか……!人を殺す……こんな機会はない、存分に楽しませてもらおう……!」
「とはいえ、無関係の人間を殺すのは心が痛い」
「そうだな……犯罪者、それなら誰も何も言わないだろう、手頃な奴は居ないか……」
そう言いながらテレビを付けると、丁度ニュースが、ある事件の報道をしていた。
『……の容疑で、「朝日 陽」容疑者を指名手配しました』
「ふむ……使ってみるか……」
メモを開き、中に
"朝日 陽 午前1時 ○○公園に逃亡"
「さて……行ってみるか」
靴を履き、ドアを開けて出て行く、月明かりが、彼を照らす。
「これから、大変な日常になりそうだな」
そう、言葉を漏らして、彼は歩いて行った。
――精々楽しませてくれヨ
……その声は、彼には届かなかった。
時は変わり、午前1時。
ある公園に、一人の男がいた。
彼の名は「朝日 陽」先程のニュースでやっていた犯人である。
容疑は殺人。
しかし、彼の殺人には不可解な点があった。
まず、彼の殺した人間は皆、死ぬ前に何処かに出かけて行ったと言う。
まるで何かに誘われるように。
そしてもう一つ、彼の殺した人間は皆、犯罪者だった事
彼を古くから知る友人は言う
『彼は正義感が強かった』と
「クソ!どうしてこうなる!!」
朝日は、焦っていた。
ばれないと思っていた事が全て明るみになり、追われる身となったことに。
「しかし…なんで俺はこんなところにいるんだ?」
「俺が呼んだからだよ、朝日 陽」
「なっ……!」
後ろには男が立っていた、身長は高く、全身を黒い服で覆い、帽子をかぶった男が。
彼の名は黒崎 渚、人間……いや、元人間だ。
「誰だ、名前を言え!」
「断る……お前、あの手帳を持ってるだろう」
「なっ……何故分かる!」
「さっきそこに紙が落ちていてな……そこには今まで殺された人間の名前がびっしり書いてあったよ……これで何をしてる」
朝日は、渚を睨みつけながら話始めた。
……犯罪者に親が殺されたこと、警察に騙されたこと、そしてこの手帳を拾い、これを使い神になろうとしたこと。
犯罪者の居ない世界
「どうだ、素晴らしい考えだろう!」
「……あぁ、素晴らしい程馬鹿な考えだ」
「なっ……貴様、何のつもりだ!」
「犯罪者の居ない世界、それは本当に幸せな世界か?死に怯え、感情を出さない世界が」
「黙れ!私のこの考えを分からない奴は死ねばいい!」
朝日は、懐からナイフを取り出そうとする。
――瞬間
グチャリ、と音がした。
朝日の左胸に、ナイフが刺さっていた。
「な、ガッ……」
「悪いが、人を殺さないと生きられなくてな」
朝日が倒れ、胸の鼓動が止まる。
「これで1日伸びた」
そう言って渚は、夜の闇へと去っていく。
朝には、異常を感じた市民が通報するだろう。
「神、か」
そう、呟く。
「……どうせ一度死んだ命だ、その神って奴を目指してみるか……フフッ」
夜はまだ、長い
深夜テンションで書き上げた、反省はしている。
行き詰まってたので息抜きに書いたよく分からない物です、起承転結すら無いので小学生の書いた物って認識で読めばいいと思います。
正直これで続けられる気がしないので短編です、ちなみに主人公はこの後何十万と言う殺人を犯したのち、追い詰められ、364日目の23:59に死にます。
文章力があれば書くんですけどね…誰か代わりに書いてくれる機械発明して( 'ω')