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珈琲はビーカーに、

作者: アキバ サクラ




「、」



やや遠くからチャイムのBGMが聞こえた。


嗚呼、もうこんな時間か。



そんなことを頭の片隅に置き私は今日から夏用のスカートに変え、少し軽くなった制服姿で第2理科室に向かった。


まったく、あの先生も人使いが悪い。なんで……、まぁいいや。そんなこと言っていたらキリがないしこんなこと他人(主に女子生徒)にでも聞かれたら半殺し確定だな、うん。まだ生きていたいからそれは避けよう。



てか、いっそのことここでばっくれようかな?


明日なにか突っ込まれたら適当なことを言えばいいし。



「うん!そうしよう!」


「何がそうしようなんだ?」


「あ、」


「はい、捕獲。」


「ぐへっ、ぐるじい!」



この声のトーン、そしてこの薬品の匂いと煙草の匂いが混じった独特の匂いとこの暑い中長袖の泊に包まれた腕。そしてなによりも生徒にはありえないこの雑な扱い。



「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」


「はいはい死ぬ死ぬ詐欺おいといて。」


「ならこの手を解いてください!」


「はいはい。」


「(はいはいじゃねーよ、この不良教師。)」



そうだ、私を呼び出したのはこの不良教師だ。


※ちなみに半分首絞められて余命が確実に2年は縮んだ。



{ガラッ}


「はい、整理の手伝い頼んだ。」


「はいはい。」


「あ?」


「はい。」



ゴミ雑巾のように第2理科室に投げ捨てられた、ひどい。



「珈琲入れてやるからさっさとやれ。」


「私、珈琲には五月蝿いですよ。」


「知ってる、てか味見のために呼び出してる。」


「(なんだそれ。)」



家が個人喫茶だからという理由で呼び出される私って何?あー、イライラはしないけどなんだか不服。



「てか、オマエ。」


「(オマエ…?)はい、なんですか。」


「暑くないの?その髪?」


「暑いですよ、だけど朝寝坊してそれどころじゃないんです。」


「はっ、」


「(鼻で笑われた!?)」



うーわうーわ、教師としてないわー。



「遅刻するよりもいいじゃないですか。てか、何なんですかいきなり。」


「んーまーそうだけど、」


「そしてここで煙草吸わないでください。」


「大丈夫大丈夫、引火するものは準備室に避難させたから。」


「(そういうことじゃねーよ。)」



頼むからここに教育委員会か文部科学省か校長か理事長が来てくれ、そしてこの不良教師をクビにしてくれ。


溜め息が出そうになったがツッコまれそうな気がしたため我慢。


そんなことを思いながら恐らく一年生の小テストをクラスごとに枚数を分けていた。



「てか、オマエ。」


「(オマエ?)はい、なんですか。ちなみにまだ時間かかりますよ。」


「ん?嗚呼そう。そんなことじゃなくてオマエ彼氏作んねーの?」


「あ゛?」


「(あれ?爆弾踏んだ?)」


このクソ教師、人にはなー踏み込んでいいところと踏み込んじゃいけない領域っていうものがあるんだよーこのヤロー。


そう思うと手に持っていたプリントを乱雑に実験台の上に置いて勢いよく先生のほうを向いた。



「先生には関係ないでしょ。」


「まーね、でもオマエ噂じゃー入学してから8人近くい告られたって噂じゃねーか。」


「えーじゃーなんですかー、好きでもない相手にっていうか名前も知らないような相手の告白にOKしろって言うんですか?」


「あはは、それはなしだなー。」



そっかーそっかーっと煙草の煙をまき散らしながら笑っている先生にイライラしながら作業を再開させた。

あー私のせいだけどちょっとプリント折れちゃった。



「先生こそ、どうなんですか。」


「んーなにがー。」


「彼女いないんですか、うちの学校の先生って結構若くに結婚する人多いじゃないですか。」


「まー確かにねー。おかげでご祝儀貧乏だよ。」



危機感を感じないのかわからないが、ただ今気がない御様子で。



「ま、いつかその気になったら、」


「ふーん。ま、先生のことだから卒業生と結婚しそう。」


「え、なにそれ。」



ケタケタ笑いながら聞いてきたがそこから先は言う気がなくなり黙った。


なんて言ったってこの先生、今年のバレンタインにダンボール一杯のチョコレート貰って、「俺、甘いの嫌いだから食べて。」と言われてたしか三日かかって強制消費させられた記憶が今でもおぞましく残っている。


そんな黒い記憶を思い出していたら昔告白された人達を少し思い出して肩が重くなった。

なんか、私ってろくな男に会わないなー。男運のないランキングならこの学校内だったら上位5位以内に入りそう。


そんなこと思っていた後ろから「おい、」ぶっきらぼうに聞こえた。


「なんですか、あと少しで終わるので待っててください。」


「淹れたてのほうがうまいだろ、こっち来いよ。」


「嗚呼、珈琲ですか。」



仕方ないと思い終わりかけの仕分けを中断した。



「どーぞ、今回はアルコールランプで。ガスバーナーで作ったら変なにおいしたからやめた。」


「この学校アルコールランプあったんですね。ちゃんと今回はマグで入れてくれたんですか?」


「まさか、ビーカーの方が楽だから。」


「またですか。持つときに暑いじゃないですか。」


「いやー、さすがにこの時期にホットだすほど俺もキチガイじゃないから。ちゃんとアイスになるぐらい氷入れたから。」


「そうですか、」



なんか薄そう。


そう思ったのが率直だ。


ふぅーっと息を吐いたら地の暑そうな白衣を着た手が1000mlの飲むにはやや大きいいつものビーカーに入った氷と(確実に薄そうな色の)珈琲をだされた。


「見るからに薄そうなんですけど。」


「俺アメリカンの方が好きだからそう思って飲んで。」


「(味見させる意味ある?)」


まぁいいや、よくわからん人だから。

そう思いながら一口よりも少なめを口に含み舌で転がした。



「まぁ……前よりまいいんじゃなんですか。」


「そう?」


「ま、薄いのには変わらないんですけどね。」



そう言い終わるともう一口飲んだ。



「私的にはもう少し酸味があったほうが好きです。」


「ほぅ、」


「てか、私の感想でいいんですか?自分が飲むんだから自分が満足できる味だったらいいんじゃないんですか?」


「…まぁ、俺にもいろいろあるんだよ。」


「(あれ?私聞いちゃいけないこと聞いた?)」



なんかワケアリっぽいこと聞いたぽい?


少し反省しつつ出された薄い珈琲を飲んだ。



――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――

――――――




「ごちそーさまでした。」


「お粗末さまでした。」


「じゃ、続きやります。」



あれから会話はなく、さっさと珈琲を飲み終わり再び作業に戻ろうとしたら、



{ガラガラ、ガシャン、シャッ}



「(は?)」



ガラガラ?ガシャン?シャッ?


何の音が若干の予想は頭の中で思いつきながら音のしたほうを見たら予想的中。



「なんでドア閉めてるんですか?暑いじゃないですか。」


しかもカーテンまで締めて。



「なんで珈琲の試飲してもらってるか理由を話そうと思って。」


「そうですか、その前に閉めたドア開けましょう。風が入らなくて暑いじゃないですか。」


「あれ、気がつかなかった?5分前からクーラー入ってるんだけど。」


「ん?嗚呼、ほんとだ。」


そういえば少し涼しい。



「二人しかいないのに電気代の無駄でしょ。」


「まーまー。」



そういうと先生はもう一つのドアも閉めた、意味がわからん。



「で、理由なんだけど。」



そう言うとニヤニヤした顔でこっちに近づいてきた。ねぇ、怖い。



「実は、今俺片思い中で。」


「へー。」


「その子がコーヒー通で、ちょっと。」



この先生が恋?人は見掛けに拠らないなー。



「で、その子が意地っ張りでなんていうかツンデレで怖いもの無しで。」


「(あれ?)」



なんか聞いたことあるのは気のせいか?



「と、いうことで」



そこまで言うと、


「、」



至近距離で



「どう思う?」



なんて聞いてきた。



は?


「どういうことですか?」



普通、ドラマとかだったらドキッとか思いそうな距離でしかも少し後ろに後ずさったら実験台にぶつかるというある意味追い詰められた状態なのに平然に応えた私が気に入らないのか、



「なんとも思わないわけ?」



なんて言ってきたから、



「なにかの練習ですか?」



と答えたらありえんと言いたけな表情をした。


女が全員反応がいいと思うなよ。



「ま、いっか。時間はまだ一年半あるし。」


「は?」



そう言うと、いつもみたいなちゃらんぽらんな感じにもだった。


なんだったんだ今のは?


そういうと少し離れて意味のわからないまま作業に戻ろうとしたら、



「と、思った?」



そう言うとニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべた。


あ、嫌な予感。


「は?て、は?」



声が先だったか手が先立ったかは未だわからないが片腕を腰にもう片腕を実験台にと、逃げ場のない状態になってしまった。



「なんですか!?変な遊びだったら叫んで人呼びますよ!?」


「悪けど、遊びじゃなくて俺真剣だから。」



そういう先生の顔は真剣そのもので次の言葉を失ってしまった。



「ね、」


「、」


「やっぱりこう言う状態になると顔赤くなるね。」


「そ、そりゃ、密室空間で暑いから。」


「あれ?クーラー強めに入れたけど。」



その場しのぎのための嘘は跡形もなく崩されてしまった。



「はい、顔そらさない。」


「っ!」


「んーかわい。」



顔を少し近づけられて一層顔だけが熱くなってきた。



「このままキスしちゃう?」


「は!?何言ってるんですかこの不良教師!」


「不良教師は傷つくけどあんま威力ないぞ。」



馬鹿にしたような言い方に少し腹が立つがそれよりもこの状況の中に誰か来るのではないかという恐怖感と近づけられたやたら整った顔とやや低めの声にドキリトくる自分に違和感を感じている。



「今日から手加減ないから。」


「、」


「よろしくね。」



可愛らしく言ったが顔は本気で、そして今自分が今どんな顔をしているのかと白衣から香る薬品と煙草の匂いと、



{ガッシャーン、}


「あ、」


「こっちに集中して。」



後に手を着いた時に触れて落ちて零れたビーカーに入っていた先生の分の珈琲の香りでまるで悪いことをしているという罪悪感で酔いそうな感じになった。







ほんと、私って男運がないかも。








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