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No.-

No.8 消されかねない冒険譚

作者: 夜行 千尋

出されたお題を元に、一週間で書き上げてみよう企画第八弾!

今回のお題は「雨」「城」「ミサイル」


10/11 お題に驚愕 三つそろえた内容の作品が浮かばず悩む

10/13 この時は真面目にMMO作品を作ろうとしてた(ミサイルのAIと邂逅するお話の予定でした)

10/15 しかしうまい事落ちや捻りが浮かばない

10/16 体調不良来る

10/17 体調悪化 しかし現段階のプロットが完成

10/18 時間が無い+出かけた疲れでぐったり 締め切りを延ばしてもらうことに

10/19 書く作業をするはずが予定に押される

10/20 早朝に遅れ過ぎながら投稿

一週間チャレンジNo.8




 その日は朝から雨だった。可愛い子を誘って動物園デートの予定だったんだが……土砂降りの雨だ。こんな日は決まってすることは一つだ。

 俺はパソコンの電源を入れ、ヘッドゴーグルコントローラーを付ける。そして肘掛付きの座椅子をかなり後ろに倒してもたれ掛りながら、俺は電子の世界へリアルヴィジュアルMMOの世界へと旅立つのさ……電子の世界なら雨は降らねぇ!








どざああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!







「ちくしょうぉぉ! 誰だよ! 現実と同じ天気にしたやつぅぅ!」

 俺、クヒト(PC名)はそれなりに名の売れたプレイヤーだ。レベルもなかなか高い。キャラ外見に二時間かけただけは有りなかなかのイケメンに作ってある。現実での俺のナンパ術と合わせれば電子の世界でも俺的イケイケライフを楽しめる! ……はずだったんだが、天気ばかりは仕方ねぇ。

 しゃあなしでダチ公にメッセージを送り、フィールドに呼び出すことにした。


 フィールドは古城エリア。特にここは、小高い丘に建つ巨木がすごくいい雰囲気を醸し出していて、遠くに見える古城を一望しながら、お堅いタイプの女の子を口説くには最適なフィールドなんだ……そう、晴れならな。ははは。


「遅れてごめん。いやまさかこんな雨の中呼ばれるとは思わなくてさぁ」


 出てきたのはお調子者のククナだ。いかにもお堅そうな男で、女とかたらし込みそうに見えねぇんだが……こう見えてすでに妻子が居やがる。定期的に聞いて来いと促してきてウザイ。


「おう、GM呼び出して殴ろうぜ」

「えぇー。なに? またネカマ小学生でも捕まえたの?」

「ちがぇよバカ! 雨だ、雨! なんで土砂降りなんだよ! 買っておいたBBQ用のスペアリブ肉がアウトだ!」

「ああー。インベントリに仕舞わなかったのか。そっかぁ」

「もう火付いてたんだよ。そしたら仕舞えねぇだろうが」

「え? このゲーム仕舞えるよ。親切設計」

「……マジ?」


 そんな会話をしながらククナはさっさと誰かにメッセージを送る。


「二人じゃキツイし回復役呼ぶよー」

「おう、嫁さん以外で頼む」


 ククナの指が止まる。


「おい、このゲームフレンドリファイア可能だったよな?」

「えー。分かったよ、じゃあ、アスローキさん呼ぶのでどう?」

「チェンジで。他に居なかったら仕方ない」


 まぁ……


「やぁ、男子諸君。青春してるかい?」


 案の定、アスローキが来るに至るんだけどな……。

アスローキもベテランプレイヤーだ。俺のお師匠でもある。つまり……現実では確実賞味期限切れだ。おい、RVMMOってもっとハーレムハーレムしてるんじゃねぇのか?


「あ、僕は結婚してますよ。アスローキさん」

「もち、知ってるわよ」

「……おい」

「あ、で、この天気でも申し訳ないんですが、古城を攻略しようって話でして」

「ああ、あの城かぁ。この時間とこの天気だし、なんか手に入ったらラッキーね」

「……おい」

「じゃあ、最深部のボス宝箱開けにがんばりましょうか?」

「ん、OK。任せときなさい。じゃあ、いくわよ」

「……おい!」


 二人がやっと俺の方を見る。


「どうしたのよ?」

「どうせなら可愛いパイオツを……」


 回復役の拳がうなり、俺の顔面を穿つ。本日最初の回復はフレンドリーファイアで始まった……。きっとあと何回か蘇生魔法のお世話になる。予感がする。なお、曰く「次抜かしたら、開腹するわよ」とのこと……ヒラキはさすがに……、あの本当に……はい。




 結果、俺とククナ、アスローキの三人パーティーで行くことになった豪雨の中の古城ダンジョン。このゲームはランダムダンジョン性を導入しており、数時間ごとに形が入れ替わる特殊な構造だ。攻略中にダンジョンが動くと思ってもみなかった場所にたどり着いたりする。それを利用して隠し部屋へ行ったり、はたまたショートカットができたりする。特に、この手の特殊天候の際はレアな物が、ダンジョン最深部「ボス宝箱」に安置されてたりする。

 と長く広い廊下状のフィールドでククナが何かを指さして止まる。


「ねぇ、アレって……NPCじゃないかな?」

「あら珍しいわね。ダンジョン内に居ることは稀よ。イベント属性でもないとそう居ないんだもの……これはお宝の臭いがするわね。慎重に行きましょう」

「お宝ねぇ……」


 かくいう俺は、イベント宝箱とかいう物に期待したことが無い。

 逃げ惑う少女を追ったら親友が未帰還者とか、アップデートと同時にゲームに閉じ込められるとか、いきなり製作者が目の前に出てくるなんてイベントが起きるはずも無く、だいたいの場合は重課金様御用達クエストばっかりだったからだ。

 まぁ……


「えぇー。また嫁ちゃんにお小遣いもらわなきゃぁ」

「あら、相変わらずラブラブね。まぁ、女が財布握った方が家計は安泰よ」

「その女が今馬鹿使いしようとしてんじゃん……」


 この二人は廃課金なんだけど……。

 ともあれ、二人についていけば微課金の俺もおこぼれにありつける。それに楽しむためにやってるんだから、せっかくだしイベントを覗いてみよう。

 俺は何も考えずに声をかけた。


「なあおい」


 俺はそのNPC、髪の長い小さな子供の様な体のをしたその存在に声をかけた。小さな体は一瞬跳ねるように震え、そしてゆっくりこっちを向いた。そしてその顔を見れる……瞬間に俺は背後から開腹役に殴られた。


「だあああああ! あんた何やってんの! 慎重に! 騒がずに! 話しかけなさいよ!」

「うがああああああ! いだぃっ、いっだっ、いってぇええ! お前がうるさいんだろうが!」

「ああ、二人とも、落ち着いて。ちょっとあれ……」

「何よ! 私が悪いっての? いつもの調子で口説いてんじゃないわよ! あんたもうあと何人恋愛フラグ立てる気なのよ!」

「関係ねぇだろうが! ってかイベントキャラに話しかけなくてどうすんだよ!」

「あの……ふたりとも? それどころじゃなさそう、なんだけど?」

「「ああ!?」」


 ククナが言うようにNPCの方を見ると……。

 そこには美少女のNPCでなく、髪の長い小さいおっさんのNPCが……。


「「誰だよ、お前!?」」


 おもわず俺たちはハモる。

 更に思わず俺は思た事を口にした。


「こういう時は美少女って相場が決まってんだろうが!」


 それに対しておっさんが、やはり少女の鱗片も全くなく野太い声で答える。


「ゲームのやりすぎだな。現実にそんな可愛い女の子がダンジョン内歩いてるはずがないだろうが。頭弱いな」


「んだとこら!」


 咳払いをしておっさんが続ける。


「よく来たな。冒険者諸君。ワタシはこのゲームの……」


 が、脇からアスローキがしゃしゃり出てきて……


「そもそもねぇ、私はこのダンジョンに連れてこられた、いわばゲストの身でしょう?」

「うるせぇ! とりあえずどんな時でも恋してればシナリオが進む女性キャラとかよくいるだろうが!」

「あー、居るねぇ」


 おっさんを置いてきぼりにしてなぜかよくあるヒロイン像について口論し合う俺たち。話すタイミングを見失うNPC。あげく嫁と電話を開始するククナ。なにこのカオス……


「あの……ワタシがこのゲームの……ねぇ、あの……このゲームの」


 おっさんを置いてきぼりにしてやっぱりアスローキが口を開く。


「私が理解できないのは、そもそもなんでみんなあんなバーレーボールみたいな胸なのよ! そんなんで戦闘したら胸筋が切れるじゃない!」

「何を言ってやがる! 戦闘で揺れる胸は様式美だ! 肉の乗った絶対領域と肩を張る世界の宝だ!」

「あ、今日の晩御飯、しめさばとラッキョウ? 良いねぇ」


 そんな俺たちの混沌に終止符を打ったのは、振動。


――ズズン……


―――ズズン……!


―――――ズズン……!!



「ね、ねぇ、ちょっと、イベント進んでるんじゃないかしら? もしかして地震?」

「あ? そんなことより安産型の尻ってのはだな……。ん? 本当だな。揺れてんな、地震か?」

「ああ、地震なのか。僕はてっきり大型モンスターかと……」


 変に納得しかけたところをおっさんが諭す。


「んなわけがあるか! このトウヘンボク共! ワタシが話しかけてる時点でイベント進んでんのに、話を聞かない方がわるい!」


 おっさんは独り颯爽と逃げ始める。背後からは振動と定期的リズムの轟音。真っ先にアスローキがおっさんを追いかけ、後にククナが続く。俺は音の出どころを確かめるためにその場にとどまっているが……この轟音……、床が揺れる。石造りの床が、波打つ!

 そして現れたのは、黒い巨躯に天を突く巻き角、血走る目は爛々と殺意に輝き、長いしっぽが空を切り、人一人を握りつぶすには有に余りある太い腕に、鎧を穿つには十分な鋭い爪、狼のごとく伸びた口に並ぶ巨大な牙たち……その巨大なデーモンが、俺の目の前に、って描写してる場合じゃねぇ!


「うぉぉあああああああ! なんじゃありゃあああああ!」


 俺は先行する二人を追い抜き、すさまじい速さでかけるおっさんに追いつく。


「おいこら、おっさん! なんだあれ、なんなんだあれ!」

「豪雨特別☆運営の考えた最強ボス。別作品の主人公だ。たしか、術で巨大化して……」

「おいよせそれ以上言うな!」


 必死に走りながら、振動から逃げ続ける。曲がり角を曲がって、いっちょ曲がって、更にもう一回……ところで、どこまで逃げれるんだ?


「ちょ、ちょっと! 私もう走れないわよ!」

「じゃあ潰されてこい!」


 俺の無茶な発言にアスローキが渾身の脅し顔で答える。


「い、や、よ! 私これでもゾンビ化避けてんのよ! 死んでもいいゲームなんて温いってどっかのイケメンしか言えないわよ! 蘇生薬だって安くないし……いっそあんたが食われてきなさいよぉ!!」

「だがもクソもなく断る!」


 そういや、これってイベントなんだよな?


「なあおいおっさん!」

「なんだ? 頭の弱いの」


 いらっ


「これがイベントってんなら、アレべっさくの主人公って事は交渉できるんだろ?」

「ん? ……あー、一応な」


 俺は急停止し、怪物に向きなおる。その脇をククナがふうふう居ながら駆けていく。


「よっしゃ、それさえ聞けば十分だ!」

「ちょっと、何する気? 助けないわよ!」


 俺は懐から二つのアイテムを取り出した。

 交渉術その一!


 俺はおもむろに眼鏡を取り出してかける。光の反射を確認し、メガネが光るように仕組む。

その姿に怪物は足を止める。ふふ、解るようだな。


「ふふ、悪魔より悪魔らしい、って言われ……」


 セリフの途中で目の前の悪魔は交渉の余地なく腕を振り上げる。

 そして振り下ろされた腕は無残にも俺のHPを刈り取る。錐もみ回転して俺は床にたたき込まれた。


「おいいいいい! 交渉できねぇぞ!」

「ラノベの読み過ぎだな。普通その流れで話に耳を傾ける奴がどこに居る」

「まだそこまで行かなかったんだよ! 口上タイムに殴る奴があるか!」


 だが、まだだ、俺には切り札がある!


「おい! 見ろ!」


 俺が懐から取り出したのは……


「うわっ、私あいつとパーティー組んでることちょっと後悔し始めてる」

「いやいや、今更でしょ」

「ついには薄い本の読み過ぎか」


 そう、薄い本、同人誌! しかも俺のお気に入り! 男なら反応するはずだ!


「へへ、効果あったぜ! なにせこれは……」


 限定発売されてたやつだからだ!

 背後で困惑する声が聞こえる。


「私の感覚が間違ってんの? 何、本当にデーモンの動きが止まってんだけど、ねぇ、GM呼んで。何これ……え?」

「え? い、いや、ワタシも計算外で……よせ、胸ぐらをつかむんじゃない!」

「ああ、有名作品のヒロインさんの同人誌かぁ……作中でもなんか欲しがってたような……?」


 効果は知ってた、さあ! 受け取れ!

 俺は同人誌をデーモンに投げつけ、ボス宝箱までの道を猛ダッシュで走った。おっさん、ククナ、アスローキの困惑する顔を他所に、俺は立ち止まらない。立ち止まっちゃいけない。予想が確かならさっきより数倍の速度で追いかけてくるはず!


――ドドドドドドドドドド!


「いっ!? そりゃねぇって!」


 さっきより急ぐとは思った。だが、四足歩行とか思ってなかった! これ死ねる!

 だが、目の前にボス宝箱部屋が見えてくる。入り口は小さく、あの巨体じゃ入れないはず!


「うぉぉおおおおおお! うなれ俺の大腿筋んんん!」


 そしてそのまま部屋のドアを蹴破り、宝箱を開ける。うまくいけば、ここのアイテムで倒せるはず!

宝箱を開けるとテロップが表示される。



――ピーロン♪


<『でんせつのけん』を取得しますか?>


 もち、YES!

 テロップウィンドウが消えてアイテム欄に『でんせつのけん』が追加される。これで、部屋の入り口に居る奴にかましてやるぜ! さっそく装備DA!


「……あ?」


 へ、変だな。俺の目には装備がおもちゃの剣に見える。そう、こう……ぴかぴか光る赤い……○○レンジャー! みたいなの……その再現おもちゃ¥3690税込的な……


「なんじゃこりゃあああああああああ!」


 思わずスイッチを入れて振り回してしまう。もちろん何も起きない。

 そんな絶叫を他所に怪物の手が部屋の空を掻く。背後で空気を切る音がする。

 更に部屋の一角から声がして、壁を抜けておっさんが現れる。


「お前、一体何をあいつに見せたんだ?」


 俺はおっさんの質問に答える。


「え? 奴さんと両想いのヒロインのNTR和○本」

「お前、消されるぞ。いくつかの意味で」


 ってそれどころじゃねぇ!


「おお、おい、おっさん。なんじゃこりゃ!?」

「何って……『でんせつのけん』そのものだ。世界を滅ぼせる力を持っている」

「嘘コケ!」

「嘘ではない。それは核ミサイルの起動スイッチの様なものだ。運営による鯖削除ミサイル、といったところだな」

「ふざけんな! 俺もきえちまうじゃねぇか!」


 おっさんは真顔で俺に言う。


「何を言う。完璧に、超絶無比に最強の装備じゃないか!」

「ああ?」


 俺はおっさんを訝しんで睨んだ。

 おっさんは続ける。


「ゲームの枠を超えた力、まさに最強の一品だと思わんか? 最強の力だぞ!」

「要らねぇよ……そんなんじゃ……まったくゲームとしておもしろくねぇ!」


 俺は宝箱に『でんせつのけん』を突っ込んだ。そして、バックパックから自分の獲物『馬斬り平治』を取り出す。


「ゲームはあくまでゲームの範疇で勝つから楽しいんだろ!」


 そして俺は、敗北へと向かって進……


「ところで水を差して悪いんだが」


 進めなかった。


「なんだよ!」


 カッコいいシーンを邪魔され狼狽する俺におっさんはにこやかに言った


「お前『でんせつのけん』振ったろ? スイッチ押しながら」

「あ……そうだったぁ……」







 まぁ、このままコンテニュー画面に繋がって、そんでデータを選んでロード。いいんじゃねぇかな。雨でしんどかったし……
















しかし、真っ白だな。なんもでねぇのか?




















そういや、ゲームの範疇を超えてなんたらって話しだっけ? これ、データクラッシュした? マジ?






























真っ白……



















「何をしてる? こんなところで」


 俺は思わず飛び起きた。そこは何もない真っ白な空間だった。


「お、おっさん!」


 そこにきたのは、あのチビなおっさんだった。


「まったく。君のせいでミサイルが着弾する5秒まで緊急ストップした。今、あの世界の時間は止まり、多くの者が強制ログアウトしている。君もログアウトしたまえ」

「いや、そんな危険ならなんで設置したんだよ『でんせつのけん』」

「だって作りたかったんだもの」

「おちゃめに言っても許されねぇぞ」


 おっさんは肩をすくめ、その後俺の隣に腰を下ろした。


「君は、ログアウトしないのか?」

「んー、一応俺の責任だし、出来ることあるんじゃねぇの? それ、させてくれよ」

「ふむ……」


 おっさんはすこし黙った後、口を開いた。


「分かった。君にも協力してもらう」









 俺は作中最強装備に身を包み、ミサイル着弾地点に一人立つことになった。

 作戦は至ってシンプル。ミサイルをぶった切る!


「ってできるか!」

「大丈夫だ。この世界は電子の空想上の世界。ならば、信じれば想像通りになる」

「あ? おっさん、近くに居んのか?」


 近くにおっさんの姿は無い。


「いや、とっくにログアウトしてリアルから君にホットラインを繋いでいる。もちろんわが社は戦争状態だ。君のサポートをするためにな。あ、外は至って平和だぞ。そろそろスーパーの特売だから、あと3分でワタシは失礼するよ」

「おいコラ待て!」


 とか言ってると徐々にあたりが暗くなる。思わず見上げた俺の目の前に有るのは……




 壁だ




 巨大な壁が落ちてくる。ミサイルっていうか……これ、無理じゃね?

おっさんの声が聞こえてくる。かなり焦りしか感じない声で言う。


「で、では、健闘を祈る。……なぁ、思ったよりデカくね?」


 後半は何か別の人に言うような、別に人居るなら俺逃げていいんじゃね?

 更におっさんが言う


「ちなみに、君のログアウトを禁止したから。そこんとこよろしく」


 おいいいい!


「まぁ、安心したまえ。この危機を乗り越えれば、君は英雄だ」


 え、英雄?


「ラノベの主人公、モテモテハーレムも夢じゃない」


 モテモテ?


「ゲームの主人公、美人ヒロインと熱烈でドラマチックな恋愛撃」


 美人ヒロイン?


「アニメ主人公、皆に慕われるリーダー!」


 な、なんかやる気が……!

 とか言ってられねぇ! 俺が、本物の英雄になれば、



 壁が迫る中、俺は剣を構える。



 なんとかして、俺が美人のパイオツと熱烈恋愛……!

 でもこれ……重ぇ!



 剣がしなりながら火花を散らす。



 だからって下がれねぇ……俺だって、男だからな! かっこいいとこ決めずに男で生きてられるか! モテることに全力じゃなくて何が男だ! 胸とケツが俺を待ってるんだと考えればこんぐらいぃ!

 俺のリア充生活を……リア充ぅぅぅぅうううううう!








 ぐしゃ……




 あ、ですよね。









 俺はまたコンテニュー画面ではない場所、真っ白な場所に連れて来られていた。


「なんだ? またか? それかデータの隙間に落ちたか?」

「如何にも。ここは神の美座じゃよ」


 目の前にはいかにもな髭のジジイが大そうな椅子にふんぞり返っている。


「は? なんだお前」

「神、そのものじゃ。お前に転生する権利を与えよう」

「え? 何、ミスの補填?」

「お前、小説家になろうの読み過ぎ」

「あ、ハイ」


 どうやら、マジにゲームの世界に意識が取り残されることになり、この世界の住人として転生することになったらしい。よくある、データ世界への転生を言い渡された俺は思わずこう言った。いや、言わざるを得ないと思ったからだ!


「是非、超チート転生だろ! んで、ハーレム生活だ! ハロワに行く必要も無く、ヒモでもないし、八男でもない異世界生活! これだろ!」


 そういうと神はゆっくりと腰を上げて俺に近寄ってきた……。しまった! 調子に乗りすぎた、殴られる。やめてくれ! 舐めんじゃねぇ! ってグーパンで……

 と思っていたのだが、


「そうか。苦労してきたんだな。それに“まだ”なんだな……」


 神は涙ぐみながら俺の方を叩いた。

 俺は大事な何かにひびが入る音を確かに聞いた。


「逆にやめてくれぇ!」

運営によるデータ消去ミサイルが本当に飛んで来そうで恐ろしい……


いや、ファンに突かれそうなネタもいくつか含んでるのが気になる。

しかしながらこの手のパロディものはとても好きで、結果気が付いたらまたボリューミーw

突かれてしまうかも、と思いながらも読んで笑ってもらえたならこれほど嬉しものは有りませんので思い切って投稿(gkbr


パロディの質がちょっと低いのが残念ですが……

んー

いつかちゃんと書き直したいですね

ちゃんと許可を取って引用元も分かるような感じで書きたいです


今は「それっぽいオリジナル作品」のキャラ達です

有名作品のキャラではありません

決して違います(震え声)


それから

さりげなくMMOとしての世界設定はオリジナルです

前プロットの名残ですね


あとは

最初は『さいきょうのけん』が「シャバデュビ タッチ ヘンシーン♪」って言う予定だったり

追っかけてくるデーモンが「スイッチ」してきたり

もっとキワドイようなネタばかりでした(笑)


ここまで読んでいただきありがとうございます

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