第二話
「へっくしょぉい!!」
豪快なくしゃみと共に入ってきたのは一週間姿を見せてなかったダズだった。
「なんだダズ。風邪か??」
「ずずっ、この一週間の雨で風邪引いてたんだよ…」
ダズが取り出したポケットティッシュは既に空だった。
「すまん、ティッシュ一箱」
ティッシュ箱を後ろの棚から出す。
「ったく、バラ売りはしてねぇんだけどな。15クロッカだ」
机の上に硬貨を起き、早速鼻をかむ。
「あ゛〜…ぎもぢわりぃ…」
「なんなら風邪薬も買うか??600クロッカだけどな」
「今日はそんなもってねぇよっくしゃぁぁあい!!!」
また豪快なくしゃみをした。
「はぁ…マスク持ってくるの忘れたな…」
するとあの白い鳥が机の下に入れてある俺専用のマスクを一枚引っ張り出してきた。
「あはは!!賢い鳥だ…な…」
急にダズが黙る。
「こいつが噂の、か?」
「噂なのか??」
ダズの目は本気だっだ。
「…こいつがもう100年前くらいに絶滅したって言われてた"太古鳥"って言うのか」
「らしいな。俺もばぁさんに言われるまで気がつかなかった」
大昔。
この世界を作ったとされる神がいた。
その使いがこの太古鳥。
太古鳥は神との役目を果たし、人間と共に歴史を作った。
「なんだ。少しは調べてるんじゃねぇか」
「親父の受け売りだがな」
ダズが小さな本を机に置き、開いた。
「太古鳥。その上そいつはきっと銀灰族だ」
もう900年も確認されてないからわからないが、と続けた。
「銀灰族は全ての太古鳥の種族のベースとなった種族だ」
ダズの話と本によると太古鳥にも種族があるらしく一番神と近い存在だったのが銀灰族だったようだ。
「クレバ」
「なんだ」
ダズがより真剣な顔になった。
「俺がここに来た時、保護団体とすれ違った」
保護団体。
絶滅種や森を守ろうとする集団だ。
この国の大樹の名刻み風習の唯一の反対勢力だ。
「…その奴さん来たぜ」
如何にも頭の硬そうな奴と網と籠を持った数名が店の前で話し合いをしている。
「ダス、店からでろ」
「でも」
「いいから」
ダズは俺の言葉を素直に聞いてくれた。
「またくるよ」
そう言って自宅に戻っていった。
「…で、あんたらは何しに来たんだ?営業妨害すんじゃねぇよ」
頭の硬そうな奴に喧嘩腰に話しかける。
「いえ、貴方がクレバ・アルカディア様ですか?」
「あぁ。そうだが?」
見た目五十歳ってとこだな。
「さようでございますか。私共はあの大樹も保護対象にしたいものです」
めんどくせぇ。
「買い物しねぇならさっさと帰ってくれ。鬱陶しい」
店の中の空気が変わる。
「貴方の肩に留まっている鳥はただの鳥ではないことはご存知ですね」
「そりゃ何も知らねぇ子供から歩く歴史人のばぁさんまで来る店だからな。なんとなくは知ってるさ」
「なら話は早い。その銀灰族の太古鳥を我々に渡し」
「誰が渡すか」
即答したことで眉間のしわが深くなった。
「…やれ」
それと同時に外で待機していた奴らが店に入りだす。
「正当防衛だよな」
右腕に巻いてある包帯を解こうとした。
その時。
「待ちなさい!!」
急に現れた憲兵らは手際よく捕らえていく。
「営業妨害及び強奪未遂で逮捕します」
「我らは保護団体だぞ!!特例で多少の事なら免除されるはずだ!!」
手錠をされながらも抗議する。
「我が国ではそれは有効ではありません」
「なっ…」
そのままズルズルと連れていかれた。
「お騒がせしました」
その言葉で店は静かになった。
「…嵐だったな」
「ぴぃ」
『神様を泣かせた』第二話、いかがでしたでしょうか。
やはり文才がないため自然に主人公の名前がだせません。
そして文才がないため主人公のキャラが不安定です(それは文才以前の問題でしょうけど)。
不備等ございましたら遠慮なくビシバシ言ってください。
読んでいただき、ありがとうございました。
※2015.3.19 ダズが買ったティッシュの値段を「1クロッカ」から「15クロッカ」に、風邪薬を「60クロッカ」から「600クロッカ」に変更したのと、「んな持ってるか!!」というダズの台詞を「今日はそんなもって~」と変更しました。