分の悪い賭けは嫌いじゃない
予定より大幅に遅れて申し訳ありません…
新年一発目の投稿となります。
‐???視点‐
「来るわね」
パタンと本を閉じた彼女は立ち上がり、服に刻まれたしわを払う。
「突破されたの?」
「ええ。博麗はトラップを突破、もう一方はまっすぐこっちに向かってくる。そっちを迎撃するわ。美鈴は?」
「咲夜が起こしてくれたわ。これで戦力は揃った。あとは手筈通りに仕上げれば完璧ね。」
あと少し。それまで持ちこたえられればこちらの勝ちは決まる。
「じゃ、私は魔法使いの方を狩るわ。レミィは咲夜の援護を。…ま、必要ないかもしれないけど。」
「念には念を入れる…ね。ええ。」
‐レナ視点‐
「魔理沙、後どんくらいで着く!?」
「そうだな…後5分ってとこか!」
「俺のことは気にするな!飛ばせるだけ飛ばせ!!」
足止めを食らってしまった以上、早く向かわないと霊夢が!
「わかったぜ!」
頬に感じる風の強さが上がる。
「…!なんか居る!」
「敵か!?」
「どうやらそのようだぜ…!」
見れば、うっすらと見える城のような建物の門前に、誰かが立っている。
「さしずめ門番って奴か…!」
「魔理沙…頼みがある。」
「?」
相手が門番であるなら、俺がやるべきことはたった一つ。
「俺を置いて先に行け。」
「は!?」
「見てみろ、俺はこの通りボロボロだ。」
痣だらけ、服のぼろぼろっぷりを魔理沙に見せる。
「この先、さっきの奴ら以上に強い奴が来る可能性があるなら、少しでも消耗していない魔理沙を送り届けるのが一番だろ。俺は此処でやれるだけのことをやる。」
「けど!それじゃレナが!」
「俺の事は構わない。やるべきことは何だ?このおかしな状況をどうにかすることだろ。なら最善を尽くすべきだ。行け!」
「…わかった、けど」
「解ってる、無理はしねぇよ。」
もうすぐ森から抜け出せる、それと同時に門番を叩く!
抜けた、今だ!
「来ましたね…侵入者!!」
門番がこっちに気づいた、やらせるか!
「お前の相手は…俺だ!!」
箒から飛び降り、そのまま門番に立ち向かう。
「くっ!」
すかさず蹴りを見舞ってやるが、普通に受け止められてしまった。
だが、これでいい。
魔理沙は城の中に入っていく、これで俺の目的は果たされた。
「してやられましたね…!あくまで貴方は囮というわけですか!」
「ああそうさ。これで俺の目的は果たされた。まぁ後はお前を倒せれば御の字なんだがな。」
相手の服装…中華風のドレスにズボン、そしてあの構え方から見て間違いなく太極拳かなんかの使い手と見た。
本国発祥かよ…拳法とか一切かじってないから圧倒的に不利か。
「倒せると思わないよう…」
なっ、姿が消えた!?
「此処でこてんぱんにして差し上げます!!」
後ろかと気づいたその時には、右の脇腹に蹴りが諸に入っていた。
「ぐわぁぁぁぁ!」
転がる転がる、俺の身体。
さて、これで普通に骨が逝ったわけだがどうしたものか。
「まだ立ち上がるのですか?」
「まぁ…な…」
まだだ、まだやれる。
たとえここで倒れようとも。俺は成すべきことを、此処でやる。
「来いよ、門番。俺をぶっ飛ばすんだろ?」
余裕に見えるように、はったりとしても挑発をかける。
「そんなに死にたいんですか?ならお望み通りっ!!」
やべぇ。もうまともに前が見えない。
視界がぼやける。
だが…きっと、きっと魔理沙と霊夢が…
「殺してあげますよっ!!」
顎に一撃、此処で終いか…悪くない最期だった。
「本当は物理型スペルなんてご法度なんですが!華符『芳華絢爛』!」
身体の節々に重い一撃が加わる。
「これで!!」
的確に鳩尾を突かれ、俺は抵抗すらできずに宙を舞う。
「終わりです!!」
止めと言わんばかりに顔を殴られ、地面に叩きつけられる。
霊夢…魔理沙…俺は此処までみたいだ。
もう身体が動かねぇし、もがくことすらままならない。
ごめん…後は…
「何言ってるのよ。レナは死なないんでしょ?」
…変だな。聞き覚えのある声が…
「よく頑張ってくれたわ。魔理沙は…先に行ったみたいね。後は任せなさい。」
れ…い…む?
「博麗の巫女として、レナは私が守る。」
目の前には、俺を救ってくれた人が。
霊夢が、そこに居た。
次回予告
「一点突破」
霊夢の本気!
紅魔館に突入した魔理沙!
物語は急展開を迎える!(多分)
お楽しみに!
次回更新…来週中予定