二つの魔
今回はグロなしです。
普通だよ、やったね!
霧雨魔理沙。
それが今俺の前に立つ、いかにも魔法使いですと言わんばかりの格好をした少女の名らしい。
「私は人間を食べたいだけなのだ!邪魔をするな!」
「そうは問屋が卸さないぜ!そんなことを認めたら、私の仕事がなくなるんだ!」
仕事?
「そうやって妖怪を蔑んで…!!」
「蔑むんだったら片端から蹴散らしてるぜ、少なくともお前はもう生きちゃいない。」
「気が変わった、お前から喰ってやるのだ。」
ルーミアの顔に、さらに色濃く怒りの色が出た。
こんな危機的な状況にも関わらず、魔理沙は後ろの俺の方に向いてこう言った。
「大丈夫、私がいるから安心しな。」
「おい魔理沙!後ろ!!」
完全に不意打ちだ、魔理沙の背後から迫るルーミア。
「解ってるって。」
それを予測しきっていたのか、魔理沙は持っていた箒を軽く動かした。
箒の先は、ルーミアの腹に突き刺さる。
「うっ!」
「自分から考えなしに突っこんで来るからだ、出直してきな。恋符『ノンディレクショナルレーザー試作版』」
魔理沙の周囲から光が溢れる。
あまりにも急で眩しい光に、目を思わず瞑ってしまった。
目を開けた時には既にルーミアの姿はなく、魔理沙は服の汚れをぱんぱんと払っていた。
俺に気づいたのか、彼女はこう問いかけてきた。
「そういやお前、どうしてこんな所にいたんだ?夜は危ないんだぜ。」
「俺は霊夢と一緒に「えっ!?」」
事情を話そうとしたら遮られた件。
彼女はそんなこと構わずに質問に質問を重ねる。
「お前、霊夢を知ってるのか!?」
「俺を助けてくれたのは彼女だからな。」
「ったまげたー、そうかぁー…ならお前は私の味方だな。」
にかっと笑って、彼女が俺の腕を引っ張る。
ずっと倒れていたことに、今気づいた。
俺は魔理沙の手を借りて立ち上がる。
「改めて、私は霧雨魔理沙。さっきみたいに魔理沙って呼んでくれて構わないぜ。」
「俺は玲奈だ。彩埼玲奈。レナで構わない。」
そうして、互いに握手を交わした。
「霊夢を知ってるのか、魔理沙は?」
「知ってるも何もあいつは私の仕事仲間だぜ。妖怪退治、やってるんだ。」
「そうか、仕事なら霊夢が張り切るわけだ。」
どうりで急ぐわけだ…どっちが黒幕を倒せたか、それによって報酬が変わるシステムと見た。
「ま、神社の補修でいっつもお金がないって言ってるけど。」
「結構由緒ありそうな神社だもんな。」
「けど私が黒幕を倒すぜ。そのために私は新しい力を得たんだ。」
「新しい力?」
「まぁ後のお楽しみ。乗って、送ってくぜ。」
「ありがたい!」
俺は魔理沙の箒に乗り、進むことにした。
‐???視点‐
「パチェ、奴らはどこまで来てるの?」
この計画を台無しにしようとする邪魔者2人の居場所を把握すべく、私は一番危機察知に優れている親友の力を借りる。
彼女は監視用魔術を張り巡らせた魔術書から目を離さず、こう返す。
「博麗は今、レミィが仕掛けたトラップにまんまと引っかかってるわ。時間稼ぎにはなるでしょう。博麗には咲夜をぶつけた方がいいわね。彼女さえいれば博麗は止まったようなものだし。」
「そうね。問題は…」
「そう、もう一人よ。援軍を連れてるみたいね。反応が2つあるわ。」
「そっちは美鈴とパチェがいればなんとかなるでしょ?相手は賢者じゃない、たかが一人の援軍で何が出来るのやら。スキマ使いとか来たら話は別だけど、それならパチェも解るでしょ?」
「ま、私だけだとちょっと不安だから美鈴と、小悪魔を引き連れるわ。構わない?」
「万全よ。これで私の勝利は決まったようなものね。後は太陽がなくなってしまえば私達の完全勝利。」
あの子は眠っているし、私達を邪魔する者はもういない。
「咲夜、美鈴を起こしてきなさい。久しぶりに暴れられる、そう伝えればいいわ。」
私は此処にいるはずもない人物に命令する。
しかし、彼女は確かに『此処にいる』のだ。
次の瞬間、私の背後で跪く気配がした。
「かしこまりました、お嬢様。」
彼女の力の前では、博麗とて無力。
「さて…迎撃しましょう。人間風情がどこまでやれるか、見ものね。」
-???視点-
なんだろ…
何かが、近づいてくる。
でも、私の敵じゃない、なんかそんな気がする。
だけど…私は…此処から出ちゃいけない。
私の力は、皆を傷つける。
「私は…独りだ。」
此処で補足。
主人公勢のスぺカはべらんめぇ多いのでなるべく原作(+それ以前の時系列)で使用したスぺカのみを使って頂いています。
が、あまりにも数が少ないと思った場合は将来的に使用できるスぺカの未完成版としてちょくちょくオリジナルスぺカを挟みます(今回で言えばノンディレクショナルレーザー試作版)
ご了承ください。
というわけで次回
「氷上の妖精」
お楽しみに!
次回更新→やっぱり来週中