SEED
妖々夢編突入
今回はプロローグだってよ奥さん
月明かりの下、ある男女が語り合っていた。
「行方不明になって早2ヵ月ね。」
「そうだな。まぁ君の息子だ…うまくやれているだろう。」
「あら、お父さんは心配じゃないの?」
「心配に決まっている、だから映像を見せて貰っている。」
「お父さんの同僚…でしたね。」
「彼らも元気そうで何よりだ。『早く戻ってこい』とは急かさせているが…」
「あら、お父さんもですか?私もなんですよ…お父さんにも話しましたよね?玲奈が行方不明になったあの日、紫が来たのよ。」
「そうだったな。君のことだ、きつく言ったのだろう?」
「バレた?」
彼女はくすっと笑う。
「君の性格から分析した結果さ。いざとなったら行く準備も整えているのだろう?」
「ええ。私を欲しがっている人間は沢山いますし。」
「行きたくなったら言ってくれ。私も向かう。」
その予想外の一言に、彼女の顔が輝く。
「あら!久しぶりのデートですね!」
彼は顔を僅かに赤らめて続ける。
「息子の顔も見たいしな。何、出張と言えば問題ないさ。」
「私は何時でも。お父さんの行きたいときで構いませんよ?」
「そうか、君は何時行っても問題なかったのだったな。失念していたよ…」
「当たり前と思ってしまいますね。仕方ありませんよ、お父さんも忙しいですもの。」
その時、彼女の携帯に着信がかかる。
「はい。…貴女も向かうの?それは楽しくなりそうね。ええ…追って連絡するわ。またね。」
「まさか、あいつか?」
「ええ。今度の帰郷は家族旅行になりそうですよ、お父さん。」
「ふむ…余計行かなくてはならなくなったな。今のうちに準備しておくか。」
‐???視点‐
「ったく、あの馬鹿弟は何も連絡寄越さずにとんずらして!やっぱりお母さんは全て知っていたんだ!」
「そのブラコン資質がお母様にそうさせたのじゃ…」
「うっさい!だいたいあんた達もいい加減戻んなさいよ!その力はあそこ由来だってのは既にわかってるんだから!」
「まぁそうなのですが…私達は戻る理由がないので…」
「そ!なら私が行くわ!」
「え?」
私はお気に入りの赤のジャケットを羽織り、たたっと部屋を出た。
「…大丈夫でしょうか?」
「あぁ見えてとんでもなく方向音痴だからね…メリー、彼女を追おう?」
「そうですね。」
‐レナ視点‐
「くそっ…」
日々俺の内側が狂気に突かれる。
「理性を強く保て…こんなもんじゃねぇだろ…」
歩くだけでも精一杯だ、少しでも気を抜けば途端に自我がなくなりそうで。
「…!」
そうだ、あれがあった。
パチュリーから貰った安定剤を口に含む。
「また間隔が短くなった…」
あの時はまだ2日に一度で良かったのに、今や6時間に一度だ。
「だんだんと俺がまともでいられる時間がなくなってきたのか…」
俺はふらふらとパチュリーの所へ向かった。
「…だいぶまずいわね。このままじゃ私の魔力でも中和しきれなくなる。つまりは自我の崩壊ね…」
安定剤と言うのはパチュリーの魔力が込められたカプセルの事だ、飲む頻度が多くなればそれだけパチュリーに負担を強いることになる。
「手がかりは…?」
その質問に、パチュリーは首を横に振る。
「ただの魔力なら問題ないんだけど…今回の場合、邪悪な魔力よ。それを完全に中和する策なんて私の中ではまだ見つかってないわね…」
「そうか…すまない。」
「いいのよ、謝るのはむしろこちらの方…まともな策の一つも打てずにずるずると苦しめて…」
「いや、そこまで考え込まないでくれ…俺も俺で考えてみるよ…」
このやり取りをする度に、紫の一言が頭を過ぎる。
『その邪悪な魔力、取り除く方法があるわ。ひとつだけ…ね。』
行くしかないか…その方法を試しに。
幸いパチュリーに薬は貰った…およそ3日分。
それだけあれば…きっと。
そっと外に出る。
この風は…春の風?
まだ季節は変わっていないのか…この間の事がまるで数か月前の事のように思える。
「行こうか」
歩みを進めよう。
これ以上迷惑はかけられない。
「?」
なにか気配がする、誰だ?
「誰かいるの―」
俺の意識はこの後首に痛みが走った後に途切れた。
「いい塩梅に行きましたね。」
「全てうまく行きすぎている感じはしますが…私は。」
「構いません、行きましょう。」
それをたまたま見ていたある者が、今回の事件のキーパーソンとなる。
「あれは…!?」
次回予告
スタートです!それだけ




