人外って凄いなって思う今日この頃
‐霊夢視点‐
「っ!?」
どうやら相手を本気で怒らせてしまったようだ。
この殺意に溢れた魔力が針のように鋭く肌を突く。
「この世界では空中で、同じ土俵で殺し合いをすると聞いた…だったらこんな支え、必要ないでしょ?」
それで地面をぶち壊すとは、力の差は歴然だ。
「私はきちんと話をしようとしたわ…でもお前達は話を聞こうとせず私に楯突いた…だから死ね。」
相手が突っこんでくる、あの槍は健在だ。
「どーすんのよ藍!2対1でも勝てそうにないわよ!?」
「槍を折るしかない、それである程度の戦力ダウンに繋がるはず…!」
「解ったわ、一気にたたみかける!」
弾幕を張り、相手の進路を阻もうとするが…
「そんな豆鉄砲で、私を止められるとでも?」
着弾している、しかし全くひるむ様子がない。
「魔力の防壁《ベール》です!」
弾幕によるダメージを抑える魔法…厄介だ。
「嫌でも接近戦を仕掛けろってこと!?」
「なら私が!」
藍が小さな炎をレミリアに放つ。
「ただの炎じゃないのは解っている、この狐が!」
槍の一振りで炎が消し飛ぶ。
「でしょうね…」
狐火をぶつけようとしたのか、確かにあれなら相手に確実に攻撃を加えられる。
あれは妖力による力、妖力なら魔力の中和ができる。
「まずはお前からだ…女狐!」
やはりというかなんというか、藍の方から仕留めようとするレミリア。
相手の弾幕は魔力による弾、及び…
「ナイフ!?」
実弾付き!?
「くっ!」
こちらは防戦一方、というよりまともな攻撃すら加える暇がない。
せめてレミリアの意識を少しでも藍から逸らすことが出来れば…!
「よし、これで…!!」
式神を呼び出し、突撃させる!
「邪魔をするな!!」
先程と同じように式神は無残にも引き裂かれる。
だがさっきと違うのは…!
「取った!!」
狐火を相手にぶつけることに成功したこと!!
「ぐぅぅぅ!!」
よし、これで普通の弾でもいける!
「霊符…!!」
ここで最大火力の攻撃を加え、勝負を決める!
霊力の塊を生成、向けるはあの吸血鬼…!!
「『夢想封印』!!」
撃ちだす!!
対妖怪の切り札とも言える私のスペル。
当たれば絶大な威力、外れれば私の全力が無駄になる短期決戦型として作ってある。
その代わり、当たればただじゃ済まない、人間舐めるなってことよ。
この攻撃にも即座に反応する相手、流石ね。
「当たると思うな!!」
そりゃそうね、あんなのに当たりに行く奴なんていないわよ。
「ただ、あんた…何か忘れてない?」
「!?」
気づいた、けど遅いわ。
「式神『仙狐思念』」
既にスペルは発動されている。
って藍も式神使いなのね、今度色々教えてもらおうかしら。
狐が召喚され、レミリアを拘束する。
「しまっ…!!」
行った、これで大勢は決まる、私達の有利な方向に進む。
そう、私達は盲信し切っていた。
まだ相手には戦力が居たことを、私達は完全に忘れていた。
「幻世『ザ・ワールド』」
「!?」
この感覚…やられた、あれは『死んだふり』!?
全てが繋がる。
あの時、彼女は死んでいなかった、見事に騙された。
「遅くなりましたお嬢様…」
「ったく…後少し遅れてたら結構まずかったわ、まぁ完璧なタイミングだったから良しとしましょう。」
全力で撃ったはずの夢想封印は不発に終わり、拘束されていたはずのレミリアはすっかり自由の身。
考えうる中で最悪の展開、これはまさに絶望としか言えない。
敵はほぼ無傷の吸血鬼、まだ力の詳細すら解っていないメイド。
さっきの攻撃を回避できたということは『瞬間移動』の力が備わっていると予測できる。
しかしそこまでだ、どうやってあの拘束を解いた?
瞬間移動という種だけではどうにも納得がいかない。
そもそも瞬間移動ならばこの頭の妙な感覚がなくとも出来る筈。
何だ、何をした?
「咲夜、貴女の力を話してあげなさい。絶望こそ人間の心を折る最高の手段よ。」
「畏まりました。私の力は一言で言えば『時間停止』…時を止めることが出来ます。ただ周りにいた者には『時間がかなり経ったような』感覚を与えます。」
「!?」
時間停止って、こちらは何も出来ないじゃない!
でもこれで手の内が見えた、困ったら時間停止でどうとでも出来るってことね。
つまり時間停止を短時間で連発させれば、こちらにも打開策が見える。
いくらなんでも長時間時が止まるってことはない、もって10秒って所だろうから。
「…博麗の巫女、今貴女は『咲夜の力を短時間で連発させれば勝ち目がある』って思ってるでしょう?」
「!?」
思考が読まれた!?
「それは無駄な足掻きよ。教えておいてあげるわ。咲夜の時間停止の効力は『軽く半日』は持つわ。」
「なっ…!?」
半日!?はぁ!?
「だから貴女に勝ち目はない。素直に諦めなさい。今なら許してあげなくもないわ。」
どうする、このままでは本当に勝ち目が見えない。
だが…
「誰が諦めるって?」
こっちは今更のこのこと帰るわけにもいかない。
せめてレナの分だけでも奴らにお返しをしてやりたい。
「ほう…戦意は折れず、か。いいわ、今度こそ殺す!!」
来るか、身構える。
やりそうなことは時間停止からの強力な一撃。
それも回避不能な攻撃を加えるつもりだろう。
「最後に言い残すことはないか?」
「死ぬわけじゃないし、ないわよ。」
「あっそ。なら死ね。」
時が止まる。
次の瞬間には…
目の前にナイフの大群。
「…あれ?」
掠るかと思ったが、痛みも何も走らない。
「痛ぇ…」
「ない魔力を絞るからだよ、というよりもう魔力切れ近いでしょ、レナ。」
「バレた?」
「もう少し魔力補充する?私はそれでもいいよ、ただ仲間が増えるだけだし。」
「状況によってはお願いするかもな。」
左手に切り傷があるレナと、見知らぬ少女が私の前に立っていた。
「ふ、フラン!なんでそこにいるのよ!?」
「お姉さまだけ面白そうなことばーっかやって、私を放置するもんだから、私から出てきたわ。」
「で、でもパチェに結界を張ってもらったのに!?それをどう突破したの!?」
「そりゃ…私じゃない第三者にぶっ壊してもらっただけよ。」
「!まさかあんた…そこの彼を使ったわけじゃないわよね!?」
「使ったわよ、勿論同意の上でね。」
「フラン、あんたねぇ!!」
あれ、レミリアがフランとか言う少女と戦い始めた。
「レナ、さっさと咲夜をぶっ飛ばしておいて!お姉さまはなんとかするから!」
「え」
「急いで!結構咲夜マジ切れしてるから!」
見れば、メイドの顔にはっきりと怒りが笑顔の向こうから見えている。
「妹様に何をした?」
「何って、何もしてないわけだが…」
「嘘は良くない、嘘吐きは殺さなきゃね」
また時が止まる、次を知覚した時はレナの首から血が噴き出していた。
「さようなら、人間。」
「…ってなるとでも思ったか?」
え、何がどうなってるの?
首切られて喋ってるとか、レナどうしちゃったの?
「フラン、やっぱあれ使うわ!」
「…できればあまり使ってほしくないけど、仕方ないね!」
レナが小瓶を取り出し、蓋を開けて中身の液体を飲み干す。
「魔力補充完了…」
次回予告。
魔理沙どこ行ったし
というわけで次回
「ちょっと遡ることおよそ2話くらい前の出来事」
お楽しみに!




