吸血鬼の力
やっとそれっぽいタイトルが決まった、うん。
‐レナ視点‐
「ちょ、いったい何しようってんだ!?」
これだけではいまいち状況が解らないから見たまま状況を説明する。
金髪の少女が俺の首に口を近づけていた…な、なにをやっているんだ?
異変に気付いた少女が俺の顔を覗き込む。
「?魔力使いたいんでしょ?」
「ああ…魔力が破壊の力だって言うんならこの鉄格子だって壊せるかもしれないしな…」
「だから首を噛み千切ろうと」
「はぁ!?」
殺す気か!?殺す気なのか!?
「…というのは冗談だけど、首をカプリとさせてほしいの。」
「???」
いや、なんで少女に首噛まれたら魔力に目覚めるんだ…そんなまるで「ロリがピンチになったら覚醒する残念なイケメン」な訳ないんだが…しかもイケメンじゃないし。普通…だと信じたい。
「あれ?もしかして私の事…誰からも聞いてないの?」
「聞いてないも何も、名前すら知らん初対面だ。俺にとっては。」
そうだ、きっとそうだ。
「忘れてた、私、フランって言うの。フランドール・スカーレット。長いからフランでいいよ。そういうあなたは?」
「俺も本名が長いからレナで構わない。よろしくな、フラン。」
ん?スカーレット?確かレミリアもそう名乗ってたな、さっき。
!そうか!!閃いたぞ!
「フランってまさかレミリアの…」
「妹、それがどうかしたの?」
やっぱりか、これで合点がいった。
首を噛ませろと言うのは吸血鬼たる故、か。
ん?となると…
「待て、まさか俺は吸血鬼になるのか?」
「あー、そう勘違いしてる人、多いの。吸血鬼になる条件って実は幾つかあって…」
「え?条件なんてあるの?」
「うん。まず第一に、童貞か処女であること」
「ぶっ!!」
こんな少女が童貞とか言っていいんですか神様。
「もちろん例外はあるけどね。異常なまでな『生』への執着、それがあればこの条件を飛ばして吸血鬼になれるよ。それが第二の条件に繋がる、『他人の血を飲む』か『吸血鬼の血を取り入れる』。基本この条件を満たして吸血鬼になるのがメイン。普通の人間が『血を飲もう』なんて思わないでしょ?」
「そうだな…」
怖いです。正直。
「後は魔法?そういう魔法があるらしいけどよく知らないの。で、私がレナに魔力を渡すためには体液…具体的には唾とか血とかを少量レナの体に入れる。少量なら吸血鬼にはならないから安心して。ただ小量な分、渡せる魔力は限られてる…量を多くしちゃうと最悪吸血鬼になっちゃう。それと、たぶん噛まれたら頭がぼーってするかも。吸血鬼の唾や血は小量なら催眠作用もあるの。だから人を操るのも一度首を噛めればいいの。」
なんだか人間とは違いすぎるなと思う俺。
それにしても丁寧にメリットデメリット説明してくれるな…わっかりやすい。
「ざっとこんなところだけど、質問ある?」
「吸血鬼になる方法は解った。だがそしたらおかしくないか?フランも元は吸血鬼じゃないってことだろ?だって血を飲まなきゃなれないってなら…」
「あー、私は生まれつきよ。吸血鬼同士で結婚して子どもを産んだらその子どもは吸血鬼。それは人間とおんなじ。」
そういうことか、納得だ。
「ん?そしたらご両親は?」
「今外の世界で大暴れしてるよ。確かお父さんは外じゃ『ヴラド伯爵』って呼ばれてる。」
ヴラド?っていうとあのワラキア王のヴラド公のことか?しかし彼は歴史上の人物、今は生きていないはずだが…ヴラド公が『人間なら』。
「お母さんは…『リリス』って言われてるって。」
あー、よくRPGに出てくる厄介な敵…あれのモチーフというとよほど美人なんだろうな。
「お父さんもお母さんも元気だよ。そのうち世界征服も夢じゃないって言ってた。」
地味に世界崩壊の危機!?
「って、このままじゃいつまでたっても出られないね…」
「でも丁寧に説明してくれたからよく解った。フラン、よろしく頼む。」
「いいの?説明したとおりだけど…もしかしたら人間じゃなくなるかも…それでもいいの?」
「…いやぁ、俺もだいぶ人間から離れているからなぁ…まぁ気にしなくて構わないってことだ。」
「わかった。そしたらいただきまーす♪」
かぷっと噛み付くフラン。
正直一瞬痛みを感じただけで、気にならないレベルだ。あれだ、血液検査で血を抜かれる、ちょうどあの感じに似ている。
「!!」
フランが何か言いたげだが…?
「?」
「ふあい!いっああおおえーあ!(美味い!立派な童貞だ!)」
「!?」
血の味でわかるのかそれ!?
「ってよりなんで俺はフランの言葉が今わかったんだ?」
「はって、あはしおうあをいええうもん。(だって、私の唾を入れてるもん。)」
ぷはっと首から離れる彼女。
「さっき言ったでしょ?吸血鬼の体液には催眠採用があるって。それの効力の一つ。私の言葉が頭に響く感じがしたと思うんだけど…」
「確かに。ってことは一時的に吸血鬼になったってことか。」
「吸血鬼のなり損ないってレベルだけどね。でも魔力は渡したよ。後は使い切るまでその状態が続くよ。」
「オッケー、なら一発やってみようか。」
「さっき魔力は破壊の力って言ったけど、それは厳密にいうと間違ってる。破壊が一番イメージつきやすいだけだから。要はイメージの力が魔力だよ。」
「こんな感じでいいのか?」
本当に俺に魔力がついているなら少ない力で破壊だってできるだろうと、軽く壁を叩いてみた。
壁がぶっ壊れました。
次回予告。
ついに物語進むよ、やったね!
というわけで次回
「人外って凄いと思う今日この頃」
お楽しみに!




