反撃の狼煙を揚げろ
なんだかんだ言ってとんでもなく間を空けてしまい申し訳ないです…
‐???視点‐
「さて…」
見事にナイフが突き刺さっているこの惨殺死体の首でもお嬢様に持って行こう。
そうすればお嬢様の計画は完遂される。
造作も無かった、こんなに簡単に殺れるとは。
博麗の巫女は注意すべき存在…と聞いていたがこのあっけなさ…
「考えても仕方ありませんね」
とりあえず、この死体から首を撥ねよう。
「!?」
これは…!
‐霊夢視点‐
「…なんとか撒けたみたいね…」
咄嗟に召喚した式神を身代りに、私は城の外へ脱出していた。
「相手の能力がいまいち解らない…空間操作系の力かしら?」
あのナイフの出し方…手で出したとは到底思えない。
仕込みナイフ?にしては仕込んだ形跡がない。
仕込んだとはっきり言えるのは最初のナイフ。あれは足元の紐に対応していた。
ただそれ以降は仕込む隙すらもなかったはず…
「せめて相手の力さえ解れば…」
考えても仕方がない。今は退くべき、レナのことも心配だ。
「…!?」
え、あれって…!!
‐???視点‐
「思ったより早かったですね」
やはり、主の言うとおり『彼ら』は現れた。
「早い?遅い?そんなことはどうだっていいのです。」
敵は二人。
一人は何処にでも居そうな、いたって普通の恰好をしている人間。ただ特筆すべきは、全身黒服…まるで喪服のようだ。
そしてもう一人は…主の知り合い。
「貴女に用はないのよ。強いて言うのなら…貴女の『上』に一言伝えて頂戴。」
「何です?」
このただならぬ殺気…まともなことは言いそうにない。
「貴女の役目は終わった。これからは私達の時代よ。」
「どういうことです?」
何が起きてもいいように、臨戦態勢だけは取っておく。
「つまりはこう言う事よ」
おもむろに相手が動く。
あの城、紅魔館に向かって…
一本の光が放たれた。
遅れて破砕する城。
「な…!?」
「大丈夫よ。誰も居ないところを撃ったわ。ただ宣戦布告しただけよ。」
「貴様…!!」
両手に炎を生成し、放つ。
「おっと」
だがそれは黒い何かに弾かれた。
「影…!?」
「ご名答。今は彼女を守るのが仕事なので。」
「くっ!」
影がうねうねと植物のように阻む。
「暫く彼女には影を相手にして貰い、我々はこの異変を止めましょう。」
「そうね。大体誰がやったのかは解るものね。」
くそ、このままでは彼らが…!!
「待てよ…」
二人の歩みは聞きなれない声で止まる。
振り向くと、気を失っていたはずのあの男が立ち上がっていた。
「てめぇら…誰だ…?」
だがお世辞にも完治とは言えない生傷だらけ。それで何を…
「誰って、我々はこの異変を止めに来ただけですよ?」
「嘘だな」
一蹴。この人間は命が惜しくないのだろうか。
「…」
「大体…霊夢や魔理沙の仲間なら…なぜ一緒に動かなかった…?」
「危ない!!」
叫ぶが時既に遅し、彼は影に引っ叩かれ地面を転がっていた。
「邪魔ですねぇ…消してしまいましょう。」
影が彼に止めを刺さんとしている。
「俺には…」
が、止めの一撃は封じられていた。
彼が左手で影の腕を掴んでいたからだ。
いや…おかしい…心なしか…彼から妙な力を感じる…?
「お前は敵に映っている」
「ふむ…悪あがきにもなりませんね」
駄目だ、力負けしている、いずれ影の鋭い腕が彼に突き刺さる。
「悪いな…この時点で…立派な悪あがきなんだよ…!!」
「!?」
影が砕けて、消えた!?
「あがいてあがいて、死ぬ瞬間まであがきゃ…掴めるんだよ…!!」
彼の目、身体を…蒼がかった緑が輝き、包む。
その色は、螺旋を描き…
「うぅ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
彼の左腕に巻きつく。その形容は、まさに釘打ち機。
「させるか!!」
影の壁が、彼を包んだ。
何だ、焦っている?
「ここは撤退です!今すぐ阿修羅に伝えなくては…!!『あの力に目覚めた者がいる』と!」
「ええ…これは緊急事態よ…!!」
慌てた様子で二人は一枚の札を出し、札を破く。
瞬間、二人は札に吸い込まれていき、遅れて影も吸い込まれた。
「…行かなきゃ。」
おぼつかない足つきの彼。
「何やっているんですか!今の貴方に何が出来るっていうんです!?」
いつの間にか、緑の釘打ち機は消えていた。
「俺が…足を引っ張りすぎた……急がなきゃ…でないと…」
「そんな身体で!行っても死ぬだけですよ!」
「皆…待ってるんだ…」
足を引きずりながら、彼は先に進む。
「!待ってください!」
こっちに何かが来る。
あれは…博麗の巫女に、黒白の魔法使いだ。
「…霊夢、魔理沙?どうして…?」
「ちょっとヤバくなって、逃げてきたんだぜ。」
「私もよ。訳の解らない能力使いに会って死にそうになったわ。」
この二人が苦戦する相手、あの二人か。
「一時合流…というわけですか。さしずめ『賢者』と『メイド』に負けてきたんですね。」
「そういうあんたは誰?見慣れない顔だけど。」
しまった。彼の事を気にかける余り、引き際を誤ったようだ。
まぁ、姓さえ名乗らなければいいだろう。
「藍と言います。宜しく。」
「あんた、妖怪ね?でもレナを襲わなかったところを見ると悪者ではなさそうね。」
「流石博麗の巫女ですね。一応狐の妖怪なんですよ。私もこの空が気になって…」
嘘は言っていない、ただこの行動には主の意志が関わっているだけだ。
レナと呼ぶのは…この彼の事か。
「で、さっきの話だ。その『賢者』と『メイド』ってのは何なんだぜ?」
ヒントくらい伝えてもいいだろう。
「あの城…『紅魔館』という城には、二人の強者がいるのです。」
次回予告。
主人公勢の反撃が始まる!
というわけで次回
「突撃!隣の紅魔館!」
お楽しみに!




