時と魔法の番人
二月初めての更新です。
‐???視点‐
「…」
主の命令は絶対であることは重々承知なのだが、何故我が主は「このような人間」をこの世界に連れてきたのか?
私はそこに疑問を感じた。
この低レベルの妖怪相手に此処まで手こずる、いや敗北を喫する程度の実力でしかないのだから、わざわざ生かしておく必要すら感じられない。
「余計な詮索は無用よ、藍。」
また心臓に悪い現れ方を…慣れてなければ心臓止まってしまう者が出てくるというのに。
「しかし、何故あんな弱い人間を?」
「そう言ってると足元掬われるわよ?ただでさえ人間の中には規格外の人間が居るんだから。」
「規格外、ですか…確かに博麗の巫女やあの魔法使いは少々規格外ではありますが…」
「ま、あの二人にとっては大きな壁が立ち塞がっているけどね。」
「?」
「考え方によっては『人間最強』、さらに魔法使い界隈での『賢者』…あの紅魔館に潜む規格外よ。」
‐霊夢視点‐
「これは…魔理沙、結構やってくれたわね…」
内部の散々な荒れっぷりに、私は少し溜息をついた。
床に横たわる妖精の姿を横目に、私は先に進む。
「奥が見えないじゃないの…明かりくらい残しておきなさいよね。」
壁には明かりとして蝋燭が飾られていたようだ…少なくとも魔理沙が突入するまでは。
「!」
足に何かが引っかかる感じがして、咄嗟に後ろに下がる。
案の定、私が気づいてなければ今頃…
「銀のナイフ?珍しい武器ね」
このナイフに身体を貫かれていただろう。
ナイフを拾い上げた瞬間、一瞬にして目前にナイフが迫ってきた。
「!?」
慌てて身を翻す。
「新手の魔法?それとも…」
立ち塞がる敵に、問う。
「あんたの仕業?」
‐魔理沙視点‐
「へぇ…この魔術書、こんな事まで書いてるのか…」
魔法使いにとって此処はまさに知識の宝庫。
「これはかなり勉強になるぜ、借りてくか。」
一冊の分厚い本…『属性魔法総論』と題される本を片手に、私は部屋を出ようとした。
しかし、扉は独りでに閉まり…
「え?閉じ込められた?」
さらには弾が飛んできて。
「おわっ!」
扉を壊してみようかと考えたが、この弾の嵐をかいくぐって扉を壊すのは至難の業だ。
壁に追いやられそうになったので、箒に乗って飛び上がる。
「多少躱しづらくなるけど、袋の鼠にされるよりかはマシだぜ!」
お、窓がある、いったんそこから出ていくか…
と考えたのが、運の尽きだった。
この部屋は二階建てのようで、二階にも本を読むスペースがあったことは入った時に確認できていた。
二階の高さまで上った瞬間、誰かが見えた。
その唇の動きから、こいつは敵だと知覚するのに時間はかからなかったが…
「死ね」
そう唇が動いた瞬間、私は撃たれた。
‐???視点‐
「全く、どいつもこいつも弱者ばっかりかぁ?あぁ?」
この有様を見たら、誰だってそう言いたくはなるだろう。
この世界の危機だって言うのに、この体たらく。
「俺様が行ったらあんなミスはしないぜぇ。俺に行かせてくれよ、なぁ?」
「待ちなさい、今このタイミングで介入したら私たちの計画、ひいては先人達の願いを無にしてしまうわ。」
「けどよぉ、これじゃあ全員死ぬのは時間の問題だぜぇ。その事態だけは避けなきゃいかんだろ?」
「確かに…ですが…」
仕方ない、私が行きましょう。
「私が行きましょう。私ならまだ疑われずに済むでしょ?」
「…いいのですか?」
「構わないわ。久しぶりに死地に赴くのは凄く凄く楽しいことだから。」
「…あんたが『最強の修羅』って言われる理由、解った気がするぜぇ。ないとは思うが、しくじるなよ。」
「ええ。十分に気を付けるわ。」
此処でしくじるわけにはいかない。最高の闘いの為にも。
「全ては阿修羅の御心のままに」
次回予告。
凶弾に倒れる魔理沙!
謎の敵と対峙する霊夢!
そしてあの者は出撃する…!!
というわけで次回
「全滅の危機」
お楽しみに!
次回更新→二週間以内




