【ゆいこのトライアングルレッスンB】〜寄り道〜Strawberry Cake〜
「お疲れ、ゆいこ。」
「お疲れ様〜!」
いつものようにひろしとたくみは塾が終わる時間に合わせて来てくれた。
「2人とも迎えに来てくれてありがとう。」
「今日は特別な日だからな。誕生日、おめでとう。」
「おめでとう、ゆいこ!」
「ふふ…ありがとう。」
今日は私の誕生日。ひろしとたくみは何か特別なことを考えてくれているようでそわそわしている。
「……ゆいこと行きたいところがあるんだ。少し寄り道して、いいか?」
「めっちゃいい感じのとこだから、 楽しみにしてて!」
2人に連れて来られたのは駅前のお洒落なカフェだった。
席につくと、お店の灯りが消えて、ハッピーバースデーの曲とともにケーキが運ばれてきた。
「おめでとうございます!こちら、バースデープレートになります。」
プレートには“Happy Birthday ゆいこ”の文字。苺とチョコでかわいらしく飾られていた。
「……わあ……!」
私は、目を輝かせながらプレートを見つめる。
「すごくかわいい……ほんとに、ありがとう!」
「……喜んでもらえてよかった。」
「ちなみにこのケーキ、ひろしのおごりだから!」
「それは、言わなくていい。」
「俺もその分、ごちそうになろ〜っと。ありがとな、ひろし!」
「ふふっ……もう、たくみってば。」
「ほんと、自由だよな……」
「ねぇ、私も行きたいところがあるんだけどいい?」
「いいに決まってるよな〜だって今日はゆいこが主役なんだから。」
「ああ、もちろん。どこへでもお供するよ。」
ぬいぐるみが並ぶクレーンゲームの前で、白いテディベアをじっと見つめていると、
「ほしい?」
「……うん。あの子取れるかな?」
たくみは、数回挑戦して、見事にテディベアをゲットした。
「っしゃ! ゆいこ、ほら!」
「ほんとに取れたの……? すごい……ありがとう、たくみ!」
私は嬉しくてテディベアをぎゅっと抱きしめた。
「白くてほわほわだな。可愛いゆいこに似合ってるよ。」
「今日の俺、いい仕事したよな。」
「ほんとに楽しい……こんな時間がずっと続けばいいのに。」
「ずっと続くよ。俺たちも、ゆいこと一緒にいたいと思ってるから。」
「また来年も、再来年も、その先もずっとゆいこを笑顔にさせるからな。」
2人は家まで送ってくれたけど、ずっとこのまま着かなければいいのにな、と思った。