47.涼雨(25) 術者たち
(誰か来た・・・・・・「強い」術者が)
立ち尽くしながら、涼雨はそれを感知した。
術から解き放たれて魔物が活性化した分、魔精感覚が鋭敏になっている。
先程からたまに通りがかり、砂映が呼び寄せてさっきからそこに数人いるような、並の能力しか持たない魔術学校の学生たちとは別格の――――魔道士レベルの術者。それからもう一人それにくっついた、異質な魔精を持った・・・・・・そちらはおそらく、オリジナルの魔法を操る魔女。
(退治される)
涼雨はそれを予感した。覚悟した。
心のどこかで、安堵もしていた。
こんな状態にまでなってしまっているのだ。現時点では魔精体だけだとはいえ、白にじ蛇も夢幻狼も、本来、人の近くで野放しにしてもいいような魔物ではない。もしも実体を得たら、さらに危険性は増す。今、涼雨が意識を保っていることでギリギリ抑えているものの、意識を失ったら、それこそ無差別に人に襲いかかりかねない。
(砂映くんのことも、傷つけてしまうかもしれない)
そんなことになるよりは、さっさと殺してもらえればいい。
(でも、お願いです。お願いだから)
この期に及んでの我儘な願いを、涼雨は手放せずにいた。
すでにもう、恋人ではないのだとしても。
――――大好きな人に、魔物の姿を見られたくない。
※砂映視点の同シーンは「23.涼雨(1)「再会なんてしなきゃよかった」にあります。




