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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第四章 白鳥へのざまぁ。そして、一夫多妻制の許された社会で俺は…。
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突然の変化《白鳥夫妻視点》

《白鳥香織視点》


「聞いてくれ。香織!僕…。今まで香織の事、蔑ろにし過ぎていた事に気付いたんだ。」


「慶一くん…。」


 夫の白鳥慶一から、突然話があると言われ、自室に来てもらうと、神妙な顔でそんな事を言われ、私は驚いた。


「そりゃ、綺羅莉も舞香も家族だし、僕には彼女と子供達に対する保護責任がある。けれど、本当に一番愛しているのは、やっぱり君なんだ。今までの事は取り返しがつかないけれも、これからは君の意向に添い、出来るだけいい夫になるよう努めるよ。」


 慶一のそんな申し出にも、彼を信じられなくなってしまった私は嬉しいと思うより、戸惑うばかりだった。


「慶一くん。急にどうしたの?この際だからハッキリ言うけど、あなたはもう私に対して女としての興味がないのじゃないの?

 もう綺羅莉ちゃんと舞香ちゃんとの間に子供もいるし、これ以上子供ができる事はそんなに望んでいないんじゃない?


 以前子作りに協力してもらってる時は、義務でしているだけって嫌でも伝わって来て、ひどくプライドが傷ついたわ。


 浮気三昧のあなたの被害を受けるのも、綺羅莉ちゃん、舞香ちゃんの子育てに振り回されるのも、もううんざりよ…!


 私、今はあなたと離婚するしかないと思い始めているわ。」


 畳み掛けるように、今の気持ちを慶一にぶつけると、彼は涙を浮かべて絶望的な表情で首を振った。


「そんな、香織!離婚するなんて、言わないでくれ!」


「何故?世間体が悪いから?社交の場に連れて行く人材がいなくなり、不便だから?」


「違うよ。香織を愛しているから、離婚したくないんだ!

 最近、ある取引先の営業部長と話をする機会があってね。愛妻家で夫婦仲円満のその人の話を聞いて、自分の家庭を見つめ直したら、どれだけ香織に支えられていたか、気付いたんだ。君なしでは僕は生きていけないよ。」


 慶一の必死な訴えには、彼なりの本気が感じられたけれど、以前のようにそれに縋ろうという気持ちになれなかった。


「……。ごめんなさい。そう言ってくれるのは有り難いけど、そんなあなたの言葉を、もう全ては信用出来なくなってしまっているの…。」


「それは、そうだよな…。僕、これまで香織にはひどい事ばかりして来ているものな…。」


 私の言葉に慶一は項垂れ…。


「けど香織、僕が悪いのは承知の上だが、この数日で態度が急におかしくなったのはどうしてだい?

 今までは、怒りはしても離婚なんて口にしなかったのに…。

 何か心境の変化が起こるような事があったのかい?」


「…!べ、別に何もないわ。ただ、今までの事を冷静に振り返ってみて、その結論に至っただけよ。」


「もしかして、石藤良二…。君の高校時代の元カレが、その考えに影響していたりするのかい?」


「えっ?」


 眼光を鋭くした慶一に指摘され、一瞬ドキッとした。

 数日前に見たバラエティ番組で、料理研究家財前寺桜が元カレの石藤良二の妻だった事を知ってから、私の中で何かが変わろうとしているのは事実だったから。


「ちち、違うわっ。何で今更良二くんが出て来るの。彼は既婚者だし、別に何も関係ないわっ…。慶一くんっ?」


 動揺しながらも否定する私の前に、慶一は跪いた。


「それなら、香織!一回だけ僕にラストチャンスをくれないか?

 香織との間に子供を作ってあげられないことが、ずっと気にかかっていた。

 君の事を大切にするし、不妊治療にも同じ気持ちで必死に取り組むから!」


「えっ。でも、慶一くん、不妊治療を行っていた病院は、性病の件で冷たい応対を受けたからもう行きたくないって行っていたじゃない…!」


 私が流石に驚いて問い返すと、慶一は苦々しく頷いた。


「ああ。お互い嫌な思い出もあるし、流石にあの病院は止めた方がいいと思うが、別の病院で一から不妊治療をやり直そう。」


「けど、慶一くん、今の病院では綺羅莉ちゃんと舞香ちゃんの間に子がいるから、おそらく慶一くん側の問題はないだろうし、今は仕事が忙しく時間がとれないという事で、無理を言って先に治療を進めさせてもらっていたのよ。


 次の病院でそんな都合をつけてくれるか分からないし…。」


「ああ。だから、男性側の検査も必須なら、もちろん受けるよ。」


「ええっ。」


 今まで何だかんだと理由をつけて検査を避けていた慶一が、すんなりそれを受ける事に同意した事に私は驚きの声を上げてしまった。


「3ヶ月…いや、1ヶ月でもいい。離婚するしないを決めるのは、もう少し待ってくれ!

 関係の再構築に取り組む僕の本気度合いによって、香織が判断した結果を僕は受け止めるから。どうかお願いだっ!」


「慶一くん…。」


 額に汗を滲ませて頭を下げる珍しい慶一の姿に、私はノーと言う事が出来なかった。


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽

《白鳥慶一視点》


『けど香織、僕が悪いのは承知の上だが、この数日で態度が急におかしくなったのはどうしてだい?

 今までは、怒りはしても離婚なんて口にしなかったのに…。

 何か心境の変化が起こるような事があったのかい?』


『…!べ、別に何もないわ。ただ、今までの事を冷静に振り返ってみて、その結論に至っただけよ。』



『もしかして、石藤良二…。君の高校時代の元カレが、その考えに影響していたりするのかい?』


『えっ?ちち、違うわっ。何で今更良二くんが出て来るの。彼は既婚者だし、別に何も関係ないわっ…。』


「ハハッ。香織の奴め。ちょっと突付いただけでボロ出しすぎだろ?」


 香織と話をしてから、10分後ー。


 僕はワイヤレスイヤホンでICレコーダーの音声を聞きながら、ニヤリと笑った。


 全く、役割を果たす前に離婚したいと言われた時はどうしようかと思ったが、やっぱり、不妊治療の事を持ち出されると弱いみたいだな…。


「出て行くのは、ちゃんと僕の役に立ってからにしてくれよ?その時は君の不倫を理由に僕の方から離婚してやるけどな…?」


 僕はこれからも起こる事を思い浮かべ、ほくそ笑んだのだった…。


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― 新着の感想 ―
全く内容の無い録音に失笑するしかない。 後は自分が検査受ける事で種無しが発覚して香織以外の浮気が明るみになる一家崩壊展開かな? その辺りでマスコミにパパ活の件がリークされて倒産か失脚で一気に全てを失っ…
何の効果もない録音なのがすごいわ
作者様にお願いです 生温いザマァで済ましてほしくないので息の根止めるくらいのレベルで落として欲しいであります
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