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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第四章 白鳥へのざまぁ。そして、一夫多妻制の許された社会で俺は…。

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一妻多夫制 それぞれの立場《後編》

《夫その2 駿也の話》


「いや、もう、亜梨花さんをあんなに怒らせて傷付けてしまって、僕は本当になんて事をしてしまったんだろうで…。」

「駿也くん…。」

「駿也さん…。」

「ニャー…。」


 駿也は、長身の体を縮こまらせて、後悔の念に苛まされているようだった。


「駿也さん、いけない事をしてしまったという自覚はあるんですね?

 既婚者が、パートナー以外の女性の家に泊まるなんて、絶対にしてはいけない事でしたよ?

 私は駿也さんも、その女性も軽率だったと思います。」

「ニャニャッ。」


「さくら…。」


 さくらがいつになく厳しい表情で駿也くんと相手の女性を批判するのに、俺が驚いていると、駿也は頷き、項垂れた。


「ほ、本当にそうですよね…。

 僕が悪かったんです。

 相手はダンサー仲間で、性別を意識させないようなさっぱりした人だったので、つい男友達感覚で引き受けてしまったんですが…。」


「その女性に告白でもされましたか?」


「えっ。どうしてそれを…?」


「ええっ。駿也くん、そうなのかい?」

「ニャニャッ?」


 さくらの言葉に狼狽える駿也くんの様子に更に俺とあんずは驚きの声を上げた。


「は、はい…。「彼氏になって守ってくれないか」と言われて、もちろん断りましたし、本当に何もありませんでしたが…。なんで分かったんですか?」


「普通、何とも思ってない男子を家に泊めたりしないですからね…。特に、ストーカー被害に遭って、男性に恐怖心を抱いているような人が…。(っていうか、その話もどこまで本当の事か分かりませんけど…。)」


 目をパチクリさせている駿也にさくらは肩を竦めて言った。


「ああ、僕、そのダンサー仲間の気持ちも、亜梨花さんの気持ちも何も分かってなかったんですね。ガクッ…。ハッ!」


 駿也は、その場に膝をつくと、側に例のバイブなアレがあるのに、気が付いた。


「僕、自分の罪深さにやっと気付きました。亜梨花さんに誠心誠意謝ります!


 亜梨花さんが許してくれるなら、例えこれで亜梨花さんにお仕置きされても構いませんっ。」

 ダッ!


「「あっ。駿也くん (さん)、待っ…!」」

「ニャー!」


 悲壮な決意を固めたらしい駿也は、そのスティック状のものを拾い上げ、西城亜梨花のいる部屋の方へ向かい、俺達は慌ててその後を追った。


「亜梨花さっ…。雅也…!」


「亜梨花さん。分かるまでは特に安静にして…?…!駿也!」

「ありがとう。雅やん…。…!駿ちゃん!」


 駿也が、西城亜梨花のいるリビングに飛び込んだ時には、涙を浮かべた西城亜梨花を雅也が宥めているところだった。


「亜梨花さんっ!!今回の事は僕が考えなしでした。本当にごめんなさいっ!!

 でも、俺が好きなのは、亜梨花さんただ一人なんですっ。

 亜梨花さんの気の済むまでコレでお仕置きして下さいっ!!」


「駿ちゃん…!」

「駿也…!」

 

 駿也は、亜梨花の前に土下座をし、皆が驚く中、スティック状の例のアレを彼女の前に掲げた。


「駿也さんが亜梨花さんに身を捧げ…ぶふっ…!」

「さ、さくら、見てはいけない!それ以上出血すると死ぬぞ!!」

「ニャッ!」


 また鼻血を出しそうになるさくらに、俺は手で目隠しをし、あんずはさくらを止めるようにしがみついたのだが…。


 亜梨花はそんな駿也を見て、困ったように笑った。


「駿ちゃんの気持ちは分かったよ。私もやり過ぎたのは、ごめん。お仕置きは、もういいよ。」


「あ、亜梨花さん…!許してくれるんで…」

「けど、私が冷静になる為に距離を置きたいから、今日は雅やんとビジネスホテルに泊まるね?」

「えっ…。」


 ポロリ…。


 ぱあっと顔を輝かせた駿也だが、西城亜梨花にそんな事を告げられ、スティック状のものを取り落とした。


「駿也、俺はお前だからこそ、亜梨花さんのもう一人の夫として認めていたのに、今回の件は見損なったぞ?


 亜梨花さんは今、不安定になっているから、今夜は距離をとって、一晩反省してくれ。明日よく話し合おう。」


「ま、雅也…!」


 雅也にも突き放すようにそう言われ、駿也はショックで青褪める中、俺とさくらは顔を見合わせると、西城亜梨花と雅也にある事を提案する事にした。


         ✽


「じゃあ、良二さん、さくらさん、今日は本当にお世話になりました。迷惑をおかけしてすみません。駿也の事お願いします…。」


「良二くん、さくらちゃん。今日は本当にごめん。また埋め合わせするから…。駿ちゃんの事よろしくお願いします。」


「「はい。雅也さん、西城(亜梨花)さん、心配しないで下さい。」」

「ニャン!」


 申し訳なさそうに、雅也と西城さんに駿也を託され、俺とさくら、あんずは大きく頷いた。


 そう。俺達は、駿也一人隣の家に残されるのはあまりにも可哀想かと思い、距離を置きたいというのなら、西城さん達は自宅に戻り、駿也は今日だけわが家に泊まってはどうかと西城さん達に提案したのだった。


「ううっ…、うっ…。亜梨花さんっ…。雅也っ…。」

「「駿也くん(さん)…」」

「ニャー…」


 駿也は、西城さん達が帰るのを見送りながら大粒の涙を零し、俺達はしばらくそんな彼を見守る事しか出来なかった。

*あとがき*


 いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m


 今後ともどうかよろしくお願いします。

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