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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第四章 白鳥へのざまぁ。そして、一夫多妻制の許された社会で俺は…。
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一妻多夫制 それぞれの立場 《前編》

 鼻血が止まり、さくらが復活してから、亜梨花さんから武器(バイブ式の例のアレ)を預かると、俺達は三人を一人一人別の部屋に移動させ、それぞれから話を聞く事にした。


《妻:亜梨花の話》


「良二くん、さくらちゃん。迷惑かけてごめんね。つい、駿ちゃんの浮気に血が上っちゃって!話まで聞いてもらう事になっちゃって、本当にごめん…。」


 さっきは烈火の如く怒り、暴れていた亜梨花だが、時間をおいて冷静になったのか、俺達が驚くほど殊勝な態度で謝って来た。


「いや、俺も怒鳴って悪かったよ。西城さん達にはいつも色々助けてもらってるんだから、出来るだけの事はさせてくれ。」

「そうですよ。大変な時は私達を頼って下さい。駿也さんが浮気したっていうのは、確かな事なんですか?」

「ニャー。ニャニャン?」


「うーん。駿ちゃん、ダンサー同士の集まりがあって、昨日は友達のところへ行って、泊まるって連絡して来たから、男友達だと思って、その時はいいよって言ったんだけど。

 どうやら、一人暮らしの女の子のとこだったみたいで…。」


「えっ。それは…。」

「大分アウトだよな…?」

「ニャン。」


 俺達は眉を顰めて顔を見合わせた。


「だよね?その女の子は、ダンサー仲間で、ストーカー被害に遭っていて、怖くて眠れないから今晩だけ泊まってくれって言われて、駿ちゃん断れなかったらしくて、やましい事は何もしてないって言うんだけど…。

 そんなの、口ではいくらでと言える事でしょ?

 それに、何もなくてもその子と一晩夜を過ごした事は事実なわけだしさ…。

 軽率にそんな事できちゃうってことは、駿ちゃんは私の事、実家のお母さんかお姉さんか何かと勘違いしてんじゃないかってさっきまで腹が立ってしょうがなくて…!


 でも、今は、所詮、一妻多夫制家庭なんて、周りの皆が言うように、女が、お金に物言わせて若い男の自由を奪って侍らすだけの関係だったのかなって…。

 駿ちゃんも、雅やんも、本当は若い女の子の方がいいのかなって…。

 なんかもう虚しくなってきちゃって…。ぐすっ。ひっく。」


「西城さん…。」 

「亜梨花さん…。」

「ニャー…。」


 最後には、嗚咽を漏らしながら事情を語る西城亜梨花に、俺達は同情的な視線を向けた。


「亜梨花さん。私から見た駿也さん&雅也さんと亜梨花さんの関係は愛し合って慈しみ合っている素敵な御夫夫婦です。亜梨花さんが思っているような事は絶対ないと思いますよ?」


「さくらちゃん…。ぐすっ。」


 さくらは、目をうるうるさせる西城亜梨花を勇気づけるように、彼女の肩に手を添えた。


「とはいえ、今回は、駿也さん、亜梨花さんを傷つけてしまって、軽率でしたね。

 その事はちゃんと話し合った方がいいと思います。」


「そうだな。(武器なしで)冷静に話し合った方がいいな…。」

「ニャー。」


 さくらの言葉に俺もあんずも神妙な顔で頷いた。


《夫その1:雅也の話》


 亜梨花さんから聞いた話を雅也くんにすると、彼は苦々しいため息をついた。


「ふうっ…。そうだったんですね…。それは駿也が悪かったな。


 亜梨花さん、最近度々情緒不安定なところがあったので、帰って来るなり亜梨花さんにすごい勢いで詰られている駿也の方を庇ってしまいました。


 傷ついている彼女の気持ちを分かってあげられなくて、俺、旦那失格です。」


「雅也くん…。」

「雅也さん…。」

「ニャー…。」


「あの…。失礼な事を聞いていたら、本当に申し訳ないんだが…、西城さんとは、他の家庭と同じレベルで浮気は厳禁という事になっているんだよな…。」


 俺が恐る恐る聞いてみると、雅也は気を悪くする事もなく、快く答えてくれた。


「はい。それは、全く同じレベルで、いや、むしろ亜梨花さんはヤキモチ焼きなので、より厳しいレベルで浮気はしないという事を俺も駿也も約束しています。


 亜梨花さんも、不倫は絶対にしないと約束してくれています。」


「でも、その、亜梨花さんは…その、君と、駿也くん両方と…。」


「ええ。亜梨花さんは、俺と駿也の二人の夫を持つのに、俺達に浮気厳禁というのは、不公平じゃないかという事ですよね?確かに、法律上、一妻多夫制の不倫の罰則規定は一般家庭よりもゆるいですし、世間から見たら歪に感じるかもしれません。


 けれど、それは亜梨花さんと俺達で納得の上で決めた約束事なんです。一夫一婦であろうと、一妻多夫であろうと、一夫多妻であろうと、家庭というのは信頼関係の上で成り立つ事に変わりはないでしょう?

 だから、駿也が他の女性と一晩過ごしたというのは、ルール違反なんですよ。」


「「な、なるほど…。」」

「ニャ…。」


 俺達は、雅也の言葉に、自由に見えて、西城家なりのルールがある事を知ったのだった。


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― 新着の感想 ―
勝手に他所の事情で他人の家で暴れられた被害者なのに怒鳴って悪かったといえるの凄いよ良二くん
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