新婚家庭への乱入者
新婚旅行から帰って来てから、さくらは西城亜梨花ののブランド服のモデルとして、大ヒットの料理本を出した若き料理研究家として世間から注目され、メディアの取材や番組の出演などで大忙し。
俺は俺で、新婚旅行中に溜まっていた仕事を片付けながら、義父の財前寺龍人さんが社長を務める大企業、RJ㈱関係の新たな仕事を打診されたりとこれまた大忙しで、新婚夫婦ながら、なかなかゆっくり休むことが出来なかったのだが、
今日は珍しく二人の休みが重なった日曜日の昼。
俺はソファに腰かけて、テレビでさくらの出演しているバラエティ番組を見ていた。
『私が成人してから出会った彼は、やはりとても素敵な人で、再会した翌日に私からプロポーズしてしまいました!
この一夫多妻の許された社会で、唯一の妻として愛して下さる良二さんと結婚できて、私は今、信じられないぐらいに幸せです。』
『あらあら。旦那様との熱烈な惚気話ありがとうございました。お二人は固い絆で結ばれていらっしゃるんですね。』
『はい。例え、何があっても私は旦那様を信じてその手を離しません!!』
「さ、さくら…///」
画面の彼女は明るい笑顔で俺への愛を語ってくれていて俺が赤面していると…。
「良二さ〜ん、付け合せの野菜、パクチー入れてもいいですか?…って、あっ。あの番組見てるんですか?焦ってとちっちゃったから、見ないでって言ったじゃないですかぁっ…!///」
「わあ!前が見えないよ、さくら!」
キッチンで昼食を作ってくれていたリアルさくらが、俺に目隠ししてきたので、慌ててそれをとろうとして…。
ドサッ!
「きゃっ!」
「わっ!」
さくらを自分の体の上に引き倒してしまった。
「は、はうぅ…。///良二さぁん…♡♡まだお昼前なのに、もう一戦始めちゃう感じですかぁ?」
「えっ。いや、そんなつもり…じゃ…ない…と思うけど…///」
青い目をトロンとさせた色っぽい表情の銀髪美少女を間近に、理性が弱まり、否定しようとする声がだんだん弱くなっていってしまった。
「でも、やっぱりそうかも…?チュッ♡」
「あんっ♡」
さくらの綺麗な鎖骨のラインにキスを落とすと、さくらは甘い声を出して頭をのけ反らせた。
「いいんですよ?良二さん。少子化の為、一夫多妻制さえ許される世の中ですもの。新婚夫婦が昼夜問わず、愛ある限り戦うのはむしろ法律で規定されている事かと…。」
※規定されていません。(規制もされていませんが。)
「さくらっ…!」
「良二さぁんっ…!」
『あっ。ちょっと魚を焦がしてしまいましたね。すみません』
『ニャァッ?フウッ…。』
トテトテトテ…。
盛り上がって抱き合う俺とさくらには、テレビにさくらが料理を少し失敗している場面が映っていても、あんずがイチャイチャする俺達を見て、呆れたような顔で向こうへ行ってしまっても、本能を止める事が出来なかったが…。
ガッシャーンッッ!!!
「ぎゃああっ!!!」
「「?!!」」
近くで物が壊れるような大きな音と、誰かの悲鳴が聞こえて来たのには流石に驚き、俺とさくらは顔を見合わせた。
「今のは…??」
「お隣の西城さんのお家からですね…」
ダダダダッ!!
ピンポンピンポンピンポン!!
それから間もなく、誰かが家に駆け込んで来て家のすごい勢いでチャイムを鳴らして来た。
インターホンの画面には、西城亜梨花の夫の一人、駿也の怯えた顔が映っていた。
「りょりょ、良二さん、助けて下さい!!僕、殺されるっっ!!||||」




