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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第三章 そして幸せな生活が始まる。一方NTR夫婦は…。

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おまけ話 優秀な派遣社員

「この書類終わりました。座練さん、チェックお願いします。」

「はっ?もう…?いやいや、こんな短時間に終わるわけないだろ?派遣だからって適当な仕事してんじゃねーぞ?森継もりつぐ?」


 4月から課長となった俺は、パソコン上の課全体の仕事の流れを確認する傍ら、3月まで係長として配属されていた係のやり取りが耳に入って来た。


 サボりがちな上、居丈高な態度の一つ上の先輩、座練には、度々悩まされていたが、4月から入った派遣社員、森継冴斗もりつぐさえとに辛く当たってトラブルになるのではないかとつい気になってそちらに目を遣った。


「俺が間違いを指摘してやるからな?ほら、見ろ!ここ、6と9の数字を間違えている。」

「あれ?そうでしたか…?」


 書類の数字を人差し指で、トントンと叩く座練に首を傾げる森継くん。


「そうでしたじゃねーよ!教育がなってねーな。ちゃんと謝…」

「いや、数字合ってるよ。座練くん」

「え。」


 森継くんに激昂しかけた座練を止めるように、いつの間にか現係長の福井さんが間に入っていた。


「座練くん、教育係引き受けたならちゃんと教えてあげてね?あと、パワハラ的な物言いは禁止ね?」

「ぐぅっ…!//」


「森継くん、仕事早くて正確だから、助かる!次はこれお願いしていい?座練くん、やり方教えてあげてね?」


「は、はいはい。分かりましたよ。俺も忙しいんだから、一回説明したら覚えろよな!」

「はい。座練さん、お願いします!」


 福井さんに言われ、不貞腐れながらも森継くんに向き直ると、森継くんはキラキラの笑顔で頭を下げた。


 うまく福井さんが窘めてくれたけど、ハラハラするなぁ…。


 実は4月から入ってくれた派遣社員達は皆、RJ㈱の小会社が派遣元だった。


 人手不足だった課に優秀な派遣社員が来てくれたおかげで、業務が滞りなく回るようになったのはいいが、義父、財前寺龍人さん系列の優秀な派遣社員とうちの会社の社員でトラブルがあったらと気を揉むのであった。


        ✽


「あっ。森継くん…。」

「課長…。」


 たまたま休憩所で飲み物を買いに来ていた森継くんとバッタリ出会った。


「森継くん、ちょっとだけ時間いいかい…?」

「はい。いいですけど…。」


 座練の事が気になっていた俺は、カップコーヒーを奢らせてもらい、カウンター席に並び、森継くんに話を聞く事にした。


「森継くんには、こちらが求める以上の仕事をしてもらって、本当に助かっているよ。ありがとう。」


「課長にそんな風に言って頂けると恐縮です。」


 森継くんは礼儀正しくペコリと頭を下げた。優秀な派遣社員は、所作からしてスマートだった。


「森継くんは、働いている上で何か困った事とかはあるかい?」

「うーん。そうですね…。困った事というか…。」


 俺が気になっている事を聞いてみると、森継くんは考えるようなポーズをとった。


「不思議な事はありますね。座練さんなんですけど…。」

「あ、ああ…。||||」


 やっぱり座練の事かと覚悟して森継くんの話を聞く事にした。


「係長に教えてもらったのと全く違う書類の作り方を教えられたので、座練さんいい間違えているのかと、その場は素直に言う事を聞いて、係長のやり方で書類を作ったら、「何で間違ってないんだ!」って怒り出されて…。

 あの方は、一体どうされたかったんでしょうかね…?」


 心底不思議そうな顔で森継くんにそんな話を聞いてしまい、俺は思わず、カウンターテーブルに顔を突っ伏した。


「ああ、座練…_| ̄|○ il||li」


 座練め。新人の優秀な派遣社員に嫌がらせするため、わざと間違った仕事のやり方を教えようとするとか、なんて残念な人間性なんだ…!


「あっ。思いつきましたが、困った事は…、今、課長が僕の事を気にかけ過ぎている事ですかね…。」


 困ったような顔で、森継くんは笑って頭に手を当てた。


「僕達は、石藤良二課長の負担を取り除くべく派遣された社員なので、自分の事を心配されて負担かけてしまうと本末転倒なんですよね。」


「へっ?」


「本来、本社の派遣社員として配置を検討されていた僕達に財前寺社長直々にこちらの会社への配属を頼まれまして…。」


「お義父さ…、財前寺社長がっ…?!」


「はい。6ヶ月の雇用契約期間の内に労働環境が改善する使命が課せられ、それが叶えば、本社勤務を検討して頂けるとの事でしたよ。」


「そ、そうか…。それで、入った派遣社員は皆優秀だったのか…。

 財前寺社長にそんなにご心配をかけてしまっていたとは…。君達にも苦労をかけてしまったな…。」


 本来、本社へ入るべき優秀な人材をうちみたいな会社に無理矢理引っ張って来てしまったのかと、罪悪感を抱いていると、森継くんは明るい笑顔を向けて来た。


「課長、そんな顔をしないで下さい。その分、俺達が本社勤務に移るときは、財前寺社長の信頼を得て、高待遇で迎え入れて頂けるんですからこちらにもメリットがあるんですよ。

 課長も、その分、充分俺達を利用して下さい。派遣社員の働きぶりで、やる気のない社員に発破をかけていきますからね。」

「森継くん…。ありがとう…!」


 頼もしい派遣社員は胸を叩き、俺は有り難くその力を借りる事にしたのだ。


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


 *おまけ話* その後の社内の会話



 良二「森継くん、いつも、素晴らしい働きぶりだね。うち、正社員登用制度もあるから目指してみないかい?」


 森継「はいっ!頑張りますっ!」


 座練「はっ?何言ってんだ?派遣が正社員なんて、簡単になれるわけ…!」


 福井「いやいや〜、遅刻多くて、上司にタメ口、タバコ休憩行ったきり、1時間戻らないような人よりは、森継くんよっぽど立派な正社員になれると思うよ?」


 座練「…!!||||」


 良二「えっ。そんな社員がいるんですか?福井係長。誰ですか?ぜひ上に報告したいから、教えて下さい。」


 座練「〰〰!(くっ、くっそー、石藤の奴、課長になった途端、偉ぶりやがって。)お、お、おれじゃあありませんよ!あ〜仕事忙しいな〜。」


✽あとがき✽

 読んで下さりありがとうございます!


 座練くん、森継くんの優秀さに危機感を覚えて、前よりは不遜な態度を改め、真面目に仕事をするようになったそうですよ。(;´∀`)

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