甘ったるい朝
「…さん。良二さん…。」
ツンツン…。
「うん…?くすぐってぇ…。」
誰かに呼びかけられ、頬を優しく指で突っつかれ、る感触がして、目を開けると…。
「ふふふ…。おはようございます。良二さん、もう朝ですよ?」
「わっ。さ、さくら?お、おはようっ!」
朝日に照らされた銀髪美少女のどアップが目の前に飛び込んで来て、驚いて飛び起きた。
「昨日は、私の為にいっぱい頑張って下さったから疲れちゃいましたか?
良二さん、寝覚し時計鳴ってたのに全然気付きませんでしたよ?ベッドでまだ眠っているあんずちゃんもですけど…。」
ピンク色のエプロン姿のさくらがくすくす笑っている。
「あ、ああ…。ごめん…。///あんずは元々朝が遅いんだ。」
そ、そうだ。昨日から、さくらとの同居が始まって、俺はやっとさくらと…!///
最初は、失敗してさくらにとんでもない事しちまったけど…。||||
甘ったるい時間や、やらかした事を思い出してニマニマしたり、青くなったりしていると、さくらは気遣わしげな視線を送って来た。
「もしかして、挿れるところを間違いそうになった事、まだ落ち込んでいるんてすか?」
「え?い、いや、その…。」
「その後ちゃんと出来ましたし、気にしなくていいって言ったじゃないですか。BL好きの私に、実地経験を積ませて頂いて、むしろご褒美と受け止めていますよ?」
「さ、さくらぁ…!」
手を組んで夢見るような瞳でそう言うさくらに脱力し、再びベッドに崩れ落ちそうになった。
そこまで体張るとは、どんだけのBL好きだよ…!
「それに、良二さんとやっと本当の意味で結ばれる事ができて、今、私は羽が生えて飛んでいけそうな位幸せです。
もう離さないで下さいね。」
「さくら…//」
ぎゅうっと抱き着いてくるさくらに俺も抱き締め返し、囁いた。
「俺も幸せだよ…。」
「良二さ…。///」
グウゥ〜〜!グキュルル〜!!
「あっ…。//」
朝の甘い時間は、俺の腹の音によって唐突に遮られた。
本当に、俺はいざという時にどうしてこうもしまらないんだろう。
がっくりと項垂れていると、さくらは明るい笑顔を向けて来た。
「お腹空きましたよね?今日は朝食にワッフルと野菜スープを作ったので、いっぱい食べて下さいね?」
その後、さくらと一緒に向かい合っての朝食は言うまでもなく、美味かった。
野菜スープは、さくらと再会した時に作ってくれたものと同じ味だった。
懐かしい味を噛み締めて、あの時と比べ今は色々状況が変わったなぁと感慨深く思いながら、心配な事を聞いてみた。
「さくら、その…、体の方は大丈夫か?」
「はい。痛みはもうそんなにないです。ただ、その、体の奥がいつもと違う感じで、あんまり大股では歩けない感じですが…。//」
「そ、そっか…。//なんか、すまん…。今日は、あんまり無理しないようにな。
食器洗いとか、俺が手伝える事はやるし。」
「ありがとうございます✨✨私の旦那様、優しいです♡」
「ニャアン…。」
キイ…。トテトテ…。
俺達の会話に起こされてか、あんずもリビングに入って来た。
「あっ。あんず、起きたのか?」
「あんずちゃん、おはよう。今、ごはんあげるから、ちょっと待ってね?」
さくらは、あんずのお皿にごはんを出してくれた。
「ふふ…。朝食用の猫缶だよ。どうかな?美味しい?」
「ニャーーン♡はぐはぐ…。」
「ハハッ。あんず、口の周りベチョベチョになってるぞ?」
まるで、あんずと俺とさくらは、小さい子を見守る両親のようで、ああ。俺達は家族になったんだなぁ…としみじみ思った。
「この後、婚姻届出しに行こうな?さくら。」
「…!はいっ!良二さんっ…♡♡」
俺が呼びかけると、さくらは青い目と銀髪を煌めかせて、満開の笑顔を見せてくれたのだった。




