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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第三章 そして幸せな生活が始まる。一方NTR夫婦は…。

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不調の原因《白鳥香織視点》

 生理の出血がいつもより長びいているのが気になって、不妊治療で通っている病気で診てもらう事にした。


 夕方からの受診に合わせて、会社に午後休を申請して、早めに自宅に帰る事になった。


「はぁ…。帰ってもどうせ家の中は散らかっていて、子供達がうるさいんだろうな…。」


 ガチャッ。


 体調が悪い時にもゆっくり休めないのかとため息をつきながら、自宅のドアを開けると…。


 シン…。


「?」


 静まり返った部屋の様子に私は首を傾げた。


 綺羅莉ちゃんも舞香ちゃんもいない…?


「買い物か、遊びにでも行ったのかしら…?まぁ、何にせよ、ゆっくり休めそうでよかった。」


 ボフッ…!


 私が解放された気分で自室のベッドに転がった途端…。


 トゥルルル…♪ 


「ええっ?もう、なんてバッドタイミングな…!」


 自宅の電話が鳴り響いた。


「はい。白鳥ですが…。」


 少し不機嫌にリビングに置いてある電話の受話器を取ると…。


「あっ、白鳥さんですか?さくら保育園です。

 お子様方を臨時保育でお預かりしていたんですが、実は桃姫ちゃんの方にお熱が出てしまいまして…。今からお迎えをお願いしてもいいですか?」


「はいっ?!」


 状況がつかめない私は大声を上げてしまった。


         ✽


「ぎゃわあぁん!!ママいい〜!!カオリヤダァ〜!!」

「ギャアアッ!!」


「もう、泣かないで…。お母さんすぐ帰って来るから。お家で待ってましょう?」


 綺羅莉と慶一の子、桃姫ちゃんと万里生くんにダブルで泣かれ、内心げんなりしながら宥めた。


 私だって来たくなかったわよ。自分の子でもないのに、保育園にお迎えなんて…。


 保育園からの電話に驚いた私が、よくよく問いただしてみると、綺羅莉は用事がある為子供達を臨時保育に預けていたらしい。


 綺羅莉にも、更に舞香にも連絡が繋がらず、仕方なく私が迎えに来る羽目になったのだ。


「あはは…。桃姫ちゃん、万里生くん、すぐお家の人が迎えに来てくれてよかったね?ホラ、さっき作ったお花の折り紙、お土産に持って帰ってね?」


 保育園の先生は苦笑いしながら、桃姫ちゃんに少し歪なお花の形の折り紙を渡すと、桃姫ちゃんも万里生くんも少し泣き止んだ。


「あ、おはな…。ひっく…。」

「だぁっ?」


「うんうん…。お母さんにプレゼントするんだよね?」

「ん…。」

「だうっ?」


「あのっ。お世話になりました。」


 子供達をあっという間に宥めてくれた保育士さんに頭を下げると…。


「こちらこそ、ご利用ありがとうございました。

 最後までお預かり出来なくてすみませんね。

 それと、2人分3時間分の代金が7500円になりまして…。」


 申し訳なさそうな顔で代金を請求された。

 綺羅莉、お金払ってなかったのっ!?

 信じらんないっっ!!  


         ✽

 ダダッ!


「パンマムみる〜!!はやくぅっ!」   


「だだあっ…!ガジガジ…!」

「え〜と、アンパンマムのブルーレイどれ?ああっ。万里生くん、ディスクかじっちゃダメェッ!!」                      


 やっとの事で家に帰って来たと思ったら、桃姫ちゃんは、熱を出したとは思えない程元気に家の中を走り回り、アンパンマムを見たいと言い出し、

 私がテレビの近くでブルーレイを探している側で、万里生くんは別のディスクをかじり、大変な事になった。


        ✽


「すやすや…。」

「くーくー…。」


「はぁっ…はぁっ…。何で私がこんな目に…。」


 アンパンマムを見せている間におかゆと薄味の味噌汁を作り、食べさせると、その後、桃姫ちゃんと万里生くんは、疲れてしまったのか、すやすや眠ってしまった。


 私は息を切らして二人の無邪気な寝顔を見守って呟いた。


「まぁ、寝てる時は可愛くない事もないけど…。」


 小さい子のお世話って大変過ぎる…!

 いつも子供といられる綺羅莉と舞香、凄いかも…。


 と、少しだけ思って、やっぱりぷるぷると首を横に振った。


 いや、それでもやっぱり、家事を全くしないのはどうかと思うし、今日なんか、綺羅莉、保育園に子供を預けっぱなしで、連絡も取れないなんて親としてもおかしいと思う。

 しかも、人に保育代立替させて…!


 私が怒りに拳を握り締めた時…。


 ガチャガチャッ!


「きゃあっ!どうしよっ?!||||」

「もう〜!綺羅莉ちゃん、マズイってぇ!!」

「まんま?」


 慌ただしく、綺羅莉と舞香&瑠衣司が家に駆け込んで来た。


「桃姫!万里生!香織さんにひどい事されてないっ?!きゃあっ!!二人共倒れて…!!」


 私は悲鳴を上げる綺羅莉をギロリと睨みつけた。


「失礼ねっ!二人共寝ているだけよ。

 それより、綺羅莉ちゃん。子供を保育園に預けておいて、連絡も取れないってどういう事?

 体調が悪くて自宅に戻っていたのに、呼び出されて、あなたの子の迎えに行って、保育代を立て替えて、今まで世話をしていた私に何か言う事はないの?」


 私が据わった目で詰め寄ると、綺羅莉は流石に気まずそうな表情になって、頭を下げて来た。


「あ、ご、ごめんなさい…。あ、ありがとうございます。香織さん…。」


「ちゃんと事情は話して?今日は用事でどこに行っていたの?慶一くんに言えば、病児保育もしてくれるベビーシッターさんでも雇ってくれたんじゃないの?なぜわざわざ保育園に預けていたの?」


「え、えーと、それは…。」

「き、綺羅莉ちゃんは、お母さんが急にぎっくり腰になって、病院に付き添ってたんだよ〜。いきなりだったから、ベビーシッター頼めなくて、臨時保育園に預けるしかなかったの!ねっ?綺羅莉ちゃん!」

 

 綺羅莉が汗をダラダラ流して言い淀んでいた時、舞香が割って入った。


「そ、そうそう!その通り!お母さんがぎっくり腰になっちゃって、いや〜、大変だったなぁ。」


「そうなの…?お母さん、大丈夫?今は付き添っていなくていいの?」


「あっ。今はお父さんが診ててくれてるから大丈夫!」


「そう…。」


 なんだか、怪しい…。舞香の言葉に調子を合わせているだけのような…。


 それに、帰りに保育園から見せてもらった書類には、臨時保育を申し込んだのは、一昨日の昼になっていた。


 慶一に知らせる時間は充分あった筈なのに、何か理由があって黙っていたとしか思えない。

 けれど私は追求せず、今度は舞香ちゃんに問い質した。


「舞香ちゃんも連絡繋がらなかったけど、用事があったの?」


「え?う、うん。友達の家に遊びに行ってて…。その時、子供がうるさかったから、気付かなくて。ごめんなさい。」

「ま、まいまい…。」


 舞香は慌てて謝って来たけど、綺羅莉も同じぐらい慌てている。

 

 やっぱり怪しい。二人で共謀して、何か隠している事があるようだった。

 けど、詳細が分からないうちはそれ以上追求できなかった。


「まぁ、いいわ。今度から、何か特別な用事がある時は必ず私にも連絡するようにしてね。

 綺羅莉ちゃん、これ、園からの保育レポート(領収書つき)。保育代は7500円よ。」


「あ、ありがとう…。」


 綺羅莉とレポートと、お金を交換するように渡し合った。


「それから、桃姫ちゃんは、保育園で37.5℃熱があったそうだけど、家に戻ったら平熱に下がって、おかゆと薄味のお味噌汁をあげたわ。万里生くんは粉ミルクを200ml位飲んだかしら。あとよろしくね。」


「あ、うん。それもありがとう。香織さん、意外とちゃんと子供の面倒見てくれたんだね…。」


「意外とは余計よ。」


「ごめんごめん。でも、ウチの子可愛いから香織さんも楽しかったっしょ?」


「はい?」


「このまま子供の面倒見てもらえるなら、うちも助かるし、香織さんも子供の可愛さ味わえてウィンウィンじゃね?


 無理に不妊治療なんかしなくてもいいんじゃん。ねっ。まいまい?」

「うんうん、そうそうっ。辛い不妊治療なんて止めて…。」


「いい加減にしてっ!」


 とんでもない事を言い募る二人に、怒りを爆発させた。


「あなた達は自分の子がいるからって、都合の良いように言いたい放題!!私は自分の子供を可愛がりたいの!

 もし、私の邪魔をするなら、一夫多妻制結婚の同意を取り下げるからねっ!」


「「…!か、香織さん…!||||」」


「もう、今日は疲れたから、戻らせてもらうわ…!」


 私の剣幕に青くなって顔を見合わせている二人にそう言い残して、私は自室へ戻った。

 これ以上最低な気分になどなりようがないと思っていたのだけれど…。

         ✽


 その後、不妊治療をしている婦人科で午後の診察を受け、念の為色々検査を受けると、婦人科の先生は顔を曇らせた。


「白鳥さん…。申し上げにくいんですが、クラミジアの陽性反応が出ていますね。」


「え…?」


 私は告げられた結果を信じられない思いで聞いていた。


✽あとがき✽

 いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございます。


今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
クラミジア…ぁあ、確実にバレるやつや
浮気…確定…!!
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