クリスマスの誤算《中編》
※性的表現が少しあります。苦手な方はご注意下さい。また、15才以上の閲覧でお願いしますm(__)m
あのイベントの日から早5ヶ月程経ち…。
俺とさくらは、順調に婚約者として休日はデートを重ねたり、式場の手続きなどをして、絆を深めていた。
時々溢れてしまうBL趣味は苦笑いで受け入れつつも、
俺はさくらと一緒にいられる時間が何より大事で、好きな食べ物、デートの思い出、色んなものを彼女と共有して絆を深めていく事に幸せを感じていた。
さくらはあんずともすっかり仲良しで、お隣とも度々交流する機会があった。
西城亜梨花は酔った勢いで、さくらに何度も新作の服のモデルをやってくれないかと頼み込んでくるので、困ったものだ。
さくらがやりたくないものを無理矢理やらせるのは可哀想なので、最後は俺が断っていた。
龍馬さんと宝条さんの交際もうまく行っているようで度々二人から惚気話を聞かされるようになった。
白鳥は、あれ以来俺達に関わってくる事はなかった。
権田さんの調べでは、また女性関係のトラブルを起こしたらしい。
渋い顔でメンズクリニックに通う姿が何度か目撃されたそうなので、まぁ…身体的に不調があるようなトラブルなんだろうな?想像したくもないけど…。
現在奥さん達への機嫌取りに追われているのではないかとの事だった。
香織を一瞬不憫に思ったが、まぁ、自分で選んだ道だよな。トラブル続きでも、妻達にとって、イケメンリア充の妻の座は捨て難いのだろう。
そのまま、白鳥が改心して大人しくなってくれたら、俺とさくらにとっても良い事なんだが…。
ともあれ、しばらく平穏な日々続いているのはいい事だったが、ただ一つ、俺にとって心配な事があった。
それは…。
結婚式を来年の5月に控えた婚約者同士にも関わらず、俺達はまだキスやハグ止まりの関係という事だった…!
綺麗で、いい匂いのするさくらに、事あるごとに無邪気にひっついて甘えて来られ、その度に男として込み上げてくるものがあったが、10才の年の差やら、さくら迎えににくる権田さんにその後どんな顔を向けたらとか色んな事が気になり、手を出すにまでは至らずここまで来てしまった。
※毎回いいところまでは行きながらも、色んな理由で躊躇ってしまい、結果未だに童貞歴29年の良二であった。
結婚式や、新生活の準備、仕事、あんずちの世話やら、忙しくも順調にスケジュールをこなしていけども、そちらの方には全く進展がない事にさくらが不安になって来ているのも気付いていた。
このままでいいわけない事は分かっている。
だから、さくらからこんな事を言われた時には、来たるべき時が来たと思った。
「良二さん…!今年のクリスマス・イブは良二さんと一日ずっと一緒に過ごしたいです。ここに、お泊まりしてもいいですか…?///」
「お、おう。さくらがいいなら…俺も、一日ずっと一緒にいたいよ。///」
勇気を出して、お願いしてくる彼女に、俺は赤い顔で了承したのだった。
「やったぁ!嬉しいです!!✧✧」
さくらは素直に喜んで、それからは、クリスマスにする為の準備を頑張っていてくれているようだった。
俺もさくらに出来るだけの事をしてあげたいと思った。
ま、まぁ…。さくらの不安を解消するには、俺ももういい加減我慢の限界だし、覚悟を決める事として…。//
それとは別に彼女に喜んでもらえるようなクリスマスプレゼントを探す事にした。
さくらは結婚指輪さえあれば、婚約指輪はいらないと言っていて、それは結納の場で親同士でも確認していた事だった。
それでも俺はさくらに何かアクセサリーをプレゼントしてあげたかった。
何軒かのアクセサリーショップを巡って、さくらにピッタリだと思うものを買えた時には、彼女がそれを身に着ける姿を想像してニヤニヤしてしまった。
さくら、喜んでくれるとよいのだが…。
そして、迎えたクリスマス当日ー。
「うわぁ…!ローストチキンにビーフシチューにピザに、魚介のサラダに、クリームスープにすごいごちそうだな。さくら!」
華やかに飾り付けられたリビングのテーブルに、さくらの作ってくれたごちそうがところ狭しと並んでいるのに、俺は歓声を上げた。
「喜んで頂けてよかったです。今、チキンも切り分けますね?料理に合うワインも用意したのですが、いかがですか?」
「あ、ああ…。今まで禁酒していたけれど、せっかく用意してもらったし、今日は少しだけ頂こうかな?」
目の前で優美な笑顔を浮かべる銀髪美少女に、勧められるままワインを注いでもらう事になった。
「はい!どうぞ、良二さん。」
「うん、チキン、絶妙な味付けですごく美味い!ワインも肉料理によく合って美味しいよ!」
「それはよかったです!」
美味しいごちそうに、さくらの優しい笑顔を前にした久々のお酒は体に染み入るようにうまく、すぐに酔いが回ってしまいそうだった。
さくらと再会した時、俺は酔っ払っていて、さくらに「おっぱい見せろ」なんて言ってしまっていたらしい。
セクハラな言動をしてこのいい雰囲気を台無しにしないよう酒量には気を付けなければと思ったところ…。
「ニャフニャフニャーン…!」
「あっ。あんずちゃん、もうご飯食べ終わったの?」
あんずは薄味のチキンなど猫用のごちそうを用意してもらっていたが、
あっという間に食べ終わったらしい。
「チキンのお代わりいりますか?」
さくらの足におねだりをするように絡みついて来た彼女に聞いてみると…。
「ニャフニャフン…。」
あんずは、テーブルの上のさくら手作りの猫用クッキーの袋にチラチラッと視線を送って来た。
「ああ!おやつが食べたいんですね?ハイッ!どうぞ?」
「ニャーン♡ はぐはぐ…。」
さくらがおやつをあげると、あんずは満足そうにかぶり付いていた。
「あんず、今日はよく食うなぁ…。」
さくらがいる時は、あんずは興奮して食欲が増すのだが、今日はいつもの1.5倍は食べている。
猫にとってもさくらの作る料理は美味しいらしい。
「ふふ。いっぱい食べてもらえてうれです。良二さんは、お料理もういいんですか?冷蔵庫のケーキ、出しますか…?」
さくらのケーキも楽しみだが、一通りごちそうを食べ終わり、腹がパンパンになり、ワインもいい感じに回って来た俺は、さくらに聞かれ首を振った。
「ああ、いや、ごちそうでお腹いっぱいになって、今は入らなさそうだから、もう少ししたら頂くよ…。それより…。さくら、ちょっとこっちに来てくれる?//」
飲み過ぎたりする前に、さくらに大事なものを渡しておきたかった。
「…!は、はい…!」
俺はカバンから、ラッピングされた小さな箱を取り出し、俺の隣にちょこんと座ったさくらに差し出した。
「あの、さくら、コレを受け取って欲しいんだ…。」
「えっ。」
さくらは、それを見て青い目をぱちぱちと瞬かせた。
「これは、そんなに値の張るものじゃないんだけど…。よかったら、クリスマスプレゼントもらってくれる…?」
「良二さん…!あ、ありがとうございます!」
女性にちゃんとしたアクセサリーをプレゼントするのは初めてで、照れくさい思いでそう言うと、
さくらは驚きつつも、顔をパアッと輝かせてその箱を受け取ってくれた。
ガサガサッ。パカッ。
「…!!」
さくらは、ラッピングを解き、二つ折になるケースの中に、青い花がモチーフになったネックレスが入っているのを見つけたようだった。
「それ、さくらの目と同じ色で、桜の形だったから、さくらにすごく似合いそうだなぁと思って…。さ、さくら…?」
果たして気に入ってくれるだろうかと俺がドキドキしながら説明をすると、さくらの目にみるみる内に涙がたまっていった。
「ううっ…。うえ〜んっ!!」
ポトッ。ポトポトッ。
俺が戸惑う中、さくらの青い目から溢れ落ちた涙が、そのネックレスを濡らした。
…!!? ||||
社長令嬢のさくらに、こんな安物のアクセサリーをプレゼントしてしまって、傷付けてしまったのかと思った俺は慌てて謝った。
「さ、さくら、ごめん!気に入らなかったか?無理に使わなくてもいいから、泣かな…。」
「ち、違いますっ…。こんな素敵な贈り物が貰えて、私、嬉しいんですぅっっ!ふえ〜ん!!」
「ええっ。」
「えっく…。このネックレスは…、良二さんが、私を心から想って選んでくれたものだって…分かったら、涙が止まらなくてっ…。
い、今まで、私ばっかり良二さんを好きだって思ってたからっ。」
「さ、さくら…。そんなワケないだろ?何度も言ってるけど、俺はちゃんと君が好きだよ?」
「はい…。私、バカでした。最近は不安になってしまう事が多くて、ちゃんと良二さんの事、見れてませんでした。
もう大事な事を見失わないように、このネックレス良二さんが付けてくれますか?」
「お、おう。いいよ?//」
「じゃぁ、お願いします…。//」
パサッ。
…!//
そう言うと、さくらは自分の髪を両手で持ち上げ、彼女の白いうなじが現れたのにドキッとしながら、俺はネックレスを手に取ると…。
チャリッ。
ネックレスの留め具をはめると、彼女は、俺に向き直った。
「どう…ですか?似合いますか?」
!!///
恐る恐る問いかけてくりさくらの首元には、彼女の目の色と同じ青色の桜の花のネックレスが煌めき、彼女の美しさをより一層引き立てていた。
俺は照れながらも、正直な感想を言った。
「うん!俺の婚約者様、世界一可愛い…!」
「…!!///」
俺の言葉に、さくらは目を見開き、真っ赤になった。
「嬉しい…!で、では、良二さんにも…。」
「…??」
さくらは、リビングに置いていた紙袋から、もこもこしたものを取り出すと、俺の首にふわっと巻いた。
「さくら、これ…!」
首まわりが急に暖かくなり、驚いてさくらに問うと…。
「エヘヘ…。良二さんへのクリスマスプレゼントです。
初めての手編みなので、あまり出来はよくないかもしれませんが…。」
「ええっ…!」
組み合わせた指をモジョモジョ動かして恥ずかしそうにしながら、恥ずかしそうにそう言うさくらに俺は驚いて声を上げた。
「これ、さくらが編んだの?すごい嬉しい…!最高のプレゼントだよ!!ありがとうさくら!」
「ほ、本当ですか?よかった〜。喜んでもらえて…。」
初めてもらう手編みのプレゼントに勢い込んでさくらに礼を言うと、彼女はホッと胸を撫で下ろしていた。
「さくら、なんか最近不安にさせてしまっていたみたいで、ごめんな?
その…。さくらの事、欲しくないワケじゃないんだけど、色々な事を気にして躊躇っていたみたいだ…。」
「いいえ。私も少し焦り過ぎていたみたいです。
良二さんと気持ちがちゃんと通じている事が分かりましたので、自然にその時が来るまで待ちます…。」
さくらに安心してもらえたのはよかったが、さっきから俺の方は、体の奥から熱いものが込み上げ、抑えられそうになかった。
「えっと…。今がその時だとしても、さくらはいいの?」
「…!!」
勇気を出して聞いてみると、さくらは目を瞬かせ、頬を紅潮させて頷いた。
「もちろんです。良二さん…。///」
「さくら…。///」
俺達はゆっくりと近付き…。
チュッ。
「「んっ…。」」
唇を重ね合わせた。
チュルッ。チュルルッ。
「「んんっ……。んむっ…。」」
口付けは次第に深くなっていき、さくらの柔らかい唇や舌の感触を夢中で味わっていると…。
ポヨン…。
「あっ…。///」
「…!! ご、ごめっ…。///」
偶然手がさくらの胸に触れてしまい、反射的に謝ろうとすると、さくらは首を振った。
「い、いいえ。嬉しいです。今日はいっぱい触ってください、良二さん…。」
ポヨヨン、フニュッ…!
「っ〰〰〰!!」
さくらはトロンとした目で、俺の手を取り、再び胸に押し付けてきて、そのマシュマロのような柔らかさに俺は理性を保っていられなかった。
「さ、さくらっ…!」
「わっ。良二さっ…!」
俺はソファの上にさくらを押し倒した。
*あとがき*
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