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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第三章 そして幸せな生活が始まる。一方NTR夫婦は…。

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クリスマスの誤算《前編》

《財前寺桜視点❀》


 あのイベントの日から早5ヶ月程経ち…。


 私と良二さんは、順調に婚約者として休日はデートを重ねたり、式場の手続きなどをして、絆を深めていた。


 良二さんと一緒にいられる時間が何より大事で、彼の好きな食べ物、趣味、少しずつ知っていける事に幸せを感じていた。

 あんずちゃんともすっかり仲良しになり、お隣さんとも楽しく交流させてもらっていた。

 亜梨花さんに酔った勢いで、何度も新作の服のモデルをやってくれないかと頼まれるのだけは困ったけれど…。


 お兄様と秋桜ちゃんの交際もうまく行っているようで度々二人から惚気話を聞かされるようになった。


 白鳥は、あれ以来私達に関わってくる事はなかった。

 権田さんの調べでは、また何か女性関係のトラブルを起こしたらしく、現在奥さん達への機嫌取りに追われているのではないかとの事だった。


 そのまま、改心して大人しくなってくれたら、香織さん含めた奥さん達にとっても私と良二さんにとっても良い事なのだけど…。


 しばらく平穏な日々続いているのはいい事だったが、ただ一つ、私にとって心配な事があった。


 それは…。


 結婚式を来年の5月に控えた婚約者同士にも関わらず、私達はまだキスやハグ止まりの関係という事だった…!


 良二さんに会う時は毎回勝負下着を身に着け、結構私からスキンシップを取っているつもりなのに、

 手を出される気配がないのはどうしてなんだろう?


 私の事をちゃんと女として見てくれているって言ってた筈なのに…。


 ※毎回いいところまでは行きながらも、経験がない故に攻めるべき時に攻められず、結果未だに処女歴19年の桜だった。


 結婚式や、新生活の準備、専門学校の課程やら、あんずちゃんのお世話やら、忙しくも順調にスケジュールをこなしていけども、そちらの方には全く進展がない事に焦りをおぼえていた。


 いつも遅くならない内に権田さんに迎えに来てもらっているので、良二さんが遠慮しているのかと考えた私は、今年のクリスマス・イブに勝負をかける事にした。


「良二さん…!今年のクリスマス・イブは良二さんと一日ずっと一緒に過ごしたいです。ここに、お泊まりしてもいいですか…?///」


「お、おう。さくらがいいなら…俺も、一日ずっと一緒にいたいよ。///」


 肉食女子を隠すことなくそうお願いすると、良二さんは赤い顔で了承してくれたのだった。


「やったぁ!嬉しいです!!✧✧」


 どうやら、彼は私の邪な願いも分かった上で受け入れてくれたようで、私はこみ上げる喜びを抑え切れなかった。


 それからは、最高のクリスマスにする為の準備に大忙しだった。


 クリスマスのごちそうのメニューを考えて試作したり、部屋の飾り付け、着るもの(勝負下着やらもろもろ)、クリスマスプレゼントの用意と精力的に動いた。


 クリスマスプレゼントは、一人暮らしの男性には、手編みのニット製品が一番響くと権田さんから聞き、メイドさん達に教えてもらいながら、マフラーと手袋のセットを編んだ。


 そして、迎えたクリスマス当日ー。


「うわぁ…!ローストチキンにビーフシチューにピザに、魚介のサラダに、クリームスープにすごいごちそうだな。さくら!」


 下拵え含め、2日がかりで作ったクリスマスのごちそうがリビングテーブルに並んでいるのに、良二さんは歓声を上げた。


「喜んで頂けてよかったです。今、チキンも切り分けますね?料理に合うワインも用意したのですが、いかがですか?」


「あ、ああ…。今まで禁酒していたけれど、せっかく用意してもらったし、今日は少しだけいただこうかな?」


「はい!どうぞ、良二さん。」


 良二さんに、ワインを飲んでもらえる事になり、私は密かにガッツポーズをとった。


 良二さんと再会した時、彼は酔っ払っていて、私に「おっぱい見せろ」なんて言って来た。お酒を飲むと本能が解放されて、邪な気持ちになってくれるかもしれない。

 程よく酔ってもらえるよう、良二さんのグラスにワインを注いだ。


「うん、チキン、絶妙な味付けですごく美味い!ワインも肉料理によく合って美味しいよ!」


「それはよかったです!」


「ニャフニャフニャーン…!」


「あっ。あんずちゃん、もうご飯食べ終わったの?」


 あんずちゃんには薄味のチキンなど猫ちゃん用のごちそうを用意していたのだけど、

 あっという間に食べ終わったらしい。


「チキンのお代わりいりますか?」


 私の足におねだりをするように絡みついて来た彼女に聞いてみると…。


「ニャフニャフン…。」


 あんずちゃんは、テーブルの上の猫ちゃん用おやつの袋にチラチラッと視線を送って来た。


「ああ!おやつが食べたいんですね?ハイッ!どうぞ?」

「ニャーン♡ はぐはぐ…。」


 おやつをあげると彼女はあんずちゃんは、満足そうにかぶり付いていた。


「あんず、今日はよく食うなぁ…。」


「ふふ。いっぱい食べてもらえて嬉しいです。良二さんは、お料理もういいんですか?冷蔵庫のケーキ、出しますか…?」


 一通り食べて、手が止まっている様子の良二さんに聞いてみると、良二さんは首を振った。


「ああ、いや、ごちそうでお腹いっぱいになって、今は入らなさそうだから、もう少ししたら頂くよ…。それより…。さくら、ちょっとこっちに来てくれる?//」


「…!は、はい…!」


 いよいよ来たるべき時が来たのかと緊張しながら良二さんの隣に座ったのだけど…。


「あの、さくら、コレを受け取って欲しいんだ…。」


「えっ。」


 良二さんから可愛くラッピングされた小さな箱を差し出され、私は目を瞬かせた。


「これは、そんなに値の張るものじゃないんだけど…。よかったら、クリスマスプレゼントもらってくれる…?」


「良二さん…!あ、ありがとうございます!」


 クリスマスの計画をする事で頭がいっぱいになっていて、良二さんからこんなプレゼントをしてもらえるなんて思ってもみなかった私は、震える手でその箱を受け取り、ラッピングを解くと…。


「…!!」


 中から、二つ折になるケースの中に、青い花がモチーフになったネックレスが入っていた。


「それ、さくらの目と同じ色で、桜の形だったから、さくらにすごく似合いそうだなぁと思って…。さ、さくら…?」


「ううっ…。うえ〜んっ!!」


 ポトッ。ポトポトッ。


 良二さんが戸惑った声を上げる中、私は堪えきれず、せっかく貰ったネックレスを涙で濡らしてしまった。





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