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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第三章 そして幸せな生活が始まる。一方NTR夫婦は…。
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新カップルの成立←(未来の)義兄への誓い

「さくらっ!大丈夫かっ?」

「さくらちゃんっ!大丈夫っ?」


「龍馬さん!」

「秋桜ちゃん!」


 メールで白鳥がさくらに接触してきたことを伝えると、程なくして、龍馬さんと宝条さんが手を繫ぎ、展示室の出口にいた俺達の方に駆けて来て、その件について話し合う事になった。


         ✻ 

     

「さくらさんを一人にしてしまって、申し訳ありませんでした…!」 


 さくらと共に詳しい事情を話し終えた後、俺は龍馬さんの前に頭を下げた。


「ふぅっ。全くだ…!さくらはこの通り、大変人目を引く容姿をしている。白鳥じゃなくても、変な奴に絡まれる危険はあるのだから、もっと気を付けてやって欲しかったぞ。」


「は、はい。本当に申し訳ありません…!」


 俺はさくらを危険な目に遭わせてしまった自責と後悔の念に項垂れ、険しい表情の龍馬さんに謝るしかできなかった。


「そんな…!良二さんは悪くありません!私に飲み物を買って来て下さったのです。

 いらっしゃらなかったのもほんの数分の間でしたし…。」


 隣のさくらは驚いて庇ってくれたが、彼女を一人にしてしまったせいで、白鳥との接触の機会を作ってしまったのは事実だった。


 さくらがせっかくお兄さんとの仲立ちをする機会を設けてくれたというのに、これでは、とてもさくらの相手として認めてもらうなんてできないだろう…と思っていたが…。


「まぁ、そういう事情にしても、次からは()()()として、ちゃんとさくらを守ってやってくれよ?石藤くん。」


「えっ…?」

「お兄様…!」


 婚約者として認めてくれたような発言に、驚いて俺が思わず顔を上げると、困ったように笑う龍馬さんの顔があった。


「君はあまり器用な人間ではないようだが、それでも白鳥のどぐされ◯◯◯野郎よりは大分マシだ。秋桜ちゃんから、奴の話を聞いて怖気が走ってな。

 さくらが一人身でいると、また、狙われて危ないという結論に達したんだ。」


「そうなんですよ!白鳥が一度、仕事でうちの学校に来た事があったけど、男性が苦手だって言ってるさくらちゃんに、しつこく話しかけて来て、私や先生が間に立って止めていたら、今度は私の連絡先まで聞いてきて、本当にどうしようもない男でした!」


「宝条さんもっ?」


 宝条さんの話を聞いて、あいつ、どんだけ見境がないんだと改めて女癖の悪さに呆れるばかりだった。


「ああっ。秋桜ちゃん、あの時は迷惑かけてごめんねぇっ!」

「さくらちゃん、大丈夫だよ?親友があのヘビみたいな奴の餌食にならないでよかったよ〜。」


 目をウルウルさせながら、二人の美少女は抱き合った。


「秋桜ちゃんにまでちょっかいを出して来たと聞いた時は、俺も怒り心頭でな…!


 これからは、俺が守ってあげたいと申し出て、さっきOKを貰ったのだ。//」


「えへへ…。実はそうなんだ…。//」


「「…!」」


 照れたような表情で、お互いを見交わす龍馬さんと宝条さんの姿に、俺とさくらはこの小一時間程の間に二人の関係が大きく変わった事を悟った。


「龍馬さん、宝条さん、おめでとう!」

「お兄様、秋桜ちゃん、おめでとうございます!」


「「ありがとう…。//」」


 俺とさくらは新しいカップルが成立した事を祝福し、二人は頬を染めて礼を言った。


「さくらの事ももちろん守るつもりだが、同時に二人を守るのに、俺の手に余る時もあるだろう。

 さくらを婚約者の君に預けてもいいだろうか…?」


 真剣な表情でそう問い掛けてくる龍馬さんに、俺は厳かに首を縦に振った。


「龍馬さん…。は、はい!これからは、さくらさんを精一杯守らせて頂きます!

 婚約者として認めて下さってありがとうございます!」

「お兄様…!良二さんの良さを分かって下さったんですね。ありがとうございますっ!」


 龍馬さんに、やっとさくらとの仲を認めてもらい、俺とさくらはお礼を言い、ホッとした顔を見合わせたのだった。


「皆様、大変お待たせ致しました…!白鳥氏を巻いて参りました。」


「「「「権田 (さん)…!」」」」


 そこへ、お爺さんの扮装をしていたという権田さんが元のスーツ姿に着替えて戻って来た。


「権田…。さっきはご苦労だったな?礼を言うよ。」

「権田さん、先程は本当にありがとうございました!」


 …!!


 龍馬さんとさくらに続いて俺も宝条さんも、礼を言った。


「ご、権田さん、俺がついていながらすみませんでした。さくらを逃がして頂いてありがとうございました!」


「ご、権田さん。さくらちゃんを守って下さってありがとうございました!」


「いえいえ、さくらお嬢様をお守りするのは、権田の役目!

 礼には及びません。」


 皆に礼を言われ、恐縮したようにペコリと頭を下げた。


「ところで、権田。いやにタイミングよく現れたが、白鳥があの場にいる事をお前は知っていたのか?」


「あっ。はい!数日前に、白鳥氏が同じ会場に仕事に来るのを旦那様がお知らせ下さり、

 龍馬お坊ちゃまや、さくらお嬢様には気付かれないように警護をするように申し使っておりました。」


「いや、知っているなら教えてくれればよかっただろう!」


「申し訳ありません!ですが、白鳥氏は、あちらで重要なプレゼンをしている予定で、警戒はしておりましたが、よもや、さぼってここに来るとまでは思わなかったもので…。」


「大事な仕事の最中にさぼってナンパしに来ていたのか…。」


 龍馬さんは額に手を当てて呻いた。


 マジか…。白鳥の野郎、三人の妻と子供がいるというのに、信じられねーな…!

 俺もため息をつくと、権田さんに申し出た。


「権田さん。お父さんである財前寺さんが、一度断っているにも関わらず、話しかけて来るとは、白鳥は余程さくらに執着しているような気がします。


 高校時代から、奴は、常識では考えられない事でも、うまく周りを言いくるめて、通してしまうようなところがありました。


 今回は、俺が隙を作ってしまい申し訳なかったですが、これからは情報を共有して、さくらを守っていきましょう。」


「…!はい。石藤様の仰る通りですね。今後は皆様にどんな小さな情報もお伝えするように致します。」


「そうだな…。」

「そうですね。皆でさくらちゃんを守ってあげましょう!」


 皆はさくらを守る為に団結し、頷き合った。


「皆さん、ありがとうございます✧私も、結婚するまでは、なるべく外出を控えるようにします。

 お兄様と、秋桜ちゃんの結婚式は別ですが…。」

「さ、さくら…!///」

「さくらちゃん、今日付き合ったばかりなのに、そんなのまだ早いよぅ!///」


 さくらがいたずらっぽく微笑むと、龍馬さんと宝条さんは照れていた。


         ✽


 それから、龍馬さん&宝条さんと別れ、俺&さくら&権田さんで帰る事になったが…。


「あっ。いっけなぁい!テヘペロ♡着替え、良二さんのお家に置いてきてしまいましたぁ!お家に寄らせてもらってもいいですかぁ?ドア・トゥ・ドアの往復でしたら、危険はないですよね?」


「あ、ああ。いいけど…。」


 さくら…。今日朝、家を出るとき、着替えのバックが俺の家に置いたままにしているのを目視で確認して、「ヨシッ!」って小声で呟いていなかったか?


 確信犯じゃないのか?


 いや、来てくれるのは嬉しいし、本当に全然構わないんだけどさ…。


「そうですか。では、石藤様のお宅に参りましょう。()()()()()()()()()()()()()()…!」


 しみじみと呟く権田さんが、大きなバッグを肩にかけていたので、俺は気になって聞いてみた。


「大荷物ですけど、それには何が入っているんですか?」


「ああ、これは、いざというとき色んな人物になれる変装セットですよ。今回のイベントで新たに仕入れたものも、早速使う機会がありました。」


「そ、そうなんですね…。」


 権田さん、変装セットを持ち歩いているなんて、謎の人だぜ…。

 ボディガードも兼ねてるっていうし、ただの運転手さんじゃないよな。一体どういう人なんだろう?


 俺が権田さんへの謎を深めていると、隣のさくらは口元を押さえて笑っていた。


「ふふっ…。今回は本当にそれ、大活躍でしたね…。」




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