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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第三章 そして幸せな生活が始まる。一方NTR夫婦は…。
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イベント会場での再会 →初恋の人《後編》


「ええと…、彼女は、佐倉穂乃香さん。高校の時のクラスメートで、まぁ、俺が盲腸で入院していた時、色々お世話になった人だよ。」


 石藤くんが、私を指し示して「MOON」のコスプレをした女の子に説明をすると、その子は、「ああ…!」と大きく頷き、石藤くんにひそっと囁いた。


「(もしかして以前お話された須藤さんという方ですか?)」

「(う、うん…。)」


 いや、聞こえてるけど…。

 なんで、この子、私の旧姓を知っているんだろう?


「佐倉さん。彼女は、財前寺桜さんといって、俺の…、その…。//」


「始めまして。私、良二さんの婚約者の財前寺桜と申します。佐倉さんのお話は良二さんからよく伺っています。

 どうぞよろしくお願いします。」


 言い淀む、石藤くんの後を継ぐように、「MOON」の彼女は私に向かって、花のような笑顔を浮かべ、そう言ってペコリと丁寧なお辞儀をした。


「そそ、そうなんだ…。よろしくお願いします…。」


 こ、婚約者?森崎くんから聞いた話では、同窓会時点では付き合ってる人はいなかった筈なのに、数ヶ月でこんなに綺麗な銀髪美少女と婚約する事になるなんて、石藤くんに一体何があったんだろう?


 私は動揺を隠せないまま、財前寺桜さんに頭を下げた。


 石藤くんは照れたような笑みを浮かべながら、私に聞いてきた。


「えっと、佐倉さん、こういうイベント、よく参加するの?」


「えっ。あっ。うん…。||||」


 石藤くんと財前寺さんの格好やら関係やらに驚いて失念していたけど、この瞬間にオタクな趣味が二人にバレてしまったのだった。


 ベレー帽を被った頭に手をやりながら気まずく説明をした。


「イラストとかアクセサリー作るの好きで、友達と一緒に時々こういうイベント参加してるんだ。ハハッ。恥ずかしい。オタクがバレちゃったね…。//」


「恥ずかしくなんてありません。こんなに可愛いイラストを描かれて、作品を出されるなんて、素晴らしい事です!」

「ああ。俺もそう思う…!佐倉さんは昔からイラスト描くの上手だったもんな。俺、不器用だからこういうの出来る人、ホント尊敬するよ。」


「え、そ、そう…?」


 二人に代わる代わる褒められ、私は面食らってしまった。


「ちょっと作品、見せてもらえる?」

「私も見せて頂きたいです。」


「あっ。どうぞどうぞ。その、「猫ねこ日和」の冊子が、友達の描いたイラスト&四コマ漫画集でオレンジ色のが新刊。

 アクセサリーは、猫をモチーフにして、私が作った奴なんだ。」


 サークルのスペースに置いてある冊子と、立て掛けてあるパネルのアクセサリーをそれぞれ指し示して説明すると、財前寺さんと、石藤くんは作品を目を輝かせて見てくれた。


「はう〜♡どれも猫ちゃんのアクセ、キュートです!このストラップに描いてある猫、あんずちゃんに似てませんか?」

「本当だ!確かに似てる。しかも、両面裏表に細部まで描かれているな。へえ〜!佐倉、器用なんだな…!」


「あ、ありがとう…//」



「イラストと漫画も、素敵ですぅ!怒られてショボンとしてるの、可哀想だけど、可愛い〜♡」


「……!(あっ。紗英ちゃんの新刊、石藤くんの婚約者さんに褒められてる。)」


「あ〜、あんずもトイレ失敗した時にこういう表情するよな…。」

「あんずちゃんも可愛い…♡」


 石藤くんも、財前寺さんもそれぞれ猫を飼っているらしく、二人は作品を見て盛り上がった末、冊子と猫アクセをたくさん買っていってくれた。


 身内割引させてくれというのを固く断られ、私はせめてものお礼にと、財前寺さんが持っていたスケッチブックに今日の二人の姿を描かせてもらった。


「うわぁ…✧✧絵の中でも私達仲良しです…!佐倉さん、素晴らしい絵をありがとうございますっ!」

「佐倉さん、記念に残るものをありがとうな?」


「いえいえ。私にはこれぐらいしか取り柄がないから、喜んでもらえてよかった。石藤くん、財前寺さん、ありがとう!二人共お幸せにね…!」


 高校時代の想い人とその婚約者の銀髪美少女が幸せそうに寄り添って去っていくのを、辛い記憶が浄化されていくような、清々しくも切ない想いで見送ったのだったが…。



 二人を見送ったすぐ後に、紗英ちゃんがウキウキした様子で帰って来た。


「お目当ての新刊いっぱい買えたよ〜!

 そう言えば、さっき、魔女っ子MOONとブラック大佐のコスプレしてる人達がいたんだよ?

 ほのちゃん見た?

 ブラック大佐の人、ちょっと好みだったな〜なんて!


 あっ。アクセも冊子もいっぱい売れてるね?どんな人が買って行ってくれたの?

 あれ??ほのちゃん??どうしてそんなに青褪めているの?もしかして、具合悪い?」


「や、具合は悪くないんだけど、紗英ちゃん、えーとね……。|||||||」


 紗英ちゃんの言葉になんて返したらよいか分からず、どんどん青褪めていく私を心配され、ますますいたたまれない気持ちになっていくのだった。





✽あとがき✽


いつも読んで下さり、ブックマーク、リアクション、ご評価下さりありがとうございます。


今後ともどうか宜しくお願いしますm(_ _)m

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