二人の妻の秘密の話《白鳥舞香視点》
「けいちゃん、最近、帰り遅いよね〜?仕事って言ってるけど、絶対ウソ!
家と違うシャンプーの香りしたもんね?」
この家の二人目の妻=白鳥綺羅莉ちゃんは、
長女桃姫ちゃんのお昼寝中、爆裂大きいお胸で万里生くん(5ヶ月)に授乳をしながら、リビングソファに並んで座っている私こと、この家の三人目の妻=白鳥舞香に話しかけて来た。
「うんうん、時々、けいちゃんから甘い香水の匂いがするし、怪しいよね〜?」
よちよち歩きをするようになって来た我が子、瑠衣司を視界に入れながら、私は全く同意!と大きく頷いた。
「香織さんも私達には言わないけど、気付いてるみたいだよね?以前に増してツンケンしてるもん。」
私が苦笑いしていると、綺羅莉ちゃんは更に聞いて来た。
「まいまいは、気にならないの?一応、けいちゃん、ウチラの旦那さんな訳じゃん?」
私は、う〜んと首を捻って、けいちゃんと他の女性が会っている場面を思い浮かべてみたけど、自分の中に嫉妬めいた感情は湧いて来なかった。
「まぁ、当然外でもやる事やってんだろうなっていう感想しか出て来ないな。
けいちゃんが元々そういう人だから、ウチラここにいるわけだしね…?フフッ。」
「ハハッ。確かにそうだよね?」
二人でケラケラ笑い合った後…。
綺羅莉ちゃんが、ふいに真剣な表情で言って来た。
「けどさ、これ以上奥さん増える事になったら、場所狭くならない?香織さんだって、まだ自分の子供も出来ないのに、そんな事になったら、今度こそプッツンして出て行きそうだし!」
「だよね〜?香織さん、口うるさいけど、一応家事やってくれるから、なんだかんだ数日に一回は手作りのご飯食べられるし。部屋も綺麗にしてくれるし。そんな事になったら困る〜!!」
私もその状況を思い浮かべて身震いした。
「てかさ、思うんだけど、香織さんうちよりも一年も前にけいちゃんと結婚して、やる事やってるハズなのに、なんで、子供出来ないんだろう…。」
眉に皺を寄せて考えている綺羅莉ちゃんに、私は知っている限りの事を言ってみた。
「いやぁ、それは、色んな原因があるって聞くよ?機能的に問題がある場合もあるし、旦那さんのを異物として攻撃しちゃう事もあるっていうし、原因なくても出来ない場合も…。」
「えーと、だから、それはさぁ…。香織さん側に問題がある場合を言ってるでしょ?
私が言いたいのはさ…。」
「??…綺羅莉ちゃん?」
いつもパッキリ物を言うのに、珍しく気まずそうな顔で言い澱む綺羅莉ちゃんを不思議に思っていると…。
「あの…まいまい。これは、ここだけの話にしといて欲しいんだけどさ…。」
「うん。いいよ?」
軽い気持ちで綺羅莉ちゃんにそう言うと…。
「実はさ…、…………。」
!!!!
「ええーっ!!?桃姫ちゃんは、元カレの子?けいちゃんの子じゃな…ふぐっ!」
「まいまい、声が大きい…!」
ヒソヒソ声で綺羅莉ちゃんが伝えて来た衝撃の事実に思わず絶叫してしまうと、綺羅莉ちゃんは私の口を手で塞ぎ、言い訳のように小声で早口で言った。
「(い、いや、フリーターの奴と付き合ってたんだけど、ちょっと生理が遅いな…と思ってた時にけいちゃんと知り合って…。
妊娠したって言ったら、世間体が悪いから結婚してくれるって言われて…。
元カレとけいちゃん、血液型も背格好もぱっと見似てるし、バレないかなっと思って…。)」
!!!!
「(じゃあ、桃姫ちゃんと万里生くんは父親が違うって事…?)」
声を潜めて聞くと、綺羅莉ちゃんは気まずそうに答えた。
「(いや、それが…。その元カレが私に未練たらたらで、これっきりって事で、一度再会した事があって…。
その時期、けいちゃんと被ってたんだよね?万里生、どっちの子が正直分からなくて…。)」
!!!!||||
私はあまりの事に蒼白になり、両手で口元を押さえた。
胸が嫌な風にドキドキしてきた。
「(一瞬、もしかして、子供が出来ない原因、けいちゃんの方に何かあるんじゃないかと思っちゃったりしたんだけど、まいまいも子供産んでるんだから、それはないよね…?)」
そう聞いてくる綺羅莉ちゃんに、私はしばらく何も言えず…。
「…………。」
「ま、まいまい…?」
不安気な綺羅莉ちゃんに、私は今まで誰にも言わなかった事をポツリと漏らした。
「(実は…、私も瑠衣司が出来た時期、元カレとけいちゃん、被ってた…。)」
「えっ。マ?」
綺羅莉ちゃんは、大きな目をこぼれんばかりに見開いた…。
✽あとがき✽
ひどい話ばかりでしたが、白鳥の一夫多妻家庭サイドのお話を読んで頂きまして、ありがとうございました。
次話から良二くん&さくらちゃんのイベント参加の話になります。
今後もどうかよろしくお願いします。m(_ _)m




