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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第三章 そして幸せな生活が始まる。一方NTR夫婦は…。
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ダブルヒロインの記念撮影


「では、生地をキャッチボールするようにして、空気を抜いて下さい。こんな風に…。」


 さくらがハンバーグの生地を、右手から左手に軽く投げるような動作を俺に見せてくれた。


「こ、こうかい?よっと!」


 俺は、ぎこちない手つきで同じことを試みてみた。


「そうです。良二さん上手です!先生が「はなまる」あげますね?」


 さくら先生は優しく微笑み、指先で空中にはなまるを描いた。


 おおっ。今のさくら、幼稚園の先生みたいでなんかいいな?//

 さくらの可愛い仕草に俺が萌えていると、彼女は、何か考え事をするように小首を傾げた。


「(女教師というと、もっとキビキビしていた方がいいのかな…?)

 よぉし!じゃあ、あと、30回同じ作業しますよぉ!始めっ!!」


「お、おうっ!?よっ!はっ!」


 急に体育会系な口調になったさくらに俺は戸惑いながら、彼女に従って、作業をこなしていった。


「鍋の底が焦げ付かないように、定期的にかき混ぜて下さいね?ココ!テストに出ますよぉ!」

「は、はいっ。」


「ハイ、そこで、塩ひとつまみ。愛情を込めて味付けをしていきましょう。

 私が良二さんに教えてあげられるとしたら、それはたった一つのことだけ。愛ある料理です!!」


「は、はいっ…?」


 時折登場する、さくらの教育的発言(?)に戸惑いながらも、ともかく料理は完成した。


「良二さん、お手伝いお疲れ様でしたぁ!

 二人の共同作業で、石藤家&財前寺家婚約記念料理が完成しましたね?♡♡」

「婚約記念料理…?」


 食卓に並んだご馳走を前に席につき、パチパチと手を叩くさくらに釣られて、俺も拍手しながら聞き返すと、さくらは満面の笑みで答えてくれた。


「ふふっ。気付きませんか?

 サーモンスープとシナモンロールは財前寺家に伝わるF国料理、ハンバーグとポテトサラダは石藤家のレシピで作ったものなんですよ?」

 

「えっ?そうなのかっ?!」


 驚く俺にさくらはいたずらっぽい笑みを浮かべた。


「ええ。良二さんのお母様に、この前電話でレシピをお聞きしちゃいました。

 料理の上では、もう、私達結婚していると言っても過言ではありませんね?」


「お、おお、おう…。///な、何と言って分からんが、さくら、そこまでしてくれてありがとうな…?」


「いいえ?私もお母さんから料理の勉強になる事沢山教えて頂いて有り難かったですし。

 ささっ!冷めない内に頂きましょう?」


「そうだな。頂きます!」

「頂きます!」


 俺達は手を合わせて出来上がった料理に舌鼓を打った。


「うんっ…♡ポテトサラダ、ざっくりとじゃがいもの粒が残っているのが、美味しい〜!お豆腐を少し混ぜたハンバーグもジューシー!」

「うおっ。サーモンスープ、海産物のだしがきいてて、うまぁっ!往復ビンタ(シナモンロール)もサクッとした食感で、いくらでも入っちまうな…。」


 ソファーテーブルの向かいの席のさくらは幸福そうなため息をついた。


「ふうっ。結婚って、幸せで美味しいものなんですね?

 私がここに住むようになったら、毎日いっぱいお料理作りますから、たくさん食べて下さいね?」


「そそ、そうだな…。さくらとここで暮らすの、楽しみにしてるよ。///」


「良二さん…♡♡」


 甘ったるい雰囲気になった俺達が手を握りあったところ…。


 トテトテトテ…。


「ニャーン…!」


 あんずが何かを平たくて四角い箱を咥えてこちらに向かって来た。


「お。あんず、寂しくなったの…。!??||||」


「ああ。あんずちゃんも、ねこまんま作ったから食べま…。!??||||」


 俺もさくらもあんずに話しかけようとして、彼女の咥えているブツを見て青褪めた。


 それは、最近部屋のどこかでなくしたと思っていた、俺のお気に入りブルーレイディスク『女教師びんびん物語』だった…!


 コトッ!


 あんずは、迷いなく、さくらの方へ進み、テーブルの上にそれを置くと、ドヤ顔でひと泣きした。


「ニャーン?ニャニャン…!!✧✧」


「あ、ああ…。|||| 私が大事なモノを忘れていると思って…、も、持って来てくれたん…ですね?

 ううっ…。あ、ありがとう…あんずちゃん…。」


「さ、さくら、あの、これは、その…。友人にもらったもので、別に普段から見ているお気に入りというわけじゃなくて…。」


 強張った表情で半泣きになるさくらに、俺は今更してもしょうがない言い訳をしてしまっていた…。



          *

          *



「えっ。さくら、俺の趣向を探るべく、部屋を探してて、その途中であれを見つけたの?///」


 その後、さくらから思わぬ事を告白され、俺は目を瞬かせた。


「は、はいぃ…。本当にすみません…。///」


 さくらは顔を真っ赤にして、俺の前で小さくなっている。


「良二さんの女性の好みを知りたくて、つい…。

 私にない魅力を勉強して身に着ければ、良二さんにもっと好きになって貰えるかと思って…。

 でも、「女教師」のどういうところが好きなのか、私にはさっぱり分からず、空回りを……」


「あ、ああ…。さっきの教師っぽい発言は、これを見たからだったのか…。」


「はい…。ごめんなさい…。」

「ニャニャン…。」


 さっき、料理中のさくらの突然のキャラ変を思い返し、苦笑いする俺に、涙目のさくらと、俺達の反応に何かまずい事をしてしまったのだろうかと責任を感じている様子のあんずが首を項垂れた。


「いや…。まぁ…、俺も悪かったよ。さくらが自分の趣味を伝えてくれていたのに、俺は聞かれてもはぐらかしてしまったから、気になっちゃったんだよな…。

 でも、あれは、さくらが心配するような事じゃなくて…。//」


「ええ。権田さんによると、多かれ少なかれ、男性は皆何かしらの趣向を持っている持っているもので、それが浮気と直結するものではないから、気になって見つけてしまったとしても、知らない振りをするのがレディの嗜みと言われました。」


「そそ、そうなんだ…!」


 権田さん、メチャクチャ的確な教えのようだが、見つけようとするのは、レディの嗜みとしてどうなんだい?


「結局、そんな風にスマートにも振る舞えなかったですし、子供っぽい私に、あのディスクの大人っぽいお姉さんの真似をするのは無理な事でした…。」


 ショボンとしているさくらに、


「この間も言ったけど、さくらはさくらのままで充分魅力的だよ。他の誰かの真似をする必要なんてないって。」


「本当ですか?じゃ、じゃあ、良二さんは、そのままの私でも欲情してくれますかっ?セッ◯スできますかっ?」

「ぶほっ…!!」


 必死な様子で衝撃発言をされ、俺は吹いてしまった。


「い、いや、そ、そういうのはさ、お互いの気持ちを通い合わせてからゆっくりと…。」


「私達はもう婚約者なんですよ?私の覚悟はとっくに決まっています…!


 実際は男性だけでなく、女の子だって、結構肉食です。


 自分の好みドンピシャの男性だったら、体を開くのに躊躇いはしません…!!」


「ささ、さくら…。それも誰かの教えなんだ…??」


 タジタジの俺にさくらはキッパリと告げた。


「再会したときに酔っ払った良二さんが私に言ったセリフですっっ!!」


「!!??||||」


 俺かよ!!酔っ払ったとはいえ、過去の俺、何てこと言ってやがるっ!?


「あの時は、怒ってしまいましたが、今は良二さんの言った事本当にそうだと納得しています。好きな人と触れ合いたいというのは自然な欲求だと思います。」


 そう言って詰め寄られ、至近距離にあるさくらの艶のあるピンク色の唇、白い首筋、ふっくらした胸元を見てしまい、俺はゴクッと喉を鳴らした。


「お、王子は段階を踏まなきゃいけないんだろ…?」


「私が昔の少女漫画(キャ◯ディキャン◯ィ)で学んだのはキスまででした。BL漫画では、キスの次は、即合体していました…!」


「そうなのっ?!」


 清らかなな少女漫画の次は、過激なBL漫画とか、さくら、性の知識片寄りすぎだぜっ!


 ※さくらの読んでいるものはそうという事で、全てのBL漫画がキス→合体というわけではありません。


「ですから、その先は、良二さんにお任せします。

 まぁ、子供っぽい私にまだその気になれないのはしょうがないかもしれませんけど…。


 私、これから頑張りますから、良二さんの心と体の準備が出来たら、いつでも言って下さいね…?」

「さくら…。」


 必死に想いを伝えてくれるさくらに、俺は少し躊躇い…。


「俺だって、何も感じていないわけじゃないんだよ。」


「良二さん…?」


「再会した時のさくらを思い出すと…その…。//……。……。」


 俺が赤面しながらあることを伝えると、さくらは目を見開き、頬を紅潮させて叫んだ。


「ふえっ!?良二さん、私のおっぱいを思い出して、びんびん物語だったんですかっっ?///」


「あ、ああ。そうだよっ…。///」


 さくらの不安を解消されるならと、言い辛い事実を伝えたが…。


「わあぃ!やったぁ!!私、良二さんにちゃんと女だと認識されていたんですねっ!!」


「さくら…。」


 無邪気に喜んでピョンピョン飛び跳ねているところを見ると、どうやら、これで正解だったらしい。


「ニャ〜ンニャ〜ン✧✧↑」


 俺達の雰囲気が和やかなものになったせいか、あんずも安心したように、俺達に体を擦り寄せて来た。


「あんずも復活したみたいだな…。ヨシヨシ…。」

「あんずちゃん。気を遣わせちゃってごめんなさいね。ヨシヨシ…。」


 二人であんずを撫でてやり、顔を見合わせては笑った。


「あ。それと、もう一つ、謝らなきゃいけない事があるんです。私、良二さんの趣向を探っている時に、本棚の奥にカメラを見つけてしまって…。」


「ああ…。別に構わないよ。大学時代に写真を撮る趣味に目覚めて、風景とかよく撮っていたんだけど、今は、忙しいからしまい込んでいたんだ。」


「え。じゃ、じゃあ、香お…じ、人物を撮ったりはしなかったんですか?」


「うん、あんまり…?友達に頼まれた時は撮ることもあったけど…。さくら、もしかして、撮って欲しいの…?」


 俺が聞くと、さくらはぱあぁっと顔を輝かせ、大きく頷いた。


「はい!ぜひっ…!!」


          * 

          *


「ハーイ!さくら、あんず、こっち向いて?」


「ホ〜ラ、あんずちゃん。ご主人様向こうですよ?見て見て〜?」

「ニャニャッ??」


 さくらに抱っこされたあんずがカメラを構えた俺に驚いたようにこちらを見て、さくらが満開の笑顔になったところで…。


 カシャッ!カシャッ!カシャッ!


 何枚もシャッターを切った。


「撮った写真現像したら、さくらに渡すな?」


「わーい!ありがとうございます!」


 と、さくらは喜び…。


 そして、少しだけ小悪魔な笑顔を浮かべて、俺にひそっと囁いた。


「私の写真、変な事に使ってもいいですよ…?」


「…!!//」


 つ、使わねーよ!

 多分…。

    





           



 ✽プチおまけ話✽


 その後のさくらー。 


 帰り道、権田の運転する車の中にてー。


「ふんふんふ〜ん♪良二さんは、私に教師ビンビン物語〜♪」


 後部座席で頬を緩ませながら、上機嫌に不思議な歌を口ずさむ桜の様子を見て、権田は何やら納得した様子で深く頷いていた。


「(どうやら、さくらお嬢様は、石藤様と深い仲になられたご様子。これは、旦那様にご報告しなければ…!)」

*あとがき*


 読んで頂きまして、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございます

 m(_ _)m


 今後ともどうかよろしくお願いします。

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