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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第三章 そして幸せな生活が始まる。一方NTR夫婦は…。

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さくらの秘密


「んんっ!肉がふわとろっ?✧✧」

「た、たまりません〜!!✧✧」


 さくらが持ってきてくれたS級松◯牛を料理人の雅也がすき焼きにしてくれたものを、西城亜梨花と駿也は涙を流して食べていた。


 駿也へのお礼で来たというのに、俺達も勧められ、すき焼きのご相伴に預かってしまった。


「う、うまいっ…!!」

「美味しいです〜!!」


 これ、食べたらしばらく他の牛肉食べられないかもと思うぐらいの霜降り肉の旨味に俺も驚き、隣のさくらも頬に手を当てて笑顔になっていた。


「白菜もネギも、すごく甘みがありますね。どちらで買われたものですか?」


「おっ。よくぞ気付いてくれました!野菜も美味しいでしょ?

 実は、とれとれ市場で買ってるものなんですよ。」


 さくらの問いに雅也は、人差し指を立てて優雅な仕草でウインクをした。


「とれとれ市場で買われているんですね?今度行ってみようかな…。」


「はい。普段スーパーで見かけないような食材が手に入るので、オススメですよ?ちなみに白菜とネギは鈴木六菜さんのところで買っています。」

「そうなんですね?教えて頂いてありがとうございます。スズキ…ムツ…ナ…さん…と。」


 勉強熱心なさくらは雅也に言われた事を手帳にメモし始めた。


「ふふっ。まさやん、お隣にお料理や食材の話ができる人が、嫁いで来てくれるなんて嬉しいね?

 私も、こんなに可愛い隣人さんが出来るなんて、嬉しい♡目の保養だわ〜!!」


「な、何言ってんだよ。一緒に住むだなんてまだ、気が早いよ。」


 結婚を前提にした付き合いと言ったって、まだ再会して10日程しかたっていないのに、西城亜梨花に嬉しそうにそんな事を言われ、引いてないかと焦ってさくら見ると…。


「え。そうですか?来月は、結納、来年の4月には同居、5月には挙式と話が進んでいるので、そう遠い事ではないと思いますけど…。」


「へっっ!?」


 さくらに驚くべきスケジュールを告げられ、俺は目が点になった。

 来月結納というのも驚きだが、1年後には挙式?同居までは1年もないじゃん!

 っていうか、俺、当事者なのになんでそんな大事な事を知らされてないの?


「両親同士の話では、そうなってるみたいですよ?良二さん、知らなかったんですか?」


「あ、ああ…。」


 引き攣り笑いを浮かべる俺に、亜梨花がバンバン肩を叩いて来た。


「ふふっ。これは、ヘタレの良二くんも腹を括る時が来たみたいですな?」

「うるさいな…。ヘタレとか言うなよ…。」


「さくらちゃん。コレ、私の名刺!これからよろしくね?」


「あっ。はい!よろしくお願いします。私も父に名刺渡されて来たんでした。」


 さくらは丁寧にお辞儀をして、亜梨花と名刺を交換した。


「父が、良二くんを救って頂いて、これから隣人になる西城さん達にお渡しするようにと…。

 何がありましたら、いい医者や弁護士のご紹介を出来ますので、お知らせ下さいとの事でした。」


「あっ。はいっ…。そ、それは、ご丁寧に、あ、ありがとうございますっ…。」


 西城亜梨花は、それを聞いて顔色を変えると、急に丁寧な言葉遣いになり、頭を深々と下げていた。


 今更ながらにさくらがすごい人の娘だと気付いてビビったんだろうな?


 さっきは下手したら、逆にセクハラ(抱き着く。体を触る。)で訴えられかねない案件だったもんな…。


 いつもやりたい放題の西城亜梨花がしおらしくしている姿に俺はちょっと笑けてしまった。

       

         *

         *


「じゃ、さくらちゃん。良二くん。今日は駿ちゃんにお礼をありがとう!頂いたお酒とおつまみは後で有り難くいただくねん?」


「「ありがとうございます!ご馳走になりまっす!」」


 別れ際、亜梨花と旦那ーズは俺とさくらに礼を言って来た。


 さくらはまだ19才の為、俺は酒のやらかしを反省し禁酒中の為、共に酒を飲めない俺達を気遣ってか、西城亜梨花は、無類の酒好きにも関わらず、夕食のすき焼きを食べる時も酒を控えてくれていたようだ。


「はい。よかったら召し上がって下さい。

 こっちこそ、夕食までご馳走になってしまって。」

「すみません。ご馳走様でした。」

 俺の言葉にさくらもペコリと頭を下げる。


「駿也くん。本当に世話になったよ。ありがとうな?」


「いえいえ。良二さんは、もう他人じゃないと思ってますから。何あったら、いつでもお世話させて下さい。」


 そう言って、金髪と白い歯を光らせて、イケメンスマイルを浮かべた駿也を見て、さくらは目を見開き、口の中でモゴモゴ呟いていた。


「(た、他人じゃない…??//お世話させて下さい…??//い、一体何の!?//)」


「さくらさんもですよ…?何かあったら何でも言って下さいね?」


「は、はいぃっ…!///」


 呼ばれてビクッとしたさくらは、またも真っ赤になり、ポーッとしていた。


 やっぱり、さくらの様子がおかしい。

 俺は、胸の奥が小さく痛むのを感じながら、西城家を後にした。



「私は一婦多夫制の御夫夫婦にお会いするのは初めてでしたけど、皆さん気持ちのいい方ですね、良二さん?」


 自宅へ戻る途中、庭に差し掛かった辺りで、無邪気な笑顔を浮かべで、そんな事を言ってくるさくらに、俺は思わず聞いてしまった。


「そうだね。さくらも一婦多夫制に興味があるの?」


「へっ?い、いえ。わ、私自身は…、良二さん以外の男性は受け付けないですし、一婦多夫制に特に興味があるわけではないですが…。

 な、何故そんな事を聞くんですか?」


 キョトンとして聞き返してくるさくらに、俺は駿也くんの前でポーッとしている彼女を思い浮かべてしまい、眉間に皺を寄せた。


「そうかな?さくらがそう思い込んでいるだけで、本当は他の男を好きになる可能性もなくはないんんじゃないか?」


「…!!あり得ません…!良二さん、どうしてそんな…。私、何か良二さんの信頼を損ねるような事しましたか?」


 泣きそうな顔で俺の腕を両手で掴んで来るさくらに、ついに言ってしまった。


「さ、さっき…。さくら、駿也くんに見惚れていただろ?」


「…!!」


 まずいところを突かれたというように、俺の前で息を飲むさくらに、ああ、やはりさくらは自覚があったんだと更にズキズキと胸が痛みながら、俺はぎこちなく彼女に微笑んだ。


「いや、それはいいんだ。さくらも年頃の女の子だから、イケメンな男性にときめくのは当然だと思う。


 だから、俺しか受け付けないと思い込んで、結婚の事を今すぐに決めなくても、これからゆっくり考えていけばいいと思うんだ。


 俺は君が好きだから、他の男性に負けないよう、最終的に選んでもらえるように頑張るよ…。」


 一気に捲し立てるように言うと、さくらは涙を浮かべて頭を振った。


「りょ、良二さんっ…。||||

 悲しそうな顔でそんな事言わないでっ…!

 私はもうちゃんと、良二さんを選んでますっ!!


 違うんですっ。それは、そういう事じゃなくてっ…!

 それも、もう終わりにしようと思っててっ…!ああっ。どう言えば…。」


 ダッ…!!


「さくらっ!?」

「ちょっ…、ちょっとだけ私に時間を下さい!!」


 頭を抱えたさくらは、敷地内から外へ駆け出して行ってしまった。


「さ、さくら…!」


 呆然と残された俺は、激しい後悔に苛まれていた。


 ああ…。あんな事言わなければよかった!


 別にさくらが駿也くんと何かあった訳じゃなかったのに、少し見惚れていただけで、あんな風に責めてしまうなんて…。


 香織や、他の見合い相手の事を思い出して神経質になっていたんだ。


 もう傷つきたくないという思いで、振られる前の予防線を張ってしまった。

 さくらはあんなに勇気を振り絞って 俺に近付いて来てくれたのに、俺は何てヘタレなんだ…。

 しかも、こんな暗い中、女の子を一人にして…!

 もうすっかり日が暮れた空を見上げ、俺は呟いた。


「追いかけなきゃ…。」


 さくらが俺をどのぐらいに思ってくれていようが、俺はもう、彼女が大事だ。

 二度と危ない目に遭わせたくないっ!


「さくらっ!…!!」


 俺が、後を追い掛けると、幸いすぐに彼女は見つかった。


「どうしよう…?良二さんにあんな風に思わせてしまっていたなんて…!!

 誤解させて傷付けてしまうぐらいなら、終わらせようとしていた趣味だけど告白した方がいいの…?


 けど、良二さんに嫌われてしまうかもしれない。けどっ。でもっ。」


「さくっ…。…!!?」

「ハアッ。ハアッ。」


 敷地の外壁に背をつけ、葛藤している様子のさくらに近付いていくと、俺より先に怪しげな黒い大きな人影が、彼女に近付き手を伸ばした。


「さくらっ!!危なっ…!」

「ハアッ。さくらお嬢様!よかった!今、お一人ですね?」


 俺とその人物が叫ぶのが同時だった。


「車の中で、さくらお嬢様が失くしたと言って落ち込んでらしたBLコレクション、

『金髪の後輩は、黒髪拗らせ先輩の寝床に今日もお邪魔しまっす♡♡』シートの隙間に落ちているのを今、発見しましてお持ちしました!よかったですね?さくらお嬢様?」


「いやああぁーっっ!!権田さん、今はソレ、持って来ないでえぇっ!!!////」


 何やら薄い本を差し出す権田さんに涙を流して絶叫するさくら。


「えっと、さくら?権田さん?」


 俺の呼びかけに気付いた権田さんとさくらは息をのむ。


「りょりょ、良二さん…!!」

「いい、石藤様…!!」


「ああっ。バレちゃったぁ!!びえ〜ん!!もうおしまいですぅっ!!ふえ〜ん!!」

「ああ…。権田、一生の不覚にござります…。」


「へ?へ?何がどうしたんだ?さくら?権田さん?」


 さくらは座り込んで号泣し出し、権田さんが壁に向かって反省のポーズを取る中、俺は状況が掴めず目をパチクリさせるばかりだった。


*あとがき*


 大変わちゃわちゃしておりますが、続きは1話おまけ話を挟んで次の話になります。

 どうかよろしくお願いしますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
権田さん、ナイスです! 申し訳ございません案件ではありますがその対価で誤解が解けるなら安い  はず!
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