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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第三章 そして幸せな生活が始まる。一方NTR夫婦は…。

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君のその桜色に…。


 その後も、閉館の時間ぎりぎりまで科学館の展示施設を回って、楽しく過ごした俺達は、空に夕焼けが広がる頃、待ち合わせをした駅前に戻って来ていた。


 迎えの権田さんを待つ間、駅のベンチでさくらと俺は寄り添って話をしていた。


「今日は、もう本当に楽しくて、時間があっと言う間に過ぎちゃいました!」

 良二さん。デートに誘って頂いてありがとうございました。」


 膝に手を当てて丁寧なお辞儀をしてくるさくらに、俺も慌ててペコリと頭を下げた。


「いや、こちらこそ、今日は来てくれてありがとう。さくらといられて楽しかったよ。」


「本当ですかぁ?」

「ああ…。本当だよ。」


 青い瞳を輝かせて俺を見上げて来る桜に、俺は大きく頷いた。


 デートの前は、さくらにとっては、今日が異性との初デートになるのだし、年下の彼女を楽しませてあげなくてはとか、

 俺の中では、過去元カノの香織や、見合い相手のトラウマはあるが、デートの間はさくらの事だけを考えてあげなくてはとか色々気張っていた俺だったのだが…。


 いざ、始まってみたら、さくらとのデートはびっくりするぐらい楽しくて、自然と肩の力が抜けて、彼女と笑い合える自分に気付いた。


 輝く銀髪に吸い込まれそうな青い瞳に。

 くるくる変わる彼女の表情に。

 女の子らしい花のような香りに。

 柔らかい温もりに。

 その優しさに。


 彼女の全てに夢中で五感を奪われてしまい、元カノや、見合い相手の事なんて思い出しもしなかった。


 ついこの間までは俺の記憶の片隅に、一度だけ会った小さな少女として存在していただけだった彼女が、今は、俺を魅了する女性として、どんどんその存在が大きくなっているのを感じていた。



 空の夕焼けの光が、さくらの頬をピンクに染め、瞳をキラキラ輝かせる中、彼女は熱っぽく語った。


「再会してから良二さんと過ごす時間が本当に楽し過ぎて、大切過ぎて…。

 今までの会えなかった時間が惜しいぐらいです。


 私がすぐにこの恋心に気付いて、もう少し早く再会してたらどうだったんだろう。

 もっと長い間、私達は一緒に居られて絆を深られたのではないかと思ってしまいます…。」


 唇を尖らせてそんな可愛い事を言ってくれるさくらに、俺は躊躇ったが、正直な気持ちを伝える事にした。


「うん…。そうだね。さくらが、小さなさくらちゃんとして、もっと早く俺と再会していたら、俺は嬉しかったし、どれだけ気持ちが癒やされた事かと思うけど…。


 さくらちゃんを小さい頃からずっと見守って来ていたら、兄のような気持ちになってしまって、伴侶には思えなかっただろうと思うよ?」


「りょ、良二さん…。」


 ショックを受けたような彼女に、俺は続けて言った。


「今だから言える事かもしれないけど、

 さくらに再会するまでの12年間を、俺は無駄な時間だとは思わない。


 俺が元カノの香織への気持ちを引きずったまま、さくらに出会っていたら、君に辛い思いをさせたと思う。

 見合い相手に何度も振られる体験をしていなかったら、さくらの誠実さ、優しさをこんなにも尊く思えなかったかもしれない。


 全ては、俺とさくらが向き合うために必要な事だったんじゃないかな…。」


「全ては、向き合うために必要な…事…。」


 さくらは俺の言葉に目をパチパチとさせると、考え込みながらゆっくりと頷いた。


「確かに…。良二さんと再会するまでの12年間、私は良二さんのような人のお嫁さんになりたい一心で、色んな事を頑張れていました。

 私が成長した大人の女性として、良二さんの前に立つ為に12年は必要な時間だったのかもしれませんね…。」


 感慨深そうにさくらはそう言い、俺の目をじっと見詰めて来た。

 その青い瞳には、さくらを真っ直ぐに見詰める俺が映っていた。


「昔から憧れていましたが、私は今の良二さんに再会してから、どんどんあなたの事が好きになって行っています。

 私は香織さん程魅力的な女性ではないし、良二さんに好きになってもらえるか正直自信はありません。

 それでも、側に置いてもらってもいいですか…?」


「さっきも言ったけど、さくらはそのままで十分過ぎる程魅力的だよ。香織と比べる必要なんてない。


 再会してから日も経たないのに、信じてもらえるか分からないけど、

 俺はもうさくらの事…、かなり好きだよ?」


 頬が熱くなるのを感じながら、そう告げると、さくらは大きく目を見開いた。


「ほ、本当…ですか…?」


「あ、ああ…。///」


「し、信じられない…。」


 もはや、夕焼けのせいと言い訳できないぐらい真っ赤な頬に両手を当てて、さくらは目を潤ませた。


「じゃ、じゃあ…。キ…キス…出来る…ぐらい…すき…です…か…?///」

「…!!///」


 囁かれ、俺はゴクッと唾を飲んだ。


「う、う、うん…。」


 やべぇ。心臓がバクバク言っている。


「じゃ、じゃあ…。お願い…します…。」


 消え入りそうな声で彼女に頼まれ…。


 俺は差し出された白い手を握り込むと、目を閉じたさくらに、少しずつ顔を近付け…。





 その艶やかな桜色の唇に…。






 チュッ。






 柔らかく触れるようなキスをすると…。


「きゃ、きゃあああーっ!!///い、いきなり何をするんですかあぁーーっ!!!!」


「へ?へ?」


 間髪入れず彼女に涙目で叫ばれ、俺は目をパチクリとさせた。


 アレ??何か…マズった…か…??

✽あとがき✽


いつも読んで下さり、ブックマークやリアクション、ご評価頂きましてありがとうございます!


恋愛(現実世界・連載中)日間ランキング6位、恋愛(現実世界・すべて)日間ランキング9位(4/8 7 時時点)になれました!


応援下さった読者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです✧(;_;)✧


さくらちゃん良二くん何やらパニックになっておりますが、次回、初デート編最終話になりますので見守って下さると嬉しいです。


今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m

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