ヘリウム風船な二人
《風船の実験ショー》
カフェを出た後、俺とさくらは、多くの人と共に一階広場で行われていた実験ショーに参加していた。
イベントスタッフのお姉さんがステージで、ボンベで膨らませた赤い風船を観覧席の観客に見せていた。
「これは、ヘリウムっていうガスの入った風船です。これは、空気よりも軽いので、手を離すと…。」
そう言いながら、スタッフはパッと手を離すと、風船は天井まで上がって行ってしまった。
「ああ〜…。子供の頃、一瞬手を離した隙に風船がどこかへ行ってしまって、泣いた覚えがあります。」
「あるあるだよな…。」
さくらも、俺も、天井でふよふよしている風船を見て、頷き合っていた。
「はい。このように、手で抑えていないと、上に上がって行ってしまいます。
では、この風船をお盆の上に置き、落としてみると、風船はどうなるでしょうか…?」
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① 上に上がる。
➁ その場にしばらくとどまる。
➂ お盆と一緒に下に落ちる。
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スタッフのお姉さんが、選択肢の書かれた選プラカードを掲げて、クイズを出すと、会場の観客は皆ざわついていた。
俺とさくらも顔を見合わせて首を傾げていた。
「どうでしょう?そのまま、お盆は落ちて、風船は上がるような気がしますが…。」
「う〜ん。間をとって、その場にとどまるとか?」
スタッフのお姉さんが、それぞれの選択肢だと思う人に手を上げてもらうと、どの選択肢も同数ぐらいだった。
「では、実際にやってみたいと思いますが、お二人程、協力してくれる方はいらっしゃいますか?」
スタッフのお姉さんが協力者を募ったところ…。
「…!!はっ、はいっ!」
「うわっ!さくらっ…!?//」
さくらが手を上げると同時に俺の手を上げさせていた。
「(だ、だって、良二さんと一緒に初めての共同作業が出来るチャンスだから…。嫌…ですか?)」
「(いや、そんな、ケーキ入刀的な?い、嫌…ではないけどさ。//)」
上目遣いで、泣きそうな表情になったさくらに、俺は強くは言えなかった。
「ふふっ。では、そこのカップルさん!手伝って下さい!」
スタッフのお姉さんはそんな俺達ににっこりと笑いかけた。「「はっ、はい…!」」
沢山の観客に見られる中、緊張気味にステージに進み出た俺とさくらは、スタッフのお姉さんに言われるまま、それぞれお盆を水平に持つ役とお盆に風船を置き、浮かないようにそれを抑えている役に分かれた。
「では、私が手を打ち鳴らしたら、同時に手を離して下さいね?」
スタッフのお姉さんの言葉に、俺達は、目を見交わして頷き合った。
「せーのっ。」
パァン!!
手を打ち鳴らす音と同時に俺とさくらがお盆と風船から手を離すと…。
「「…!!」」
ゴトッ!ポワ…ポウン!
風船は、浮き上がりそうな気配は見せながらも、お盆から大きく離れる事なく、同時に床に落ちた。
「はい!なんと、風船は、お盆と一緒に落ちていくんですね。従って➂が正解になります。カップルさんご協力ありがとうございました!!」
俺とさくらは予想外の結果に目を丸くしながら、お姉さんに一礼して席に戻ったのだった。
「今の実験結果に解説をしますと、お盆が落ちる事によって、風船を包むようにお盆の内側に空気の渦が発生し、その渦が風船を抑える為、風船とお盆が一蓮托生に落ちていくんですね。」
「一蓮托生なんて、今の私達みたいですね?良二さん?ギュッ!」
フニュニュン♡♡
「さ、さくら…!///(当たってる!)」
さくらは、お盆を俺にヘリウム風船を自分に見立てて、実験結果が余程嬉しかったのか、俺の腕に飛び付き、豊かな双丘を押し当てて来た。
くっ…!!
なんて柔らかさなんだ…!!///
このままでは、俺もヘリウム風船になってしまう…。
✽あとがき✽
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