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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第三章 そして幸せな生活が始まる。一方NTR夫婦は…。
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10才のジェネレーションギャップ?


 プラネタリウムを観終わった後、ちょうど昼食時となった為、俺とさくらは、カフェで軽食を取ることにした。


「ふふっ。りんごマフィン甘〜い!

 それにしても、さっきのプラネタリウム、星空を二人占めしてるみたいでしたね♡良二さん?//」

「あ、ああ…。//はぐはぐ…。」


 くっついて星空を見た俺達の間には甘ったるい空気が漂っていて、久しくこうした雰囲気に置かれていない俺は、目の前のサンドイッチにぱくつきながら、さくらに言葉少なに返事を返す事しか出来なかった。


 いかん。このままでは、年だけ食った、コミュ症のおじさんと思われてしまう。

 もっと年上の男性らしく、さくらを楽しませるような会話をしなくては…!


 昨日、女性向けのエンタメ系の雑誌を買って、今の若いが何を好むのか研究してきた俺は、カフェのテーブルの下で、小さく拳を握ると、勇気を出して話題を切り出した。


「そ、そう言えばさぁ!今、「花男」に出てる、高西くん?いい演技してるよね〜。」


「え?ハ、ハナダン…?高西くん…??」


 目をパチクリさせて首を傾げるさくらに、俺は雑誌で聞きかじりの知識を披露する。


「ホッ。ホラ。「花男」は、今話題のドラマ「花取り男子」だよ。高西くんは、「なにを男子」のメンバーで…。」


「あ、あ〜!そう言えば、友達が、なにを男子のメンバーがドラマ出てるって騒いでました!」


 さくらちゃんは、ポンと大きく手を叩いて、ウンウン大きく頷いた。


「私、あんまり、今のドラマとか、有名人とか詳しくなくて…。」


「えっ。そ、そうなんだ。」


 しまった!若い娘は、人気のドラマとアイドルとか好きなのかと思っていたが、さくらは違ったらしい。


「ええ。そのドラマ、面白いんですか?」


「え?あ、ああ…。主人公が延々花に対する知識を語ってて、面白…かったよ?(昨日、急いで無料配信の1話分見ただけだけど…。)」


 深く突っ込まれても知識のない俺には自信なさげにそう言うしかなかったが、さくらは、真剣な顔で、手帳を取り出し、メモを取り始めた。


「ふむ。そうなんですね…。私も見てみようかな?」


「さくらは、ドラマとかあまり、見ないの?」


「いっ、いえ!『不揃いの蜜柑達』とか見てますよ?」


「ああ〜。『不揃いの蜜柑達』…んん、??」


 名前だけは聞いた事があり頷きかけたが、次の瞬間俺は首を捻った。


 あれ?それってだいぶ昔のドラマじゃなかったっけ?


「「お前なんか腐ったみかんだ!」なんて上司にひどい事を言われてるシーンは衝撃的でしたぁ…。」


「そ、そうなんだ…。すごいドラマだね…。」


 さくらにドラマについて熱く語られるものの、見たことがない俺は、曖昧な笑顔を浮かべるしかなかった。


「あ、あれっ?ご存知ないですか?」


 焦ったようにさくらに聞かれ、気まずいものの、正直に答える事にした。


「あ、う、うん…。見たことはないけど、面白そうなドラマだね。俺も見てみよっかな…?」

「あっ。は、はい…。ぜひ。オススメ…ですよ?」


 さくら、古いドラマが好きだったんだなぁ…。覚えとこう。


 俺も手帳を取り出して、ドラマの名前をメモし終えると…。


「……。」

「……。」


 俺とさくらはしばらく無言になった。


 やばい。早速話のネタに詰まってしまった。

 む、無理やりにでも、会話を繋げなくては…!


 俺は冷や汗をかきながらさくらに質問した。


「えっと、ドラマ以外にも何か見たりするの?」


「え、ええ。ニュースとか、お料理番組とかはよく見ますよ?勉強になりますし…。」

「ああ…。さくら、料理の専門学校通っているんだもんな…。」


 そう言えば、この間、作ってくれた野菜スープも美味しかったもんな…。


 見るテレビ番組も、自分の目指す方向のものとか、本当に真面目だなぁと俺は感心してしまった。


「はい。料理は、作るのも食べるのも大好きです!」


 好きな事を語るさくらの顔は輝いていて微笑ましく思っていると…。


 あ。食べ物繋がりで、雑誌に出ていた情報を思い出した。


「そう言えば、タピオカティーとか流行ってるけど、さくらも飲みに行ったりするの?」


「ええ。あれ、もちもち食感だったり、あっさりだったり、抹茶だったり、色んなのがあるんで、友達と一緒にお店をめぐったりしますよ。

 気に入ったものは、味を覚えておいて、自分で試しに作ってみたりもしますし。」


「え。あれって作れるの?」


「ええ!作れますよ?製菓売場に普通にタピオカ売ってますし。」


「へぇ〜。すごいな…。」


「ふふっ。将来、料理関係の仕事につくなら、()()()()()()()()()()()って感じのものは、作れるようにしておかなきゃと思いまして…。」


「え。」


 今、もしかして『ナウなヤングにバカウケ』って言った?


 気になりすぎて、「将来、料理関係の仕事につくなら」以降の文面が頭に入って来なかった。

 反射的に聞き返してしまった俺に、さくらは笑顔で復唱した。


「ですからぁ。将来の為に、()()()()()()()()()()()って感じのものは、作れるのようにしておかなきゃって話ですよ。」


「…!!」


 やっぱりそう言ってる!それって大分昔に流行った若者言葉では…?

 いや、待てよ?一周回って、今は昔の若者言葉が再流行しているのかもしれない。


「あ、あはは…。さくらも流行り言葉使うんだぁ…!さ、最近の娘だなぁ!」


 引き攣り笑いをしながらそう言うと、さくらはよくぞ言ってくれましたとばかりに得意げな笑顔になった。


「えへへ。そうなんですぅ!✧✧私も流行り言葉とか使っちゃうんですよ?

 一捻りして、こんなのもあるんです!」


 ガサゴソッ!バッ!!


「?!!」


 さくらはドヤ顔をしながら、カバンから何故か新バージョン(醤油味)と書かれたカップ焼きそばを取り出して、水戸黄門の印籠よろしく、俺の前に突き出した。


「ナウなベヤングはバカウマですっ!!」


 !???




「 ………。………。え、えーと、ソレ…何?焼きそばの宣伝??」


 一瞬時が止まった後、俺がさくらに問いかけると…。


「うわあぁんっ!!渾身のギャグがすべりましたぁっ…!うっ、うっ。恥ずかしい〰〰!!///」


「さ、さくら!?(い、今のギャグだったのか…。)」


 さくらは両手で頬を覆って、テーブルに顔を突っ伏して泣き出し、俺はどう宥めようかオロオロするばかりだった。


「ヒックヒック。良二さんの年代の流行りを勉強して、エスプレの効いた会話で、「面白れー女」って思わせたかったのにっ。」


「あ、ああ。それで、古いドラマを知っていたり、昔の流行り言葉を会話に挟んで来ていたのか…。」

 

 そこまで聞いて、さくらの年齢不詳の不思議な言動に、やっと得心がいった。


「はいっ。権田さんとお父さんに、良二さんの年代の流行りを相談しながら、一生懸命考えました…。」

「あ、ああ…。それで、年齢層が俺より高めだったのか…。」


 どう考えても、「不揃いのみかん」とか、「ナウなヤングにバカウケ」とか、俺よりも、10歳以上は高そうな流行りだもんな…。


「え!そうだったんですね…。失敗しちゃいましたぁ…。」


 べそをかいて、しょんぼり俯くさくらに、昨日、さくらの年代の流行りを必死になって勉強した自分の姿を重ね合わせ、自然と笑えてしまった。


 何だか肩から余計な力が抜けていくような気がした。


 俺はさくらに優しく呼びかけた。


「さくら。俺の年代の事を調べてくれたのは、有難いけどさ。俺達、無理に話題を合わせようとしなくても、結構似ているところあると思うよ?」


「え?」


「俺だって、おじさんだけど、さくらに楽しんでもらえるような会話をしなきゃと思って、今の若い娘の流行りとか必死こいて雑誌で調べてたんだから…。」


「え。うそ!良二さんが…?///」


 目を見開いて、こちらを見上げるさくらに、俺は苦笑いで頷いた。


「ああ…。今回はかみ合わなかったけど、相手の好きそうな話題を勉強して、渾身のギャグまで披露してて、料理も研究熱心で、いつも一生懸命なさくらは、もう十分俺にとって「面白い女の子」だよ。

 俺はそのままのさくらを知っていきたいと思う。」


「ううっ…りょ、良二さん…!」


 自分の素直な気持ちを伝えるとさくらは先ほどとは違う涙を浮かべていた。


「さくらの本当に好きなもの、教えてくれる?」


「は、はい。わ、私…は…。」


 さくらは、そう言いかけて不安気に俺の方をチラッと見て…。


「ま、漫画…が結構好き…かもしれません。」


 両手を固く握り締め、ポツリと呟いた。


「へえ、そうなんだ…!」


 歌舞伎とか、クラシックとかそんな感じの趣味を持っていそうなさくらちゃんが漫画を好きと言うことを意外に思ったが、

 その話題なら少しはついていけそうだと、ホッとした。


「どういうジャンルのものが好きなの?」


「えっとぉ…。男性向けのも女性向けのも結構オールラウンドに読みますよ?」


 少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうにそう言うさくらは本当に漫画が好きそうだった。


「俺、少年シャンプーなら、今でも雑誌買って読んでるから、その範囲に限っては、ジェネレーションギャップはないかもよ?」


「本当ですか!?」


 俺の言葉にさくらは目を輝かせた。


「じゃあ!『NARU〜ナル忍法伝』とかご存知ですかぁ?」


「ああ!俺結構好きかも!」


 知っているマンガ名が出て来て、嬉しい俺は勢いよく返事をした。


「じゃ、じゃあ、どの組み合わせが好きですか?」


「組み合わせ…?カップルって事かな?

 ナルとヒナ…とか??」


「あっ…。そ、そっち系…。そ、そりゃ、そうですよね。」


 俺がそう言った瞬間、さくらは僅かに失望したような表情になった。


 え?王道の主人公カップル挙げただけなのに、何で??

 あ!ライバル役の方が好きだったとか?

 そう言えば、ライバルの相手役の女の子、さくらに少し名前が似ていたっけ。


「あと、サスとサクのカップルも好きだよ?」


「そうなんですね。わ、私もそのカップル大好きです〜。」


 さくらは取り繕ったような笑顔でそう言った。


 んん?何かしくじったか?俺…?


 ちょっと焦りながらも、もうすぐ公開予定の『NARU〜ナル忍法伝』の映画に誘うと、今度は本当に嬉しそうな笑顔で了承してくれたさくらだった。

✽あとがき✽


いつも読んで下さり、ブックマークやリアクション、ご評価頂きましてありがとうございます!


恋愛(現実世界・連載中)日間ランキング33位、恋愛(現実世界・すべて)日間ランキング56位(4/6 9時時点)になれました!


応援下さった読者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです✧(;_;)✧


今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m

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お嬢様には、腐らないでいてほしいもの……w
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