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銀髪美少女の王子様


「小学校へ上がる前に病気で母を亡くし、私の身の回りの世話をしてくれたのは、家政婦さん達でした。

 仕事で忙しい父や、年の離れた兄とはあまり顔をあわせる機会がなくって、学校も女子校に通っていた私は、男の人に苦手意識がありました。

 運転手の権田さんに対しても、体が大きくて怖い人という印象があって当時は殆ど口を利きませんでした。」


「そう…だったんだ…。」


 さくらちゃんのお母さんが小さい頃に亡くなった事や、家族構成などは母親が見合い相手の情報を教えられた時に聞き及んでいたが、小さい頃お父さんやお兄さんとも疎遠だったとは知らなかった。


 今は仲が良さそうな権田さんとも口を利かなかったというなら、彼女の子供時代はかなり孤独なものだったのではないかと俺は胸が痛んだ。


「だから、小2の時知らない男の人に追いかけられた時は本当に怖かったんです。」


 彼女は、その時の事を思いだしたのか、ぶるっと身を震わせた。


「逃げている最中に、突然、目の前に体格の大きな男の人が現れた時は、怖い人に追いつかれてしまったのかと、心臓が飛び出るぐらいびっくりしました。」


「ああ〜。それ、俺だよね?あの時は、ホントごめん!ごめん〜!!」


 俺は、顔を覆って謝るばかりだった。


 男の人が苦手で、しかも、変な男に追いかけられている状況で恐怖心与えるような登場の仕方して何をやっているんだと、俺は昔の自分を殴り倒してやりたい気分だった。


「ふふっ。いえ、いいんですよ。

 その後、香織さんに怒られてしょげて、大きい体をくの字に折り畳んで子供の私に謝り倒す良二さんを見ていたら、こう言ってはなんですが、ちょっと可愛いなと思ってしまって…。


 その後も、良二さんは私を追いかけて来た怖い人を追い払ってくれて、交番にいる間、不安そうな私にお守りをくれて男の人の中にもこんな人がいるんだと目からウロコが落ちたような気持ちでした。」


「さくらちゃん…。」


「あの後、権田さんも父も兄も私をすごく心配してくれて、話を聞いてくれて、私が心を閉ざしていただけで、私の周りは優しい男の人に囲まれていた事を知りました。


 それからは、家族や、権田さんともよく話すようになり、男性に対する苦手意識は改善されていきました。


 私もいつかは、しっかり者で気遣いのできる香織さんみたいな素敵な女性になって、強くて優しい良二さんみたいな伴侶を見つけるのだと、将来に目標を持つようにもなったのです。


 そして、高校を卒業後、料理の専門学校に通いながら、何度かお見合いを受ける事になったのですが…。


 これが、上手く行きませんでした。」


 両手を組み合わせて、さくらちゃんは、気まずそうに、俯いた。


「どうして、上手くいかなかったのか…、理由を聞いてもいい…のかな?」


 目の前のさくらちゃんは、銀の髪に青い大きな瞳、白い肌、ウエストはキュッとしまっているのに、出るとこは出たモデルのように完璧なスタイルという美貌を持ち合わせ、更に料理上手で、社長令嬢。


 相手から断られる要素が全くないような気がして恐る恐る俺が聞いてみると、さくらちゃんは、神妙な顔になった。


「それが…。お見合いの席で、相手の男性と顔を合わせた瞬間…。何故か、強烈な違和感を感じてしまい、突然体調が悪くなってしまったのです。」


「!!」


「その時の体調が悪かっただけかと思い、日を改めてお会いしましたが、結果は同じでした。相手の方に申し訳なかったのですが、縁談をお断りする事になりました。


 その後、何人か別の方とお見合いをしましたが、ダメでした。

 最後の方は、お見合いの日が近付くにつれ、具合がどんどん悪くなってしまって…。


 父が心配しまして、療養の為見合いをしばらく取りやめる事になりました。


 いくつもの病院を回りましたし、カウンセリングも受けましたが、原因は分かりませんてした。


 小さい頃男性に対して苦手意識があったのが、ぶり返してしまったのかとも思いましたが、お見合い以外の場面で男性と普通に会話する分には問題なかったので、自分でも理由が全く分からなくて…。


 幸せな結婚を夢見て今まで生きてきたのに、こんな事になってしまってどうしたらいいんだろうと、良二さんに貰ったお守りを握り締めて涙していると、父が提案してきたんです。

「そのお守りを渡した男性に会ってみたらどうか。」と…。」


「!!も、もしかして、それで、俺と見合いをする事に…。」


「は、はい…。//」


 銀髪美少女は、頬をピンク色に染めて頷いたのだった。



✽あとがき✽

いつも読んで下さり、ブックマーク、ご評価下さりありがとうございます!

今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m

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